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04-3 封印

12/27 04話7-8をまとめました

 ”コーキ、俺、相手、手加減、ない、”

 ”オ前二俺ガ倒セルハズガ無イ、返リ打チニシテヤル”


 俺を励ました?あとクロが黒猫を挑発する。

 視線がクロに向かったのを確認して結界が張れる場所の近くに移動…する前にへばっている犬のクロを拾っていく。

 俺の倍ある体をなんとか引きずって充電器の横の安全だと思われる場所に置いて出力装置を作動させるために発電機をまわした。


 さっき獣人のクロに結界を張る力の出し方を教わったけれど俺の力だけじゃ出力が足らない。

 かといって出力装置だけを再起動させても、さっき黒猫の力が貫通したのでまともには使えない。

 だったら俺の力と出力装置の力を混合させてみたら?

 もともと機械の中に貯めてある力も俺の中にあったものだしきっと大丈夫…ってか、成功させないとホントに光喜くんが帰ってこない。


 向こうでクロと黒猫の拮抗した争いをしているのを確認して、機械の出力を最大に調整して先にボタンを押しておく。

 あとは合言葉の4桁の数字を言えば出力するようにして…と、準備OKの合図をクロに送った。


 ”クロ!こっちだ!”


 吠えるとクロはうまくこっちへ黒猫を誘導し始めた。

 向きをこっちにかえてクロと一緒に黒猫もこっちへやってくる。

 クロ…うまくやってよ。タイミング間違えたら終わりだからね…


 そしてクロをはさんで黒猫と機械が向かい合うところまで誘導してもらって


 『8823!』


 合言葉を言い終わった瞬間クロが俺の視界から消え、黒猫と対峙する形になったかと思うと機械のほうが結界を放った。

 それに黒猫が包まれたけど、対処の方法は心得ているから糸のように小さく束ねた力を1点に集中させると波のように表面が震える。

 蓄積された力が少なくなったのか思っていたよりも崩壊するのが速そうだ。

 そこでさっき覚えた方法で結界の上に俺の力をかぶせるように包んでやった。


 震えていた表面は収まっていき、黒猫とその力は結界の中に閉じ込めることに成功した。

 黒猫が何をしてもびくともしないものになった結界は体から力を吸い取るように黒い霧が黒猫の中から現れてどこかに消えていく。


 ”ナンダ!俺ヲ閉ジ込メルダケジャナカッタノカ!”


 黒猫の体がだんだん薄くなって中から光喜くんが見え始める。

 それに抵抗するように右手の肘のあたりを引っ掻いて傷に影を集中してそこに吸い込ませようとしようというか逃げ込もうとしようとしている。


 良かった…


 そう思ったとき、俺の中の力の出力が急に上がって、俺が張った外側の結界がギュッと収縮して機械の結界の中にいる黒い猫の残りを吸い込みながら…掃除機のようにあっという間に黒猫の影は…少し傷の方に入っていったように見えたけど…光喜くんの周りからなくなった。

 そして吸い込まれたものは真っ黒いビー玉みたいなのになって横に落ちている。

 光喜くんは気を失って結界の中で倒れている。右手に猫の引っ掻き傷のようなものから血がにじんでいるけどそれ以外は元に戻って無事みたいだ。


 ”ブラウン、闇、倒した、これ、証”


 クロはさっきの黒い玉を俺に渡してくれた。

 でもこんなもの渡されてもどうすればいいんだ?


 っと、それよりクロを俊夫くんにを戻さないといけないんだけど…


 ”俺、戻る?何に?”

 『俊夫くんに戻れって…えーっと、命令だ!』

 ”俺、クロ、人間、なれない”


『 なれないって…そう言えばなんでさっきから犬語吠えてんだよ。』

 ”俺、犬、吠える、ブラウン、通じる、人語、不要、失礼、できない”


 参ったなぁ…完全に(クロ)になちゃったのか?

 どうしたらいいんだ…



『何困ってる?元に戻したけりゃこうすればいいのに。』


 クロの後ろから声が聞こえた。

 そしてその声の主がクロの首の後ろにある少し長めに伸びた被毛を引っ張ると縫っていた糸がほどけるように黒と白の毛の境目に隙間ができた。


 ビクッ!


 クロは大きく体を跳ね、一瞬体を硬直させる。

 視線がだんだん上を向いて浅く早い呼吸と共に徐々に体を大きく揺らしていく。

 そしてさっきとは逆に足もとから被毛の毛皮がぐるぐると脚を回るように剥がれていってそれが黒と白の霧になって消えていく。

 その下から足が、来ていたズボンがそのまま表れる。

 それが両手からも始まって、首のあたりで三つ同時に剥がされたものが合流すると、首から顎に向かって剥がされながら、口元が鼻が押し込まれるように元の位置に戻っていく。

 耳が頭からこめかみのほうに下がりながら、髪が黒く短く縮んでいく。

顔の被毛は剥がされることなくそのまま皮膚に吸収されるように無くなって、俊夫くんの元の顔が表れると、力を使い果たしたかのように目を閉じ、ふらっと前の方へ倒れていく。


 危ない!


