2-11 ストレンジワールドと探索者
さて、結論から言えば一定以上の深さに埋めた葉はもちろん、殻を剥いた白玉の果肉も劣化が見られなかった。ただし外気と接していたり、かけた土が薄すぎたりした場合や砂漠表層の土を用いた場合劣化が見られた。
つまり、にわかに信じられなおことであるが・・・この結晶砂漠に埋められたもの、埋もれたものは時が止まってしまうのではないか。
そうだとすればこれは非常に重要なことだ。うまく利用すれば、冷凍庫代わりに活用できる。食料も水も腐ることなく保管できる。加工に手間取っている間にモンスターの素材が駄目になってしまうことも無い・・・ただし便所には適さないだろう。
これから進むにあたり砂漠の地下に食料保管庫およびシェルターとして残していけば何かあった際に撤退と休養が可能になりそうだ。
―――しかし、時が凍る砂漠、か。今まで立っていた地面が妙に不安定に感じられる。一体この地面の下には何が埋まっているのか。昨日見た光景に緑の葉が生い茂る木や島も見えた、ならば、埋められたとすれば、本来この結晶質な大地は存在せず何らかの要因で後から急にこの世界を覆い尽くしたことになるのではないか。今自分が渡り歩いている島々も、たまたま地表に残ったかつての地面であったのかもしれない。
何なのだろうかこの世界は。考えれば考えるほど異常なことばかりだ。すごしやすく規則的な気候、思えばサバイバルなんてしたことの無い自分でさえも容易に集められた食料、むしろ植生の違いはあれど生息している動植物の種類も少なさすぎる。星も無く太陽も固定されている。まるで誰かが生き易いように作ったもののように思える。
だが、その中で異彩を放つのがモンスター、そして砂漠の存在だ。仮にここがユートピアであれば戦うことも、食料や水を気にする必要も無いだろう。それにちらほら見かける地球にいた生物に似通った動植物とは違いモンスターの宝玉のような感覚器や大口の見せた魔法、他の生物に見られぬ攻撃性は異常に見える。
答えは世界に果てにあるのか、天空を越えたところにあるか、それとも地の底に眠るか―――興味が、湧いた。
だが、まだ早い。まだこの世界で半年も生きていない若輩には生きる力も、経験も、ここの知識も何もかもが不足している。今はとりあえずこの地上を探索することとしよう。時間は幾らでもある、あせることは無い。
ちなみに黄色いほうのサボテンもどきはこの実験中の大切な食料になった。甘酸っぱく瑞々しく爽やかな風味、柔らかな食感はこれまで食べてきたものの中でも1位に輝くものであった。大岩の島に帰るときは苗を持っていくことを固く誓った。
汚話がこれほどまで長くなるとは・・・




