2-3 沼の島~上陸~
遠出の準備は万端!・・・の筈だった、ということは良くある事ですね。
目を覚ませば太陽はもう微かに青色の光を混ぜつつも明るくなっていた、地球であれば日の出といったところか。立ち上がると伸びをしつつ体をほぐすように動かす。
パキパキ音を鳴らしながら意識を完全に覚醒させる。座りながら寝たせいか十分な睡眠を取れたかは怪しいがそれでも疲労は大分回復したようだ。
乾いた不味いお手製の保存肉をかじり、ぬるい水で喉に流し込む。腹をそれなりに膨らませると次の島へ向けて柱の島から砂漠へと足を進めていった。
朝から夕方まで歩き続けた末にようやく次の島へと着いた。中々のサイズがあり、木々が密集している所に水源がありそうだ。ここまでの道中に砂漠を渡っている野犬型のモンスターと出会い僥倖にして1匹を仕留める事ができた。4匹ほどの集団で最初は威嚇してきたが槍での先制攻撃が1匹の口内に突き刺さるのを見るや散り散りに逃げていった。
温くて喉に絡むがどす黒い血で喉を潤し新鮮な肉を貪る、美味くは無いが不思議と不味さを感じず体に力が漲る。これが肉食系男子か、もっとも野菜なんて手に入らないから草食系なんぞにはなれないのだが。
道中のことを考えつつ島に上陸し水源がありそうな場所へと向かうとそこはオアシスと言うよりかは沼と言った方が良い様な場所であった。
面積はそこそこありそうだが水は濁っており、なにより目を引いたのは―――その沼地で魚のような生き物を食べる大きな影であった。
身を潜め観察する。サイズ的には昔動物園で見たカバに似ており大口を開けている。しかし口から覗く牙は鋭く、宝玉のように輝く感覚器も牙付きよりはるかに大きなものが頭部に鎮座している。今まで見てきたモンスターでは最大であり、しかも複数の同様な影が見える。
さて、どうするべきか。普通に考えればあの大口には関わるべきではない、ただでさえ地球のカバも凶暴で強い顎を持っているのにモンスターなら尚のことだ。が、水は欲しい。少なくとも水だけは手に入れたい。
実のところ想像以上のペースで消費してしまっている、慣れない旅では余裕を持たせた筈の準備さえ十分ではなかった。




