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伝説のシャベル  作者: KY
176/203

5-48 タイム・リミット

「どうだ?」


「・・・」


「おい」


「・・・」


「どうし」「規定外魔力パターン検出・プロトタイプFR型生命体同調完了」


 機械めいた明確だが起伏に乏しい言葉、無表情で言葉を紡ぐフィア。


「外部コア検出・第1・第2・第3・マルチスレッドスクリプト・スタート・・・エラー・再試行・第4・リサーブ・・・1401号プログラム実行中・・・アクセス・エラー・再試行・アクセス・エラー・再試行・アクセス・・・コンプリート」


「スキャニング・・・通常システムエラー、データガ不全デス。再試行及ビ修正開始・・・エラーコード109・サブシステム検索・サブシステムエラー、データが不全デス。再試行及ビ修正開始・・・最終プログラム実行ヲ確認・不明領域尚モ増大中・推定可能受付時間・残り8640000,8639995,8639990,以後同速。」


「ようこそ、ユーザー。非常用外部コア01より04並びに残余バッテリーにより500731号最終プログラムが実行されました。システム限界受付時間までユーザーの入力が可能な状態となっております」


 何を、言っているのか。いや、違う。今はこの言葉を一語一句忘れぬよう頭に刻み付けることが先決だ。疑問など後で頭の中で反芻すればいい。


「そ、創造神さまでいらっしゃいますか!?どうか、どうか私達をお助けください」


「パターンEL810検出、対象に権限はありません。外部音声信号を確認しましたが、本システムは自律回路を有しておりません。」


 エルフの長老が口を挟み助けを求めるがその言葉が届いた様子は無い。しかし、自律システムが無いということは話しかけても無駄なのかもしれないが―――何とも予想外すぎる。


「つまり、一方通行というわけか」


「・・・規定パターンに該当せず、ようこそユーザー。外部音声信号を確認しましたが、本システムは自律回路を有しておりません。推定可能受付時間残り8639936。FR負荷増大。BGモードへと移行します、起動パスワードは7021です・・・・・・・・アリャリャ?おじ様難しい顔してどうしたノカナ?」


「・・・」


「おじ様?」


「巨人殿、いったいこれは・・・」


「ううむ、創造神様ご本人とは少し違うようじゃが」


 意識して一度息を吐き出す、吸う。思考開始。大分予想外の事態とはなったがこれも事実だ。


 このセカイのヒトビトには馴染みが無いのだろうが、随分と機械的な言動、いやどう考えてもプログラムだった。途中で声色やテンポが変わったようにも思えた。コンプリート、という部分までは以前聞いたことがある口調だった。外部コアというのが宝具に当たるのだろう。4つ揃ったことで条件を満たし今まで途中で止まっていた部分から先に進めるようになったということか。


 次にカウントダウンを始めた所までで区切られる、このカウントダウン、おおよそ1秒で1減少していった。しかし、最終プログラムとは何とも不穏な言葉だ。その前の言葉を考えればこの最終プログラムは何かしらのエラーにより仕方がなく発動したものだろう。


 そして滑らかな口調となる。推定受付時間に限界受付時間、後者は具体的な数字が言われなかったことを考えれば確定できない情報なのだろう、前者は数値化できるという点で大分正確なものなのだろう。そしてユーザー、規定パターン。本来ならば規定パターンに該当する方に何かしらの権限があるはずなのだが、だがこのユーザーと規定外は自分の事を指していると考えてもいいだろう。


 そして何とも一方的な情報通達だ、こちらからの反応を受け付けない。だが、最終プログラムという不穏な、切羽詰っていそうな名称からすれば必要最低限の機能を持つモノとして作られたのだろう。



 創造神が、このセカイをつくり。そしてクリスタルで覆い尽くした。この最終プログラムに並びに制限時間、これを無視することはどう考えても危険だろう。


 フィアを見る。また1割程度サイズが大きくなったようだ。額の宝具は見る角度により様々な色に光り輝き美しい。相変わらすの凹凸の全く無い体型ではあるが・・・まあ、触り心地が向上しているのならばそれが一番重要だ。手を伸ばしてフィアの腕を、頬を、腹を触る。


「キャッ!アンッヒアッ!・・・もう、おじ様ったら急に触ったらビックリするヨン、そういうのは二人ダケのときにしてよネー」


「・・・」


 何たることだ。何たることだ。絶妙に吸い付いてくる肌、限りなく完璧な柔らかさ、しかし損なわぬしっかりとした弾力。素晴らしい、素晴らしすぎる。パーネとかいう妖精なんぞフィアと比べれば月とすっぽん勝負にもならない。髪の毛までもサラサラしているのに弾力を感じるようだ。ああ、何たることだ。


 左手で右手を掴み動きを止める、そうでなくては際限無く続けてしまいそうだった。


「・・・フィア何か感じるか」


「おじ様の手の温もりを感じるヨ・・・冗談、冗談ダヨ!下の、あっちの方がものすっご~く気になるのサ」


 尻尾の指す方向は地底においてさらに底。


「ンン~、始原の大樹も感じるヨ・・・もうそんなに遠くは無いネ」


 そうか、ならばもう目的地は決まったも同然だ。そしてやることも。ただ、制限時間が課せられている事が気になる点だが・・・1秒1カウントとして想定すれば残りはほぼ100日、これを多いと見るか、少ないと見るか。



 始まりがあり、終わりがある。どんなものにも終わりはあるが、それがどう終わるかが問題だ。



―――物語の最終章が始まる。


 


 

そういえば今日で投稿開始して1年経ちますか。いつも読んでいただきありがとうございます。


数字ふざけすぎたかな・・・訂正を検討中です

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