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伝説のシャベル  作者: KY
139/203

5-11 数の暴力


 迫りくるドリルワームの群れに向けて、腰を落とし大盾を構えると大爆発の魔法を放つ。轟音、衝撃、立ち込める水蒸気。なれど大量の水を湛える地底湖には大きな影響は無いようだ。ドリルワームも熱と衝撃で多少なりのダメージは与えられたようだが、それぞれがアーススターに分離し再び終結して新たなドリルワームを形成している。大爆発の魔法はオーラの消耗が激しくそう多くは撃てない。


「フィア、何かわかるか?」


「ン~、アッ!キモイのの根元が同じトコにあるよ!デッカイ反応もそこにあるネ!!」


「動きは?」


「じっとしているようだけド・・・」


 ドリルワームが再び接近する。衝撃弾を撃つが直撃した部位のアーススターは倒せても衝撃で四散したものは再集合して近づいてくる。接近戦は不可能、当たり前だが水中に引き込まれれば死、あるのみだ。ゆっくりと岸辺を後退し侵入してきた通路まで戻ることにする。


 先頭のドリルワームが更に接近、何十匹ものアーススターが連結したその姿は異様。今度は雷槍を構え、電撃を放つ。


 中々に効果的なようで黒く焦げたドリルワームがポロポロと大量のアーススターの死体を湖面に落として崩れていく。だが、また新たなドリルワームが湖面から出現、どうにもキリが無い。雷槍による雷撃は大爆発ほどではないがそれなりにオーラを消耗する、消耗すればそれだけ身体能力の低下を招き危険度は徐々に上がっていく。押し寄せるモンスターの数を考えればここで全てを倒すのは難しい。


「下がるぞ」


「ウン!」


 大爆発の魔法をもう一度放ち、得た時間で通路を通り撤退する。


「おじ様!来てるヨ!!」


 逃がすまいとドリルワームが通路を追いかけ近づいてくる。篭手にオーラを注ぎコストの安い電流の魔法を放ちシャベルで動きを止めたアーススター達を叩き潰していく。しかしそう時間をおかずに第二波、第三波が接近。後退しつつ応戦し通路に星型の死体の線を道標の様に残しながら移動する。


「前からも来るヨッ!!」


 この周辺にはすでにドリルワームが掘ったトンネルが数多く存在する、そこを通って先回りしてきたのか。雷撃の魔法で一気に前方の敵を殲滅、軽い虚脱感が襲ってくるが耐え、後ろから来るモンスターの応戦をそこそこにペースを上げ後退していく。敵の追跡はしつこく、交易都市の深度より高いところまで追ってきた、だが少しずつその数は減ってきているように思える。こちらも体力とオーラを消耗しつつ進んでいるので負担が軽くなったわけではないが。


 前方に走っている女エルフ達の姿、ナコナコはキグルミに抱え上げられている。女エルフの肩には焦っている赤妖精の姿。接近してきたモンスターの姿を捉えて早々に逃げるよう言っていたのだろう。もうすぐ金属製の扉まで出るはずだ。周囲のクリスタルの劣化具合も大分マシになっている、ここまで来ればドリルワームがクリスタルにトンネルを掘ることが難しくなっているだろう。


 時折振り返りつつドリルワームを倒し、多少の時間を稼ぐ。扉まで到達したキグルミが手を振って早く来るように急かす。追ってきているドリルワームの数も減り、無理をすれば迎撃もできそうだが大分疲れてきているのも事実。足に力をこめて一気に走り駆け抜けると直ぐにキグルミが扉を閉ざした。扉にガン、ガンとぶつかるような音が響くがしばらくすると止み、静かになった。



「・・・敵は?」


「湖まで戻っていったようだネ!イヤーびっくりしたネ!あんなにいっぱいキモイのが来るなんてサ!!」


 全くだ。いくら倒してもキリが無いし動きの無い魔王獣も気になる。自分が何人も居れば駆逐も可能だろうが、そんな事は望むべくも無い。女エルフとキグルミではあのような集団と戦うことはできないだろう。とりあえず体験したことをキグルミ達に話し、一度休養と策を練るためにナックまで引き返すこととなった。 

 


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