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伝説のシャベル  作者: KY
171/203

5-43 好奇心と悪食

グロ注意!今年度より仕事忙しく感想返信や更新が滞り気味で申し訳ありません。嗚呼・・・エアコンも壊れるし、発見したGには逃げられるし目は傷めるし厄年かなー(´・ω・`)




 立っている者、動いている者を優先的に狙う。魔法の効果が切れるが、再びオーラを込めて射撃開始。一度発動すれば効果が長い魔法でありその間にクールタイムも終わる、逆に途中で止めることは不可能ではあるが今は困らない、負傷者を更に死体に変えていくだけだった。


 霧が少しずつ晴れていく。だがそれでも視界はまだ悪い、故に立ち上がって議場へと躍り出る。今度は隠れていたり蹲って震えている人影をフィアに見つけさせてシャベルで薙ぎ払っていく。なるべく頭部を狙い悲鳴も出させずに倒す。エルフも、そして獣人も等しく処理していく。空間に僅かな違和感、勘のいいエルフが魔法を発現させている。盾で身を守りつつ壊れた机の陰に移動、先程いた場所から小さな爆発音と熱気。いま装備している防具であれば大した怪我にもならないだろうが、負傷は極力抑えるよう動く。怪我は怪我を生みパフォーマンスを著しく損なう、傷ついて追い詰められそこで隠されていた力が・・・など虫が良すぎる話だ。ベストの状態が一番強いに決まっている。


 再び機関銃の魔法を使い周囲の人影を一掃していく。高台となっている議長席の影が薄っすらと霧越しに見える、大声を出して混乱を収めようと必死なようだがすでにかなりの人数が死傷し組織的な行動は不可能に近い。少し首を上げて議長席の周囲も薙ぎ払ってやると炸裂音の後に声は聞こえなくなった。さらに霧が薄れてくる、もう一度霧を生み出すことも検討したがすでに敵の数は随分と減ってきており戦闘力を持たない者も多い。フィアのレーダーがあるとはいえ霧の中はやはり活動し難いのはこちらとて同じだった。殲滅速度を上げて対応することにする。


 怒声も悲鳴も徐々に消えていく。嬲り殺しや半殺しにはしない。相手を痛めつけることが目的では無いし戦闘能力を完全に、効率的に奪う。フィアに議場全体、そして外まで探らせる。気をつけてはいたが僅かな数が外へと逃走して行ったらしい。




―――霧が晴れた。



 僅かなうめき声が方々で聞こえる。だがそれも小さなものだ。自分の体を見ればある程度の返り血を浴びてしまっている。障害物も多く視界も悪かったので仕方が無いとも言えるが今後はより一層気をつけるべきだろう。周囲を見渡せばその惨状は酷いものだ、調度品や施設はガラクタ以下の有様、血痕を撒き散らし体を欠損した獣人とエルフの死体が見渡す限り。壁もひびが入ったり抉れている部分も多い。ここが議員の集う議事堂だったとは今では誰も思わないだろう。


「さて、まだいるか?」


「キャハハッ!ソファーの下に隠れているヨ!」


 この凄惨な状況で心から笑えるフィアも大概だと思いつつも自分が言える立場ではないことは明らかだ。軽く首を振りつつ議長席へと至る階段を上る。壊れた椅子の上で首をあらぬ方向に曲げて沈黙しているエルフを蹴飛ばして退かすとさらにその先の高台へと向かう。その先にあったのは小さく豪奢なソファー、被害を受け無かったのか綺麗なままであるがそれが崩壊した議事堂内部において奇妙な違和感さえ感じさせていた。そしてそこへ近づけば―――。


 弾ける様に小さな影が飛び出し空中へと躍り出る、が・・・すばやく踏み込むとその軌道の先へと手を伸ばし、掴む。


「きゃああああっ!!」


 右手には足を掴まれた妖精が羽を鳴らして何とか逃げようともがいている。金髪のあどけないが整った顔、しかしその表情は恐怖にゆがみ汗を流し先程まで高慢な笑顔で見下していた存在とはまるで別人だ。


 

