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伝説のシャベル  作者: KY
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2-21 湖岸の瞬き

いくらしっかり歯磨きをしていたと思っていても、癖というもので磨けていない部分がある・・・歯医者は定期的に行かないといろんな意味で痛い目にあいますね。嗚呼痛い。

 方針は決めた。だが直ぐにでも突っ込むというのは早計に過ぎる。ただ正面から突っ込んでいっても手痛い傷を受けるだろう。


 今までのヒトデ先生の観察記録に加え、狩るための具体的な情報を集めに行く。どのように、いつ、どんな条件で魔法を使っていたか。弱点は。どう倒すか。等々だ。



 身を潜めて観察を続ける。ヒトデ先生の中でも個体差があり、足先についている宝玉でも透明な、魔法を仕えないクズ宝玉ともいえるものを多く持つ者もいる。とはいえ最低でも5本は足があるうち2つは魔法が使える宝玉を持っているようだ。


 狙うならこのような、そして小さめの固体だろう。条件に合うヒトデ先生を見つけると張り込むことにする。




 10日ほど経ち天気が2サイクルした。イメージトレーニングは入念に、装備のチェック、今日こそ行動に移す時だ。


 息を潜めてじっと機を待っていると湖岸に水を飲もうとモンスターがやってきた―――しめた、牙付きだ。


 本日始めての食事を取ろうとヒトデ先生が湖より静かに近づいていった。


 サイズはまだ1m弱、5本の足のうち1本の足先に橙色の宝玉を、もう1本に黄色の宝玉を持ちあとの3本の足先には透明な宝玉しか持たない個体だ。そして今いる湖岸付近もほかに比べ湖が突出した部分であり身を隠す木陰も岸に近い。さらには他のヒトデ先生の縄張りからも遠い。





 牙付きが水を飲もうとした寸前に、小石が巨大ヒトデの近くへと投げ込まれる。ポチャンという小さな音に牙付きは足を止めると襲い掛かろうとするヒトデ先生に気がついた。


 牙付きは極めて闘争心が強い、野犬なら逃げているところであるが牙付きは虚を突かれたヒトデ先生に即座に襲い掛かる。そのサーベルタイガーのような大きな牙でヒトデ先生に噛み付くとヒトデ先生はビクリと全身を震わせる。だが、見れば牙はそこまで深く刺さってはいない、強固な体表組織に食い止められている。


 オーラの流れを感じるとともに牙付きがその牙を食い込ませたまま痙攣する。電流の魔法だろう。そしてよく見ればヒトデ先生自体も感電しているようだ、所詮はモンスターか。


 次の瞬間ヒトデ先生のすぐ傍で爆発が起こる、煙が晴れればそこには未だ破片を空中に散らす砕かれた石。そして疾走する影が一つ。


 その影から放たれた大きな棒状のものがヒトデ先生のすぐ傍の地面に突き刺さる。電流魔法の第二波が放たれるが影には当たらない、さらに接近する。


 再び爆発が起こる、今度こそ影を衝撃が襲う、砕かれた破片が飛び散り焦げる様な匂いと煙が漂った。これで終幕か。


 否、その煙を晴らすかのように影は疾走する。そして逆手に持った槍を勢いをつけ深々と巨大なヒトデの中心を穿ち、地面へと縫い付けた。そのまま影は勢いのままに走りヒトデ先生から距離をとると振り返り戦果を確認するのだあった。


 湖岸に立つのは男一人、死せるモンスターが2匹。ある日の昼前の出来事であった。


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