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伝説のシャベル  作者: KY
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4-24 心機一転、光風霽月


 ゴブリンロードとの戦いから1月ほど経過した。今は『ナック』にて装備の最終確認を行っている最中だ。傷はすでに癒えておりこの回復力ならばいずれ火傷の跡も薄れていくだろう、むしろ鈍ってしまった体の方が心配なくらいだ。


 

 防具を体に装備していく。


 今まで粗雑な革紐で無理やり留めていたような防具の数々、モンスターの骨やなめした皮を乱雑に重ねた防具の数々。留め金にベルトもついて調節が楽になり動いてもずれることが少なくなった。胸当てや篭手、ヘッドギア等にもベルトが付けられ安定感と脱着の便が向上。さらに金属で淵等を補強されており見た目がかなり良くなっており、蛮族スタイルはもう卒業らしい。大盾も金属製の握りや縁取り、背中に背負えるようなラックを取り付けることにより便利になっている。もっとも良く見れば金属パーツはやや分厚く凹んでいたりする部分も多い、しかし野暮ったいとも言えるその造りは頑丈そうであり華美な装飾も無い無骨な物ではあるが及第点といったところか。



 

 次に武器だ。


 今まで木製で強度に不安のあった7スター・リボルバーも金属製に更新。モンスターの骨や牙で作ったナイフにもしっかりとした柄をつけ握り易くなっている。『ライジュウ』の牙を使用したランス、これも太い金属製の柄が取り付けられ、さらに大きな笠状の鍔に相当する部分と柄の間には大きな黄色い宝玉が埋め込まれている。幸いにも、ランスの円錐のパーツはモンスターの牙で出来ており宝玉から放たれる雷撃で自分が感電することは無い。このランス、前面はモンスターの牙ということもあり意外と軽い、その上太い金属の柄を長めに作らせており重心が丁度持つ部分にあり取り回しは中々良い。だが軽いだけではなく『ライジュウ』の牙は岩をも貫く強度があり永い時間の果てでも劣化しない耐久性も持つ。サイズは全長で2m程度、強力な雷撃の魔法を放てる『雷槍』、良い武器が出来た。



 バックパックも補修、強化をすることとなった。このセカイに落ちてきた時から世話になったバックパック、しかしサバイバルの日々のうち傷みが目立つようになっていた。今回、針と糸、金属パーツにモンスターの毛皮を組み合わせ大々的に改修が行われた。ポケットの増設、大盾や雷槍等を引っ掛けることの出来るラックの取り付けなどが行われ要望通りの作となったが予想以上に大きくなった。



 フィア用の小さな杖のセットも製作させた、もっとも小さく細い金属の棒がこれまた小さな宝玉にくっついているだけの代物ではあるが、それでも専用の小さなベルトに挿せるようになっており今までに比べ便利となっただろう。サイズからして魔法の威力も大したことは無いが例えマッチ程度の火でも目の前に飛んでくれば顔を反らすものだ、軽い衝撃でも目を瞑り、多少の痛みでも体験したくないのが生物としての常識。用は使い方次第だろう。




 全てを装備した姿を水面に映し確認する。金属の光沢、増えた装備の数々が遠征に出る戦士を髣髴とさせる。成る程、なかなかにファンタジーのようで格好良い!異界の旅とはまさしくこうでなければいけない。



 地上までの道中、学園も随分と人が増えていたし面白いこともあった。地上でクイーンと会ったが随分と疲れたような表情をしていた、だが充実感に溢れてもいた。生徒達の顔は随分とマトモになっていたし他の助けられたヒトビトも協力しているようで活気が有った。話を聞いたところ多少なり生徒達も死んだらしいが、それもまた当然の事象だ。ドワーフの少年に鍛冶をさせたりキグルミを見て周囲のヒトビトが腰を抜かしていたり・・・思い返せば中々に面白い体験もあった。だが詳しいことを語るとすれば自分ではなく、その役目は今地上を統治しているクイーン達であろう。




 さて、少しばかし休みすぎたようだ。フィアの感じる反応によれば次の宝具は随分と深く遠いようだ。かつて地上を彷徨った日々、一人での放浪の旅。それもまた面白かったが今は人付き合いというものが例え僅かでも煩わしいものの、遥かに濃い密度の冒険が出来ている。先に待つモノは一体何なのか?



 嗚呼!このセカイに、荒廃したセカイに、平和ではないセカイに―――俺は救われている。



 さあ、先を目指そう。ゴールまで行き着いたときに何を得るのかは分からないが、少なくとも今この時間は自分自身が主人公の物語なのだ。包帯教師から情報は仕入れた、次の目的地は獣人の大集落『アルカ・キレハ』。出発だ!


 

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