「さて、随分と舐めた真似をしてくれたな」


「ひっ・・・し、しょうがないわね、議会の決定は無かったことにしてあげるえええええええ」


 胴体を鷲掴みにすると力を込めて握る。流石は妖精と言うべきか、柔らかく弾力があり握り心地が良い。だがまあしかし・・・フィアと比べると大分その感触は落ちるようだ。


「げえ・・・私にこんな事をして無事でいられるとおぶえええっ」


 少し力を込めすぎたか、口から吐瀉物を吐き出す。妖精はオーラだけで生きていけるはずだがその内容物を見るに随分と贅沢な『食事』を日々行っていたようだ。


「エー・・・おじ様にケンカうっておいて無事ですまないのはソッチだと思うケドネー」


「えげっ・・はあ、はあ。あ、貴方の下僕ならすぐにこのような無礼をやめさせなさい!」


「おじ様がフィアの下僕・・・キャハハハッ!冗談きついヨ!話に聞いていたケド、パーネは偉そうだネェ」


「え?フィア!?あの変わり者で有名なちんちくりんの・・・いえ、こんなにスタイルがいい筈無いわ!」


 ・・・こっちからしてみればフィアも起伏が無く平淡でちんちくりんなのだが、妖精視点だと奇妙にも違って見えるらしい。


「チョッ!評価ヒドッ!!・・・ま、フフーン、このナイスバデーはン、おじ様との愛のア・カ・シだヨオレレレッレレレェ」


 しなを作りドヤ顔をするフィアが気に障ったので左手で掴み高速振動させる。


 大方、このパーネとかいう高慢で傲慢な妖精、こちらを奴隷にして様々な情報を吸い上げた上で酷使し、フィアに関しては後々何かと理由を付けて始末する予定だったのだろう。最上位者は二人も要らない、この高慢で傲慢な性格であれば共生など考えなかっただろう。この事を言ってみると顔を青くし目を盛大に泳がせていた。分かりやすい奴だ。


「わ、私に何かあったら『フーリル・ユーキー』全体が敵に回るわよ!」


「・・・ククッ」「・・・キャハハハハッ!」


「何がおかしいのよ!!」


「今更だろう。それに、それがこの都市の決定ならば受けて立つだけだ」

「みーんなさっきまでここにいたヒト達みたいになっちゃうネ!!」


 掴んだパーネに階下の様子を見せ付けてやるとその光景に恐怖した為が体を震わせ目に涙を浮かべて嘔吐さえしていた。


「ネーおじ様、パーネをどうするのカナ?」


「ひっ・・・あ、あ、貴方も妖精でしょう?同じよしみで助けてよ!!」


「エ?無理だヨ?おじ様敵に容赦しないからネ」


「え・・・い、いや、いやああああ!いやああああああああ!!!!」


 泣き喚くパーネを見つつも、とある衝動と好奇心が自分の内面より湧き上がっているのを感じる。それは、正気の沙汰ではないことは承知なのだが一度意識すると気になって忘れることは出来ない。いや、もはやセカイすら違えている現状、狂気と理性の境界もあって無いようなものだろう。以前も一度考えたことの有る衝動。ならば―――


 狂ったように暴れるパーネを顔の前に持ってくる。そして、その足先から腰にかけて・・・噛り付いた。


「えっ・・・ごげええええええええっ!!!ぎっ!!?」


 ゴムのような食感、顎に力を入れブチっとした音と共に噛み千切る。もはや悲鳴とも言い難い凄絶な音を口から出し悶絶する金髪の妖精。噛み難いものの面白いことに血に相当するものは無く僅かに甘い上品な味の体液が口に広がる。ただし鼻腔に抜ける匂いが大分生臭いのが不快でありそれ以上の食欲を失わせた。内臓のようなものは殆ど感じられない、オーラがあれば生きていける種族特性の故か。ただし、尻尾に関してはコリコリして大分好みの食感ではあった。


 パーネは残された上半身のままで暫くの間もがき暴れて妖精の生命力の強さを身を持って教えてくれたが、形容しがたい苦しみの表情を貼り付けたまま事切れた。


「うわー・・・おじ様」


「なんだ」


「流石に、ちょっと引くワー・・・おじ様に食べられてもいいケド、物理的なのはホント勘弁してネ」


「・・・好奇心に勝てなかった、お前を齧る訳にはいかなかったからな。まあ、二度とやるまい」


 食感こそ面白く体液は甘かったもののそれでも総合的に考えて美味しい物では無かった。調理を行えばまた評価が変わるかも知れないが、それは所詮あらゆるモノについて言えることだった。人肉は一説によると臭みのある羊肉のような味らしいが・・・あえて食べるほど美味いものでも無いだろう。


「エ?フィア、おじ様のトクベツ?・・・キャハハッ、もうしょうがないナー」


 途端に気を良くするフィア、変わり者であることは間違い無い。いや、普通の感性ならばとっくに反りが合わずに分かれているだろう。そう考えると確かにフィアは自分の特別であると言えた。それでもクネクネとポーズをとるフィアが気に障ったので掴んで高速振動、やはり手に持った感触はパーネとやらとは比べ物にならないほど素晴らしかった。




 

G殺すべし、慈悲は無い。とりあえずブラックキャップを設置したので効果がありますように・・・

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