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伝説のシャベル  作者: KY
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2-22 ミッション・コンプリート

今回気になったのは、魔法というものがどれほどのスパンで使用できるのかということだ。仮に電流の魔法を四六時中常に流しっぱなしにしているのだとすれば触ることさえままならない。爆発も休み無く襲い掛かってくるのであればたとえ隠れていても一面焼け野原にされてしまうだろう。


だが無限に使い続けられるとは考えにくい。ブーストのように、オーラを魔法に使用すれば必ず皺寄せはどこかにくる筈だ。


観察と実験を重ねた結果ヒトデ先生の魔法は4発目くらいまでは中々の早さで魔法を連発できるものの1度使った魔法は少しクールタイムが必要そうであり、連発してくると言っても違う魔法を交互に撃っていた。


これは野犬の群れを肉で誘導したり捕食中のヒトデ先生に物陰からいろんなものを投げつけて防御反応としての魔法の使用頻度と速度を検証した結果だ。


ここで今回採用となった新兵器を紹介する。「スリング」だ。投石器と言ったほうが分かりやすいかもしれない。


素材は皮ひも、構造は簡単だ。中央に石を納められるポケットのような網を作りその両端に紐をつける。片方の紐の末端には指にはめるための輪を作っておく。


使い方も簡単だ。ポケットに石を入れ紐の両端を持ち振り回し、指を離す。遠心力によって加速された石が高速で放たれ、スリング自体は紐の片方に輪を作り指に通してあるため飛んでいくことは無く手元に残る。


非常に簡素な構造で信頼性も高い遠距離攻撃武器だ。粗雑な弓よりは射程も、威力も高い。ただし問題となるのはその命中率だ。かつて、玩具として遊んだこともあるが狙い通りの場所へと放り投げるのは意外と難しい。子供の頃ながら経験を持っていたからのチョイスではあった、もちろん砂漠で何度も何度も練習を繰り返したが。向上した身体能力は体幹等のバランスや知覚能力や反射神経にも恩恵を与えていたことも上手く投げられるようになった要因の一つに挙げられる。


ただ石を投げつけるだけでも効果はあったかもしれないが、ヒトデ先生の体表は厚く、多少の攻撃では危機と感じず魔法での迎撃を行わないこともあったのだ。居場所を悟られぬよう高く投げた石や木がヒトデ先生に当たっても無反応であったことも多い。感覚器である宝玉に当たりそうなときはそれでも迎撃していたが。


蛇足だが、人が石を持って投げるだけでも同じ人間や小動物であれば脅威となりえる。勿論ただ投げるだけでは駄目だ。礫術というものもある。投げられた石に十分な加速度と狙いがつけられたとすれば、目に当たれば目がつぶれ、頭部に当たれば意識を飛ばし、急所に当たれば怯ませて動けなくすることができる。さらに例えるならプロ野球選手の全力の球が当たれば軽症ではすまないだろう。


さらに接近する際に身代わりともなる楯を用意する。楯といってもいわゆる騎士が手に持つような物ではなく戦国時代の竹束に近い。繊維質の木材をかき集め革紐で固く縛った人が抱えられそうなサイズのものを左手で持つ。文字通りの防壁にもなるし、この楯に向かい魔法が放たれるのであればこちらの受ける衝撃と被害は軽微なものとなるだろう。



準備は整い、あとは実戦のみだった。運よく牙付きが現れたのでそれを捕食しようとしたヒトデ先生の邪魔をし動揺と被害をおこさせる。牙付きの奮闘は予想以上のものだった、おかげでヒトデ先生は自分の魔法で自爆することとなった。


魔法の発現に合わせてスリングで大きな石を投げつける、予想通りの軌道と速度で放たれた石をヒトデ先生は迎撃せざるを得なくなった。


ブーストを発動すると突撃する。つぎの電流魔法の避雷針がわりとしてシャベルをヒトデ先生近くの地面に走りながら投げつけた。だがここで少々肝が冷えたのは、ブーストを発動した瞬間ヒトデ先生がピクリとこちらへ意識を向けたように思えたのだ。


計画上では爆発魔法が放たれる前には攻撃できると予想していたが、思っていた以上にリロードが早かった。生命の危機を感じれば予想以上のスペックをどんな動物でも発揮するのかもしれない、ここは自分の見通しの甘さを反省した。


だが保険として前に突き出し進んでいた木の束の楯へ向かい魔法は放たれた為衝撃と木片程度は飛んできたがほぼ被害なく接近し牛角さんの角で作った槍を深々と感覚器を破壊しながら突き刺すことができた。


最後に追撃を喰らわぬよう勢いのままに走りぬける。幸いにして攻撃は成功し追撃の魔法が襲ってくることは無かった。概ね計画通りにヒトデ先生を狩ることに成功したのだった。




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