第二章 地上探索編 2-1 砂の海の旅人
シルクロードとか、浪漫ありますよね・・・
男は砂漠を歩いていく。幾多の島を渡り鳥のように経由しながら、次の島影を求めて。
大岩の島から一番近い島には大凡4時間程度で到着できた。島のサイズは大岩の島の半分にも満たないか、オアシスのような場所は無いが植生はほぼ同一であるようだ。黄花をつまみ白玉を採取して喉を潤し小腹を膨らませる。
木材から作った水筒は持ってきているが、密閉性に欠けるうえにそもそもの水に塩素なぞ入ってるわけでもない。ペットボトルには煮沸した水をめいっぱい詰めてあるが一度口をあけたらあとは直ぐに駄目になるだろう。水の確保は最優先課題に近い、水に余裕が無くなれば最初の方針を無視してでも水のありそうな大きな島へと向かう必要が出てくる可能性も今後有り得そうだ。
白玉の種を植えつつ島を回る、ここにはモンスターの姿は見あたらないが、ここで休息するよりも先を目指すことにした。
次の島影へと向かう、この世界では徐々に太陽の光量が弱くなっていくことでしか時間がわからない。どうせ死ぬからと時計を持ってこなかったことが悔やまれる。
・・・もっともこんな事態を想像できていた筈も無いが。携帯電話も貧困からとっくに解約済みであった。
朝早く大岩の島を出発して来たとはいえ随分と時間は経っているはずだ、そろそろ夕方に差し掛かっている頃だと思われる。
旅を続ける上で大切だと思うのは適度な休息だ、疲れ果て判断力の低下した状態で襲われれば為すすべも無い。体調も崩すだろう。夜間も周囲は見えるこの世界とはいえ暗くなり視界は悪くなる、夜の青い光は幻想的であるが仮に青い体色の敵が忍び寄ってきた場合発見は難しくなる。なるべく夜間は安全な場で休息をとりたいものだ。問題は未知の場所での拠点の確保だろう。
思ったよりもはるかに早く次の島へと着いた、だが着いた島には何も無かった。直径50mほどの砂利と土だけの小さな島だ、もっと大きな島かと思っていたがただ近くにあったからそう錯覚してしまったようだ。特徴といえば高さが5m、直径1m程はありそうな円柱状の岩柱があるくらいだが。
とりあえずは石柱に向かうこととする、大して違いは無いだろうが天辺にたって次の島を探してみるとしよう。何も無い島だ、モンスターも立ち寄らないだろうし岩陰で夜を明かすのも良いかもしれない。