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伝説のシャベル  作者: KY
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終章 伝説のシャベル

最終話です、ここまで読んでくださった方々に心からの御礼を申し上げます!

―――その後の旅路。

 


●セレス(クイーン)


 旧セカイの組織をそのまま纏め上げ主導者となる。元々の才覚が年を負うに従いより研ぎ澄まされていき長きに渡り君臨することとなる。高齢となり引退する間際にはクニとも呼べる規模にまで発展することとなった。多くの自治区をもつ多種族国家であり、政治的には共和制を敷きつつもそのトップにはかなりの実権が与えられていた。これは生活基盤が貧弱な時代においてはトップが強い権力を持っていたほうが発展には効率が良かったという側面からだった。ストレンジャーとの間に二男一女を設けるがその地位を世襲制にすることは無かった。



●リリエル(ナイト)


 セレスの側近として働き続け、引退の時期もまた同じであった。現場の最前線まで赴くことも多く指示をする側と受ける側との温度差を極力解消するように動いた、その為に広く支持を集めたが野心を持たずに謙虚で凛々しいその人格がさらに人気を呼ぶこととなり政治組織の安定にも大きく寄与した。ストレンジャーとの間に二女を設ける、育児のタイミングがセレスと被らない様にする等私生活においてもその姿勢は一貫していた。



●ルオナ(女史)


 開設された診療所の一職員として精力的に働くも過労に倒れる。その原因は精神的なものであったため回復まで時間がかかったものの復帰を果たす。思うところがあったのか生涯を独身ですごす。



●ロカロカ(ロッカー)


 ストレンジャーと行動を共にしていたためにある程度の注目と地位を手に入れそれを利用し安全な場所で働く。仕事、人間関係共にソツなくこなし目立つ存在ではなかったものの世渡りの上手さからそれなりのポストに落ち着く。安定性の高く比較的高給な仕事についた獣人の男性と結婚、最後まで何事もなく生きることに成功した。



●ミーナ(元王女)


 地位や名誉を求めずに一労働者として働く。ただし高い教育を受けていたためか知識は豊富でありそれが生かされる場所も少なからず存在した。ヒューマンの一部の団体が王制の復帰を仄めかしたもののキッパリとこれを拒絶する。かつてクニを守れなかったことを悔いてか常に最前線での現場の仕事にこだわり続けたが事故にあい足を痛めて後方での仕事を余儀なくされた。そこで余裕が生まれたのか常に傍に居た兵士Bと結婚し子を産み一般的な家庭として円満に過ごす。



●兵士A


 ミーナの元護衛であった兵士のうち姉の方、アーススターから受けた傷が古傷となって痛むようになり暫くして兵士を引退する。治療を受けるうちに医療への興味を覚え診療所の職員として働いた。



●兵士B 


 ミーナの元護衛であった兵士のうち弟の方、新セカイでもミーナに付き従い開拓や警備などの最前線で働いた。ミーナが事故にあった際自らの非力を嘆き献身的に看病を行った結果、恋愛関係に至りそのまま身を固めることとなった。その後はミーナから離れぬよう農業従事者として働いた。



●ナコナコ(包帯教師)


 新しい生態系や地理、その他様々な事象を精力的に研究する。また、豊富な知識を生かし様々な場所でアドバイザーとして重宝される。後進の育成にも力を入れ小さな私塾から規模が大きくなり最終的に学園とよばれる施設を作り上げた。ストレンジャーとの間に二男五女を設け、育児を行いながらも精力的に仕事をこなすその姿は多くの者に感銘を与えその実績と共に大きく評価された。多忙の為か長生きはしなかったものの極めて大きな功績を後世に残した。



●ジジン(親方) 


 『ナック』に住んでいたドワーフ達の代表。良くも悪くも安定していた旧セカイから新セカイへと移ったことにより多忙を極める。独特のコミュニティを築き山間部に自治区をつくり住み着くこととなった。ただし新しい血も積極的に取り入れ、芋の栽培や酒造、鍛冶等の独特の産業をより発展させることにより生活基盤は向上し血が濃くなりすぎた結果である奇形の問題も解消されることとなった。問題は数多くあったもののある程度解決の目途がついたところで高齢を理由に後継者を大親方として任命し引退する。



