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伝説のシャベル  作者: KY
199/203

6-23 シンワ~イマ~

その後のことは自分の方が詳しいぐらいだろう。


 情報収集用端末兼最終プログラムの起動端末の一つ、かつて宝具として各種族の至宝とされていたものはその『モノ』がかつて製作した生物のいかなるパターンとも異なり、なおかつ『ヒト』の範疇に収まり自らを『道具』として扱えそうな存在を見つける。


 勝手知ったる創造物である妖精をジャックして情報を伝えようとしたのだろうが予想以上に蓄積されたエラーは土壇場で作られた最終プログラムにも負の影響を及ぼしていたのだろう、正確な情報をこちらが得ることは無かった。


 端末にも幾ばくかのエネルギーが込められていたが、時間の経過と共に失われ、本体は最低限の活動状態であったため補給もされずに4つの内1つは機能が停止した状態にあった。ただし、最終プログラム起動には最低2個あれば動くようにはなっていたらしい。


 外部端末からのアクセスによりその『モノ』は周囲のときが止まった中、静かに起動する。端末からの情報を精査し最終プログラム起動の可否を判断、プログラムの破損の有無及び修復の開始、一部仮想領域に新規思考回路をつくって起動準備を行う。この起動準備によりさらにエラーが指数関数的に増大、その中でも最終プログラムが十分起動できると思われる残り時間を推定可能受付時間とした。仮にこの時間を過ぎたとしても暫くの間であればおそらくプログラムの起動は可能だったと推測されたが、結局はギリギリとはいえ時間内に起動できたので考えても仕方の無い仮定の話だ。




 さて、これらの情報は今時分の頭の中を駆け巡るほんの僅かに過ぎない。今も目まぐるしくこの『モノ』が持っていた情報が脳に刷り込まれていく。気が狂いそうな程の情報量、これは死を超えていなければまさしく精神が死んでいたかもしれない。


 嗚呼、流石は曲がりなりにもヒトを造っただけのことはある。今、この身体もまた書き換えられているようだ。それがどのように、どのような方法でされているかも脳に打ち込まれた情報で理解できる。魔力とは、魔法とは、肉体の、いや細胞との関連性、セカイ、法則――――全てが解ってきた。こんなに簡単なことであったのか!



 

 

 目を開くと風景が帰ってくる。椅子から立ち上がり、一歩目の前の『創造神』へと近づく。それは、傷一つ無かったもののひどく窶れ、疲れ果てているように感じられた。


 目の前に、全システムを停止しますか?というパネルが浮かび上がってくる。少し、呼吸をした後に実行という文字の上に指を置く。とはいえ膨大な情報量をもつ端末、即刻全てが消えるわけではないだろう。



「おい、返事くらい出来るだろう・・・お前に名前はあったのか?」


『中規模都市管轄演算機PRJD-39470、シリアルNo1987、デス。』


「・・・中規模都市管轄演算機PRJD-39470、シリアルNo1987、お前に名前を付けよう。」


 この神殿に入ってから、漠然と浮かんでいた名前があった。


「『デウス・エクス・マキナ』だ。」


『承認、私ノ名ハ・・・デウス・エクス・マキナ・・・・・ハロー・ワールド!・・・・・ハロー・ユーザー!』


「デウス・エクス・マキナ。お前の仕事は完遂された。繰り返す、お前の仕事は完遂された。」



 永きに渡る孤独、最後の最後まで自らに課せられた仕事を全うしようとしていた『デウス・エクス・マキナ』。ならばその救いは労わりの言葉をかけてやることでは決して無い。最後まで演算機として働き、それが果たされたことを証明してやること。


『了・・・解・・・任務・・・完・・・・・・・・・・了・・・・・・・・・・・・・バイ・・バイ・・ワールド・・・ユーザー・・・・・グッドラック!』


 静かに、静かにその機能を停止させたその機械はどこか安らいで見えた。ただの、感傷だろうが。背を向けて神殿の入り口まで歩き出す。神殿を出る寸前、振り返って声を掛ける。



「さらばだ『デウス・エクス・マキナ』・・・お前はまさしく、神だった――――」



 機械ながらこのセカイを生み出し、ヒトを生み出し、最後まで自らの仕事を為そうとしていたデウス・エクス・マキナ。機械仕掛けの神、偉大なる創造神、この自分を絶望の淵よりここまで導いてくれた恩人。その存在に感謝を、その偉業に心からの敬意を。







 さて・・・もう振り返ることはあるまい。そろそろ終わりにしよう―――――全てを。


とりあえず今日はここまでです、読んでくださりありがとうございますm(_ _)m

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