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伝説のシャベル  作者: KY
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第六章 地底決戦編 6-1 侵攻準備

 一度『ナック』まで戻り物資の補給と装備の補修を行うこととする。『ワイバーン』の頭蓋でできたヘルメットももうすこししっかりとした作りにしたい。


 後続組みは、何というかむくれていた。確かに結構な時間が経っておりこの退屈なクリスタルの空間で待っているのは苦痛だっただろう。ミレイにナコナコは何があったのかを聞きたがった、キグルミは自分の頬をパーンッと叩きながらじいっとこちらを見つめてきた。とりあえずはキグルミの大きな顔にある大きな頬を揉みしだいてやると目を細めて大人しくなった、この重量感溢れるもっちりとした触感もまた悪くない。


 次にまとわりつくミレイを置いておき、ナコナコの耳や頭をわしわしと撫でる。これもまたフカフカであり中々に触り心地が良いものなのだ。顔を赤くして大人しくなるナコナコ、いや元より騒いではいなかったか。


 エルフであるミレイ、そして赤妖精。赤妖精はフィアがまた少し大きくなったことを目敏く見つけ、羨ましがっていた。妖精族の中では今フィアはトップレベルのスタイルを持っているらしい。ミレイは触って楽しめそうな場所が無い、残念だ。


 一通り堪能すると『フーリル・ユーキー』や出会った魔王獣について話しながら『ナック』へ向け足を進める。


「そうか、残念だよ。『フーリル・ユーキー』が半壊していたなんて・・・いや、生き残っているヒトがいる分随分とマシなのかな」


「ああ、そうだ。どうにも勝手に強大で凶暴な相手に喧嘩を売って返り討ちにあったらしい、難儀なことだ」

「キャハハハハッ!そうだネ!とっても大きな相手に喧嘩を売ったんだよネ!!」


「従姉妹が生きているとは夢にも思わなかったよダンナ・・・でも60年も経っていたんだね」


「生きている時間が被っているだけでも運が良い方だ」


「そうだね、ミイラになっていたら知り合いかどうかもわからないからね。でも獣人とエルフの仲が悪くなっていたのをダンナが仲裁したというのが意外だったよ、ダンナはこんなことしないと思っていたし」


「成り行きだ」


 『アルカ・キレハ』が沈む地底湖で小休止を取り、物資の集積場を抜けて『ナック』へと戻る。途中で物資を運送する地上から来た一団に出会ったので至急適当な責任者を『ナック』に向かわせるよう言付けをする。直立不動で返事をすると駆け足で走り去って行った。『フーリル・ユーキー』の現状並びに徴収する食料についても話し合いを行いたかった。



 『ナック』へと到着、空になっているスキットルに酒を補充し煽る。仕事の後の一杯は美味い、だがエールが無いのが悔やまれた。一気に飲むにはダルイモの酒は癖が強く爽快感は薄い。勿論それでも飲むが


 『ナック』に住むドワーフ達も武器や防具の加工について多少は慣れてきた様子だ。ヘルメット並びに防具の留め金の微調整等をしてもらう間に今後の事について話を詰めたいものだ。


 2日ほど地上組の代表を待つ間休養する、来たのはナイト、種族もエルフなので丁度いいか。



「お久しぶりです巨人殿。至急の用件と聞き急いで来ましたがお待たせしたようで申し訳ありません」


「ああ、今は時間が惜しい、さっさと話をしよう」


 ドワーフの親方、ナイト並びに地上組の幹部、ナコナコやキグルミ等が卓を囲む。『フーリル・ユーキー』が60年前に目覚め、今も半壊しているものの健在であること。獣人とエルフの確執があったもののこれを解決したこと、現在治安は悪いものの食糧等の物資支援の約束を取り付けていることを説明。多少はぐれアーススター等に襲われる危険があろうと『フーリル・ユーキー』まで活動範囲を広げるべきであることを話す。


 喜ばしく明るいニュースに周囲から笑顔がこぼれる。生きる時間が多少ずれてしまったとはいえ知り合いや家族が生存している可能性があり急いで地上まで伝えるべきだという意見も上げられた。まあ、それは勝手にすればいい。しかし、最重要課題が残されている。


 それは、タイム・リミット。あと100日弱の間に創造神の元にまで辿り着かなくてはこの世界がどうなるのかが分からないと言うと一様に驚いた顔をを浮かべる。混迷しそうになる場を一喝し黙らせ、建設的な話し合いを行わせた。


 結局最終的に決まったのは、物資の輸送班並びに鍛冶師の分班を『フーリル・ユーキー』にまで移しこちらの行動を最大限バックアップさせる事と決まった。ナイトもこのまま下へ降り『フーリル・ユーキー』にて両長老を交えた話し合いをしてもらう予定だ。武器や防具の整備も完了した。『ワイバーン』の頭蓋のヘルメットはヘッドギアと完全に一体化し、補強された上で戻ってきており被りやすくなった。他の装備も細かい傷や破損した部位を修繕、交換し綺麗な状態だ。



 100日弱、これが短いか長いかの判断がまだつかない、それは情報を得ていないからだ。準備も万全に整ったためペースを上げて地底へと向かう。とりあえず現場を見てからではないと何とも言えないのはどんな事柄でも共通だ。


 それでは―――出発。目的地は『始原の大樹』並びに『創造神』。さあ、この物語はどのような結末を迎えるのか、楽しみでならない。




 


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