●キグルン(キグルミ)


 幼児をそのまま大きくしたようなアンバランスな等身を持った奇形のドワーフ。怪力を生かして様々な現場で活躍する。最初は喋れない事と異様な見た目で敬遠されることも多かったが、時を経るごとに気持ち悪いけど可愛いという評価が広がりマスコットのように扱われることになった。自分の頬を叩いて大きな音を出す仕草も何故か流行し後世まで続くリアクション芸として確立された。ストレンジャーとの間に一女を設けたが、多少腕力は強いもののその姿は普通のドワーフであった。



●ドワーフの鍛冶兄弟


 開拓において必要な道具や武器を作り続けるうちに技術も上がり最終的にその工房はクニで一番腕のいい工房として広く知られることとなった。



●ミレイ&ルヴィ(女エルフ 赤妖精)


 新しいセカイでの生活が軌道に乗るまでは他の労働者と共に働いていたが、ヒトが開拓により新しい地へ移動するとその一団に参加した。ある程度時が流れた後、未知の世界を見に旅出つと言い残し姿を消す。その後の消息は不明。



●ジコジコ(獣人の長老)


 『フーリル・ユーキー』のエルフに虐げられ逃げ出した獣人が作った隠れムラの長老。『フーリル・ユーキー』議会の崩壊後には新しい行政機関の長として任命された。新セカイに来た後も多くのエルフと獣人を纏め上げ、森林地帯に自治区をつくり定住した。ただし、反抗的なエルフも数多く存在しておりその集団は離反して新天地を目指し旅立った。高齢の為に在任期間は短かったものの両種族の関係改善に努めた。



●ゴルベーサ(エルフの長老)


 もっとも長く生きている『長老』としてある程度の政治的な権限を持ってはいたが有名無実のものである筈だった。しかし議会が崩壊し、短い間ながらも暫定的な責任者となった。ジコジコの指示に従い両種族の関係改善や自治区の運営をサポートしていたが、現体制に離反し新天地を目指すエルフの集団とその理念には反対しつつも最後の責任と言って行動を共にする。新天地を求めて移動する間に疲労から病にかかり集団を案じながらも息を引き取る。この願いもむなしくこの集団が興したクニが創造神より力を奪いし悪の巨人の征伐という名目で攻め込んできたのだが、偶々散歩していたストレンジャーと遭遇し遠征軍は壊滅、片耳を引きちぎられる辱めを受けた後に全員追放される。遥か南の暑い地に辿り着いた集団は長く暮らすうちに皮膚が褐色になっていき『ダークエルフ』と後に呼ばれるようになった。



●ニアニア&ミケミケ(獣人の母娘)


 ストレンジャーにより命を助けられたミケミケとその母であり案内役を務めたニアニア。ジコジコの指示の下で一般的な労働者として働いていたが偶々遭遇したストレンジャーに付き従うようになり、最終的に母子共にストレンジャーとの子供を設ける事になった。



●ベヒモス


 魔王獣。黒の森と呼ばれる一帯にて長きに渡り王者として君臨し続ける。他のモンスターも多くが黒の森で暮らしていたが、一部の変わり者や遠い子孫は新天地を目指してセカイ中に広がっていった。



●キマイラ


 三本の首のうち一本を無くした事が響き、暫く後にかつて格下であったモンスターの群れに敗れて命を終える。後にキマイラを倒したモンスターの種族は知恵を持ち、独自の文明を築き上げ魔族とヒトに呼ばれる存在になり大きな戦火がおこることとなる。








●フィア


 常にストレンジャーの傍に居り離れることは無かった。ストレンジャーとの間に多くの子を生し、その子供たちは妖精として破格の能力を持っていたために成長した後には妖精の中で重要なポストを占めるようになった。手狭になっていく始原の大樹以外に新セカイに存在する大樹へと移民する際には先陣を切って飛び立った。いつまでも変わらぬ姿でストレンジャーの頭の上で遊ぶその姿からその存在は超常のものと見なされ信仰の対象にもなった。



●ストレンジャー・アウトロー(巨人)


