2-5 沼の島~反省~
ファンタジーの鉄板、超常現象也。
ようやく呼吸が整うと上体をおこし周囲を警戒しつつ回想する。
モンスターを倒したり喰らったりした際のあの違和感、あれは体を強化してくれるだけではなかったようだ。あの大口から放たれたものは、言うなれば無色透明であった。
若干陽炎のように景色が歪んでいたため視認が不可能とは言わないが困難ではあるだろう。その後の爆発もおかしい。爆発はしたが、火は伴っていなかったようだ。
物理的な、グレネードランチャーのようなものではなさそうであるし、たとえ空気をとんでもない勢いで口から吐いたとして爆発はしないだろう。
―――やはり、これは。そもそも今までの常識が通じないのだ。
ファンタジーの世界、誰しも1度は憧れ、古い時代には様々な自然現象や理不尽さを押し付けられていたモノ。
魔法、とでも称すものなのか。
大口が攻撃をしてくる際、あの違和感。いや、これからは「オーラ」とでも名づけよう。オーラが集まり、歪んで落書きのように形作っていったのがわかった。その直後だ、あの不可思議な攻撃が行われたのは。
かつての自分に比べ今はかなり力をつけた、そう思っていた。だがこれは慢心だった。先程も少し遅れていれば大怪我をおった可能性がある。骨折ひとつ、いや足をくじくのさえ今の自分には致命的だ。動けなければ餓死か襲われるのを待つのみだ。
だからといって先を行くのを止めれば、それはとても詰まらないことだ。ただ拠点に引きこもり最低限しか外へ出ない、生物としては正しいかもしれない。
しかし、なまじっか考えられる頭を持って生まれてきてしまった以上それは許容できない。好奇心は猫をも殺すと言うが心のまま動けないのであれば死んでいるのも同然、同じ死ぬなら前のめりで死にたい。
今回は危機であったが、思えば極めて有意義な体験であった。このような生物が、法則が、夢が溢れていると知れた。今後はより一層道の生物に注意を払うと共に、この世界をより知っていく必要があるだろう。




