6-24 破界
「フィア、起きろ」
「う~ん・・・アレ?おじ様!?創造神様はどうしたのサ!?」
「眠った、二度と目を覚ますことは無いだろう。だが問題は解決した、行くぞ」
「ヘ?エット・・・おじ様、何かチョット変わったカナ?何かマナの量がエライこっちゃになってるヨ?」
「ハッ、保持量か、今になればそんなものは滑稽な言葉だ」
マナ、オーラ、他の言い方もあってもいい。ここの生物はセカイに満ちている魔力を細胞内に取り込んでいる、取り込まれた魔力は様々な種類のエネルギーに変換されその結果、身体能力の向上や組織の強化が生じる。魔法とは、魔力の相互干渉による現象の発露であり言ってしまえば『デウス・エクス・マキナ』が魔力を自らのエネルギーに変換したのもこのセカイを作り上げたのも魔法と言える。
モンスターはこのセカイの住人ではなかったが魔法を使える。これは『デウス・エクス・マキナ』が暴走した際の空間の歪みにより一時的に接合してしまったセカイ、隣接しており限りなくこのセカイに近い法則と構造をもつセカイの住人であったからだ。この自分も実のところ似たようなものだ、このセカイに似た世界に生きていたからこそこのセカイの環境に対応することが出来た。ただし、この身体は魔力を受け入れる機能はあったものの今まで接したことが無かった。モンスターを殺した際には保持されていた魔力が急速に拡散する、魔力を今まで保持していなかった細胞がその奔流を浴びることにより強制的に保持する機能が抉じ開けられた。このセカイの住人に比べてその最大キャパシティが高かったためだろう、敵を倒すたびに魔力の保持量は拡張し続けた。
今現在はキャパシティ上限まで、いや作り変えられた身体は膨大な量の魔力を保持する。
だが、それに今となっては何の価値も無い。保持する必要性などそもそも無い、このセカイには、それを囲う空間には無限に近い量の魔力が存在するのだから。
一歩、踏み出す。
それだけで未だに殺し合いを続ける2匹の怪獣の眼前に到着した。
「エ?エッ?アイエエエエエエエ!?」
空間を歪めて繋ぐ程度なんぞ造作も無い事。どちらも身体から盛大に血を流していたが、さらに『ベヒモス』は顔面の3割ほどが消失しており『キマイラ』は獅子の首を失っていた。
「グルアアアアア!ギッ!?」
「オオンアオン!アオッ!?」
二匹はこちらを見ると驚いたような泣き声を上げ硬直する。
『ベヒモス』はその後、頭をこちらへ向けて下げ地面に伏す。『キマイラ』もしばらくは混乱するように鳴いていたが足を折り地面へと伏せた。
「おじ様・・・」
「さて・・・始めようか」
場所はどこでもいい、やることは同じだからだ。だから、ここでいい。
シャベルの刃を地面に刺し、ぐっと足で踏みつける。裂けた地面から皹があらゆる方向へと広がっていき――――
世界は崩壊した。
一人さびしくドライブでも行って家でちびちび酒を飲もうかな・・・
9月中にはひとまず完結させる予定です。