 体を受け止めることが出来ないから、せめて体で倒れてくる俊夫くんのクッションになろうと飛び込もうとしたら…

 さっきの声の主が俊夫くんを受け止めてくれた。


 『誰!?』


 俊夫くんを受け止めてくれた人型のものは俺の声に反応してこっちを振り向いた。

 俊夫くんが獣人だった時と同じような秋田犬の黒と白に分かれた顔に猫のような瞳…

 去年野良の騒動の時に会ったクロの中にいた獣人のクロ…

 ああ、クロばっかりでわけわかんなくなってきた。


 『あんた、あの時の獣人?』

 『久々だね、1年ぶりかな?』

 『あのなぁ…何で今頃出てくんだよ!』

 『すまん。気づいたのが遅れたのと、肝心のクロの中の力がすっからかんだったから出てくるのに時間がかかっちゃって…』


 痙攣している俊夫くんを地面に置きながら下をペロッと出しながら答えている。

 この前初めて会ったときより軽い感じになった喋り方に少し違和感を感じるが、雰囲気はあの時のままなので間違いないと思った。

 出てくるのが遅いといらっとしていたところにそのしぐさ。なんだかいらっとくる。

 獣人のクロは意識のない俊夫くんの体を確認するように部分的に触って何かを確かめるとイライラしている俺の方に寄ってきた。


 『完全に戻ったみたいだね。』

 『どういうことだよ!何か知ってんならもったいぶらずに言えよ!』


 クロのなんだかにやにやした感じがさらにいらっとさせる。


 『この子が獣人になったの君のせいなんでしょ?』

 『はぁ?』

 『この子に君の獣毛を着せたんでしょ?体中君の匂いがすごいするよ?』

 『普通の犬の俺がそんなことできるわけないだろ!』


 こいつ何言ってるんだ?


 『君、普通じゃないじゃない。犬なのに喋るし。』


 いや、そう言われると言い返せないんだけど。

 でもお前みたいに人型じゃないし、周りの犬と外見はそんなに変わんないと思うんだけど。


 『僕の仲間にも昔いたんだ。自分の獣毛を他人に着せて強制的に獣人に変えることができた人が。君もそれができるんだね、知らなかっただけで。』

 『俺は何にもしてないぜ。俊夫くんに黒い影に何か打ち込まれて…くしゃみして…気づいたら獣人?になって…』

 『その時まとめて何本か君の獣毛を抜かれなかった?』

 『?、?』

 『さっき言ってた人は自分の尻尾の毛に相手の汗とか唾とかで湿らすと疑似的に獣人にできたらしいよ。』


 ん!


 そう言えば、くしゃみの前に尻尾の毛を噛まれて抜かれたような…


 『そいつは意識も操作出来たのか?』

 『そんなの普通の獣人には無理に決まってるでしょ。そんなのできるの闇ぐらいなもんだよ。普通は上に着せて強制的に変身させるもんだったらしいからね。まあ身体能力は格段に上がったみたいだけどね。』


 ん?ちょっと待ってよ。

 あれが俺のせいで変身したとして、今の話、俊夫くんは俺の従者とか言ってたってことは…

 それを馬鹿正直に話したら俺もあの黒い影と同類と思われるんじゃ…それはまずい…かもしれないので黙っておこう。


 『さっきの…ああやって戻すのか?』

 『強制的に戻そうとしたら、ね。普段だったら2時間ぐらい、かな。』


 そうですか、ほっといても戻るんですか…

 まあ、俊夫くんが戻ってよかった。戻らなかったらパパや近所の人になんて言い訳していいか、ってか誰が言い訳するんだ?

 ああ、良かった。ん?よくないのか?

 俺が普通じゃないってことになるし、クロに怪しまれたということは、竜王せんせいのとこまで話は行くってことだし。


 『何おろおろしてるのか知らないけど、二人とも倒れてるんだけどどうしたらいい?』


 クロが俺に聞いてきたことで俊夫くんと光喜くんが動けないことに気がついて、あわててクロに…じゃなかった、俺が竜王せんせいのところに病院に駆け込んで救急車を呼んでもらった。

 獣人のクロが街中を走っていたらパニックになるところだった。


 そんな感じでドタバタしていたらいつの間にかそのことがうやむやになって、あとで追及されることはなかった。

 良かった…のかな?

 ま、いいっか。



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