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伝説のシャベル  作者: KY
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第一章 孤島生活編 1-1 目覚めと戸惑い

さて、墓穴を掘っていた男は綺麗に現実世界から滑り落ちてしまいました。奇妙な世界で男は目覚めます。第一章、孤島生活編です。もしよろしければ時間つぶしに読んでみて下さいm(_ _)m

目を覚めせば一面の青空、しばらくぼんやりと空を行く雲を眺めていた。飛び起きた瞬間体に走る鈍痛に体を丸めるが、青く透き通る地面が目に入れば驚きに再び体を仰け反らしてしまいしばし悶絶する。


ようやく落ち着いたところで体の具合を確かめる―――体は打ったが骨は無事なようだ。あたりを見回す。


直ぐ傍にスコップが地面に刺さっている。ただしその地面は、例えるならば蒼い砂漠、いや砂というよりは石英様の結晶に似ている気がするが。


結晶状の欠片の集まりで奇妙に透明感があり岩のように固い。光の乱反射等もあまり無い為か数メートル程度先の物の形までわかりそうだ。聞いたことがある、水は無色透明ではなく分子の赤外吸収が可視領域にまで影響を及ぼすため海などではまさに水色に見えるという。この砂も似たような性質を持っているのだろうか?もしくはただ薄い青色を呈す物性をもつのか・・・少なくとも地球上では聞いたこともないが。


ありえない光景にしばし我を失う。砂漠には、その蒼さからさながら海のようで、遠景には島のように見慣れた土色と緑色が見える。


戸惑いから醒めた男が感じたものは大きな怒りであった。天国にしてはあまりに殺伐としており他の人間も見当たらない。地獄にしては砂漠の癖にじつに快適な気候である。僅かな勇気を振り絞りすべてを終わらせようとした男にとっては青天の霹靂であった・・・今空はこれまた憎らしいほど晴れているが。


シャベルを掴むと感情のままに砂漠へと叩きつける―――が、地面はわずかに削れただけで見た目以上に硬質な手ごたえに腕がしびれ痛みに地面をのた打ち回った。


しばし悪態を吐きつつ蹲っていた男であったがよろよろと立ち上がるとペットボトルの中身をあおり喉を潤す。一息ついた男であったがふと気がつき水の残量を見ると残り100mL程しかない。この状況下で水分を無駄に失ってしまった事を悔いる。


だがいつまでもそうしてはいられない。最寄の、といってもずいぶんと距離はありそうだが、砂漠に浮かぶ島の緑へ向けてシャベルを杖に歩き出した。男は死の覚悟はすでにできてはいたが、この訳のわからぬ海のような砂漠の真ん中で飢え死にすることは何か嫌だったのだ。


荷を背負いえっちらおっちらと砂漠を歩いていく、なかなかに遠い道のりだが救いなのは砂漠といっても見た目だけのようでグラウンドのような固さがあることで歩くにはそう苦労はしないことであった。さらに不思議なことに気温、湿度ともに実に快適であり歩いていても軽く汗ばむ程度で済んでいた。


道のりは順調といえたが男は奇妙な居心地の良さと、視覚・聴覚等の五感では説明できない何かが周囲に満ち、そして体の表面に張り付いてくるのを感じていた。それがどこにどのようにあるのかを頭では理解できているが、それを表現することは困難を極めるように思えた。


それらは男の気を引くものであったが、不快さを感じさせないこともあり奇妙に思いつつも男は雑念を払うように首を2、3度振り前を向いて歩き出した。穴掘りで体力を消費していた上奇妙な出来事が続きいろいろな疲労が感覚をおかしくしているのだろうと考えていたし、今一番に気にせねばならないことは島へとたどり着くことであった。


時折休憩を挟みつつも男は島へとたどり着いた。


苔と芝生の中間のような植物が地面を覆っていたが直径30メートル程度の小島には水源もなく求めるものは無いように思えた。中央には細い木が1本生えていたが実は成っていなかった。しかし木が生えているという事実は水もまたあるということであり、男に僅かな安心感を与えるものであった。


しばし木陰で休息を取ると今度は遠目にもわかる大きな岩が目立つ大きめの島へと歩き出した。ペットボトルの残量はすでにほぼゼロになっていたが容器は大切にタオルでくるみリュックへと仕舞った。飲み物込みで場所によれば1ドルもしない樹脂性容器は今や千金の価値を持っていた。


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