2-17 湖岸の捕食者
出張終了、とても暑かった、めっちゃ疲れた・・・土日は休まないと来週から働けません。
幾つもの島を経てどれほど歩いたことか。さまざまな島があった。緑あふれる島、柱のみの島、湿地の島、何も無い島。どれも思えば感慨深くそれぞれがそれぞれの表情を持っていたと思う。
しかし今目の前に広がるこの島にはまさに息を呑むといった表現がふさわしかった。
大湖の島、巨大な島に存在する巨大な湖。砂漠を歩いて来ずに最初からこの島に落ちてきていれば海とも錯覚したかもしれない。澄んだ水に映る空は反射された日の光をもって眩しくも美しく彩られていた。湖の周囲には木々が生えていたが、その大きさのためか波打ち際が形成されていた。
島に上陸する前に過剰な荷物は砂漠に穴を掘り隠しておいた。身軽な体で周囲を探る。このようなサバイバルな日々を送るうちに身の隠し方、警戒の仕方等々のスキルはいやでも身についていた。
水源が豊かな島だ、大小のモンスターに野生生物、虫などを見つけることができた。警戒しつつも湖へ向かって進む。島は広大であり囲む砂漠から島へ流れ込む水脈を見つけるのは時間がかかりそうであるし、これだけ広大な湖を維持し続ける水脈だ、とんでもないサイズと流れだろう。見つけるとしても本流でなく支流でなければ危険で利用できまい。
身を隠しながら湖の近くまで進む。波打ち際を見れば数匹の野犬が水を飲もうと湖に集い、そのうち1匹が湖へ口をつけるのが見えた。
次の瞬間バチリという音と閃光とともに水を飲もうとした野犬が倒れ、痙攣しているのが見えた。それに驚いた野犬の群れが逃げようとするが、爆発と炎とともに2匹の野犬がその体を吹き飛ばされ波打ち際に倒れた。ほかの野犬は後ろも見ず遁走していった。
身を低く、物陰に隠れ何があったのかを見る。
すると湖から倒れた野犬に向かい1mは下らない巨大なヒトデのような生物が這い出してきた。巨大ヒトデは動かない野犬の上に覆いかぶさるとバキバキと咀嚼音をたてて野犬を喰らっていた。野犬をまるまる1匹食べたヒトデは爆発により傷を負い身動きの取れない野犬に近づくとまた同様に喰らっていった。そこで満腹になったらしく最後の1匹は手をつけず湖へとゆっくり戻っていった。
巨大ヒトデには体の真ん中に感覚器である宝玉が見えた。それは今までに無いほど透き通ったものであり水晶玉の様であった。そして足が5本見えたが、そのうち1本には透明な、あとは2本ずつ橙色と黄色の小さな宝玉があった。
おそらく、先ほどの出来事は巨大ヒトデが捕食の為に行ったことで間違いないだろう。魔法を使うモンスターは大口に続き2種類目だ。遠距離から攻撃してくる危険な敵、しかも複数の魔法を使う。
―――だが、そろそろ魔法に興味が湧いてきた頃だ。