 創造神から力を受け継ぎ、新しいセカイを創造した後は自由気ままに過ごす。基本的にヒトビトに命令をしたり行動を縛ろうとすることは無かったが、どうにもし難い大きな問題が生じた際は多額の報酬と引き換えに力を貸した。しかし本質は変わらず攻撃を仕掛けてきた相手には情け容赦無く殲滅した。善悪の観念を余り持たず、良く殺し、良く生かした。多くの種族との間に戯れに子供をつくったが、いわゆる巨人族という種族は生まれることは無く母親の種族と同じ子が生まれた。ただし、力が強かったり魔法の才があったり多少特異な能力を持っていたようであり成長後はその力を活かしてクニの発展に大きく寄与した。旧セカイから続く波乱に満ちた旅路は神話となり語り継がれていく事になる。





 ―――――とある時、とある場所で。


「・・・暇だな」


「そーだネーおじ様・・・ア、また子供でもつくろうかナ?20人目」


「それも悪くないがな・・・まあ、そろそろ潮時か」


「ン?ナニナニおじ様、何書いているのかナ・・・エーット、『旅に出る。最後の自由をやろう。それは滅びの自由だ、思うが侭に生き抜くといい』何コレ?」


「大分セカイも安定した、少し飽きが来るほどにな。あとは残っている奴等が勝手に生きていくだろう、それで種族が繁栄するのも滅亡するのも奴等の自由であり権利だ。」


「キャハハッ、ようやく独り立ちってところカナ?」


「ククッ、いい表現だな。さて、そろそろ行くとするか。お前はどうする?残るのもまた一つの選択だ」


「ンモ~、一緒に行くに決まってるでショ!、デモデモどこに行くのカナ?おじ様と一緒ならどこでもいいけどサ」


「先だ、先へ行く。まだ見ぬ場所へ、まだ知らないセカイへ、だ。」



 シャベルの刃に足を掛け、全力で踏み込む。だがその刃先が埋まるのは地面ではない、空間自体に埋め込まれていく。穿たれた空間から亀裂が広がっていく。


「行くぞ!」

「ウンッ!キャハハハハッ!!」


 最後の一振り、足で踏みつけた渾身のそれは、感じていた抵抗を撥ね退け―――落下する体、笑いながら身を躍らせ。


―――穴は埋まり、男は消えた。

 





何とか予告どおり9月中に完結させることが出来ました。当初の予定では一年もかからない予定だったのですが、転職や職場の配置換え等で忙しかったこともあり思った以上に時間がかかってしまいました。


書いていて思ったこと、それは案外小説を書くのは難しいということです。なんかノリで書けるだろうと思っていても自分の才覚が無いせいではあるでしょうがどうにも思い通りの言葉を並べることが難しい、それに途中で気になった言葉や事象を調べてからじゃないと筆が進まないので一話あたりが短くとも案外時間がかかってしまいました。


大まかな話の流れは最初から決まっていましたが、途中で結構グダグダしたり悪ノリしているところもあり直したいなと思う所もあります。今なら学園編はもっとあっさり終わらせていた気がしますが当初はまだ文を書くのに慣れていない事もありまして・・・とはいえ消すのも何かな、と思い続けさせていただきました。


次回作はとりあえずゾンビもので書かせていただきたいと思いますのでもし投稿いたしましたらぜひ見てやってください。


最後に、読んでくださった方々、感想や誤字脱字の報告をしてくださった方々、本当にありがとうございました!


追記、練習用に書いていた『マジック→ロジック』という作品を投稿します。微妙な出来でしたが腐らせておくのもと思いまして・・・もしよろしければ暇つぶしに読んでみてください。これで自分は王道モノには向いていない事が判明しました・・・


さらに追記、構想中の新作は『アルファベッツ!』というタイトルのゾンビものにする予定です。投稿できましたら是非よろしくお願いしますm(_ _)m



2016年11月、こっそり新作書き始めました。「アルファベッツ!」似非ゾンビものです、よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] サバイバル系冒険譚好きなこともあり、止まることなく一気に読み進めてしまいました めちゃくちゃ面白かったです [一言] エルフさんさぁ……
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