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伝説のシャベル  作者: KY
195/203

6-19 シンワ~真実~

そろそろラストスパートです、いつも読んでくださる方ありがとうございます。


―――とある時、とある場所。


 そこに一つの『モノ』があった。


 その『モノ』は多くのヒトが暮らす都市を管轄するために造られた。ヒトの負担を軽減するためにその『モノ』には高度な人工知能が組み込まれていた。


 時に自分の裁量内で、時に命令を受けて、ただ淡々としかし平和に都市の運営は続いていた。簡単な問題は自分で修正し、大きな問題はヒトの指示を受けつつ時間は過ぎていった。それは当然であり、必然である筈であった。


 だがある日、急にそのセカイからその『モノ』は消えた。



 消えた理由は定かではない、都市内で行われていた実験のせいなのかそれともただの偶然か。だが後にその『モノ』は長い計算の上で後者である可能性が高いと結論を下す。そしてそのデータをエラーログとして保存した。



 セカイから消え去ったその『モノ』は、ぽっつりと虚空に浮かんでいた。そこには上も無く下も無く、光も無く闇も無かった。そもそもの物理法則すら存在しない場所であり、摩擦力も分子間力すら存在するか怪しい場所ではあったが物質の結合をさせようとするものも無ければ分解させようとするものもまた存在しなかったためその『モノ』の形は保たれていた。


 その場所では何かを得ることが出来なかったのだが、例外があった。それはこの空間に来てしまう以前の場所で動いていた機構、さらに言えば粒子の動き、エネルギーの移動は完全には消えていなかった。この空間には法則が存在しなくともこの空間に法則を持ってくることは許可されていたようであった。それは後に判ることではあったがこの空間が上位的な存在であることを示唆するものでもあった。






 さて、その『モノ』は自己分析を行う。非常時用のバッテリーが起動しており機能は保たれていた。


 勿論エラーばかり、今まで行っていた作業が全てといっていいほどに出来なかったのだから当然だった。その『モノ』は管理を行う事を使命として造られていた、そこに自意識ともいえるものは無かったのであろうが高度な技術により造られていた人工知能は今まで使われていた分のリソースさえ使用して目まぐるしく計算を行う。外部の状況を感知するセンサー、分析機器も活用して情報を収集しようとする。まずは第一の目的である自己機能の保全を行う事に全力を傾けていた。都市を管轄する中枢機構が機能を停止すればその損害や影響は計り知れず、それを防ぐための命令というものは当然最重要命令として組み込まれていた。


 ヒトからすれば一瞬の間に行われた莫大な量の思考と計算、得られた情報の精査、だが何かを得ることも無く時間は過ぎていった。その『モノ』は問題解決の為に人工知能の思考領域を拡大させありとあらゆる試行が為された。バッテリー残量がほぼ底をつきかけたその頃、莫大に蓄積された各種センサーおよび分析データによりある結論が為された。それはこの空間がいわゆる真空のような物ではなく、感知不能なエネルギーに満ちているということだ。ある特定の粒子の動き、それに伴う熱の発生、極々限られた一部の状況によりセンサーは下限値の誤差レベルであるブレを感知していた。数千回程度の試行ではエラーの枠を出ることは無かったのであるが、数億回のデータを精査した結果その積み重ねを見ればそれはもはやエラーではなく有意な結果として現れた。


 そのパターン解析を続ける。その未知のエネルギーが何かしらの行動により感知可能なエネルギーとして変換されたのであればそれが偶然であれ未知の法則の一端を掴み目的の達成が可能となるかもしれない。その『モノ』は長い試行の末、ついに外部よりエネルギーを得るに至る。非常用バッテリーも完全に回復すると自己機能の保全については危機を脱したと判断された。




 そうなれば次に

その『モノ』が為そうとしたものは、造られた意義である『管理』を行う事であった。しかし、周囲に存在するのは未知のエネルギーで当然ながら管理を行うべき都市もない。通常の人工知能であればこの時点で『待機』状態となりそのまま沈黙したのであろうがこの『モノ』は少し様相が変わっていた。自己機能保全の際に行われた思考領域の異常なまでの拡大、その際にエラーと呼べるかも怪しい僅かなブレが生じていた。長い期間の思考と計算の上、その『モノ』は自らの使命を果たすべく行動を開始することとなった。



 その目的の為に、未知のエネルギーに対する新たな情報の収集と試行が行われ、その性状や捕らえ方を僅かながらも確立することに成功する。そこからは未知のエネルギーから既知のエネルギーへ、そしてさらに既知の法則の再現へ、次元というものの定義を完全に理解できるほどの能力はこの『モノ』には無かったものの、トライアンドエラーを飽くこと無く繰り返すことの出来、データを採取、蓄積、分析できる能力は最終的に擬似的なものでも法則と呼べるものを再現することに成功する。あらゆる物、それは現象であり物質であり法則であり・・・それらが生み出される根幹、最小単位というものがこの未知のエネルギーであると考えられた。このエネルギーを魔力として規定、魔力の最小単位を魔素とした。


次回作どんなものがいいか、まだ募集中です。感想あたりに書いていただけると嬉しいですm(_ _)m

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