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伝説のシャベル  作者: KY
33/203

2-23 浪漫

逸る気持ちを抑えヒトデ先生と牙付きの死体を担ぐと砂漠のベースまで駆け戻る。


一息つき腰を下ろすと空腹で腹の虫が鳴く。ヒトデ先生を倒したときに中々のオーラの奔流を受け体が熱を帯びている。ヒトデを食べるという行為はあまり聞いたことは無かったが、何事も挑戦だ。


まずは解体からだ。ブッシュナイフで切り付ける、だが切り難い。表面の角質層は鎧のように強固、その下には弾力に富む固いゴムのような支持層があり衝撃を吸収される上に摩擦抵抗が強く刃を拒む。牙付きに噛まれても動けたわけがよくわかる。


力をこめて何度も刃を滑らせていると少しずつだが刃が食い込んでいった。なかなかに分厚い体表組織の中にはやはりモンスター特有の真っ黒い血と肉がある。とりあえず口へ入れてみることとする。


味は個人的には嫌いではないが美味しいかといわれると判断に迷う、海栗風味のカニカマの味を10倍薄くして生臭さを加えたようなものだ。食べられなくは無いが、いわゆる珍味というものと割り切ればいいのかもしれない。ちなみに焼いて食べてみると海栗風味のハンペンのようだった、生よりは味が多少濃くなっている気がする。しかしボソボソして脂身が無く食感は悪くなっている。


膨れた腹を軽く叩くと水を飲み食事を終わらせる。だが次がある意味メインディッシュだ。


ブッシュナイフで慎重にヒトデ先生の足先の宝玉を穿り出す、宝玉はそんなに柔ではないとは知っているが手に入れた際の苦労を考えれば否応にもそうなる。1時間ほどゆっくり時間をかけ橙と黄色の宝玉を得ることができた。




今手には、橙色の宝玉がある。試しにオーラを宝玉を持つ手に集めるように集中する。



前方で急に爆発が起きた。



あっさりと実験は成功した。正直こんなに簡単にいくとは思ってもいなかったが往々にして世の中そんなものなのかもしれない。ある程度のオーラが吸い込まれるような感覚がした次の瞬間にはすでに発動していた。やはり宝玉こそが魔法を使うための機関だった。


少し遅れて胸の中に熱い思いが生じる。魔法、それはありきたりな日常で誰しも1度は憧れるもの。物語、漫画、映画、人は魔法を題材としたフィクションを数え切れないくらい作り、読み見てきた筈だ。それが、今手元にある。この手にありその使い手は自分なのだ。



この新しくも素晴らしい玩具、食事も忘れてその日は弄り回してしまった。夜になるころには疲労困憊、今モンスターに襲われたらどうするのだという状態であったがその日はいつになく満足してシェルターで横になった。

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