2-20 アフターバーナー
着眼点は悪くなかったと思う。だが結論から言えば無理だった。
体内のオーラを感じることは元々できている。だが自在にオーラを動かし体外で紋様を作るなど不可能だった。元々オーラが渦巻く体内で作ろうとしても紋様など波打ち際の砂のように掻き消えて混ざってしまう。
それでも収穫といえるものはあった。集中し、息を整え全身に力を込め力めば体内のオーラを吹き出すように全身から発することができた。そしてその後しばらくの間は身体能力の更なる向上が感じられたのだ。
しかしある程度時間がたつと今度はしばらくの間身体能力が低下してしまうことも分かった。一時的にエンジンを全開にし、その後冷却時間のような虚脱に陥ったのだろう。
これを魔法とカウントするかどうか悩んだが、とりあえず「ブースト」と名づけることにした。
腕に重点的に力を込めればある程度は腕を向けたほうにオーラを出すことができた。だがどうにも収縮率は悪い。仮に今後慣れてきて収縮率が上がったとしてもとても魔法が使える程までいけるとは思わない。
レーザービームが必要とすれば今できるのはせいぜい裸電球、極めても懐中電灯が関の山だろう。
そしてその問題を仮にクリアできたとしよう。だが次のステップである文様を描くということができそうに無い。体から出たオーラは多少は指向性を持たせられるが直線的且つ放射状に拡散していくだけだ。
やはりあの宝玉に秘密があるのか、オーラを収縮し、偏光板や回折格子のような機能により紋様のようにオーラを3次元的に展開する機能があるのかもしれない。
下手の考え休むに似たり、考えていてもどうしようもない、手っ取り早いのは実物を手にすることしかない、ならば。
―――狩るしかあるまい。楽しい生物と体育、魔法の時間だ。