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伝説のシャベル  作者: KY
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1-9 旅立ち

たまには自由に一人旅がしたい・・・家族がいることは悪くないけれども自由な時間がほしいですね・・・

今の島における生活にも慣れてきた、現状このままでも生きては行けるだろうがそろそろ別の島にも行ってみようと思う。


二つ理由がある。まず第一にこの島の規模では食料が供給より消費のスピードの方が若干早い事、もっとも白玉や黄花の種を積極的に植えるようにしているため将来は大丈夫になるかもしれない。だが成長するまでは別の島の食料を取りに行くべきだろう、いつ遭遇するかわからないモンスターの肉はあてにするには不確実だ。


第二に、飽きた。以前の自分ならいざ知らず、今は必要以上の安定は求めない。大岩から見渡すだけでも遠くに別も島影が見えるし砂漠を渡る生物の影も見えた。ただ死なないために生きるのにはもう飽いた。先へ先へ、倒れるなら前向きに。今の自分なら命さえ粗末に扱える、自由のために生きるというのは実に素晴らしいものだ。



―――人は話し相手がいないと発狂するとでも聞いたことがあるが、別段寂しさを感じないしむしろ日々が充実している。思えばどこかしらのグループに所属していた時には煩わしさを内心感じていた。反感を買わぬよう笑顔を顔に貼り付け共通の話題を探し、そのために興味のないテレビ番組を見た。一人旅は嫌いでなかった。自由は良かった。


本質的に自分は馴れ合うのが苦手―――かつてはそんな自分が嫌いだったが今はそれなりに気に入っている。


準備は万端とまで言えなくともしっかりと揃える必要があるだろう。月も星空も無く太陽も動かないこの世界では方角の把握が極めて困難である。道標として多くの石を持っていく、パンくずのように石を食べるモンスターがいない事を願うのみだ。


砂漠で夜を明かすことになるかもしれないためある程度の燃料と食料を持っていく。白玉と黄花の種も持っていく、良い島があれば積極的に植えて行きたいところだ。


作っておいた携行型のろ過器も少し重いが運ぼう。各種武器を手入れし、槍は予備を作りリュックに括り付けておく。



拠点においていくのは石や木で作った各種の道具や持って行かないなめした革、モンスターの素材、最低限の保存食であり結局は最初に持っていた物の大部分は持っていくことになった。リュックをパンパンに膨らませ槍を括り付け、シャベルを杖代わりに持ち準備は完了した。


拠点のドア代わりの大岩を動かししっかりと隙間を塞ぐ。大岩の天辺にのぼり周囲を見回す。いくつか見える島影の向こうに何があるのだろうか、未知の冒険に胸を膨らませつつ一番近い島影を見る。


広大な蒼い砂漠には高低差があまり無い、だが低い目線では見えない物も多いだろう。迷わないためにこれから一番近い島へと向かう、その次もまた一番近い島へ向かっていく予定だ。そうすれば時間がかかってもこの大岩に戻ってくることも可能だろう。


鹿のように大岩を軽やかに下る、もう慣れたものだ。果たして無事にここまで戻ってこれるのか、それともどこかで果てるか―――それは知ったことでは無い。


今日、自分の意思で一歩を踏み出す。実感がある、生きるとは進むことに他ならないのだと。



第一章、孤島生活編完結です!次からは第二章、地上探索編を開始します! 

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