03-3 クロとクロ
あまりに長い遠吠えだったのでクロがおかしく感じたらしく、俺の興奮を強制的に抑えるために口鼻元を長いこと抑えられて、呼吸困難になったところで我に帰った。
リーダー達に従って、俺を襲ってきた雑魚たちはさっきと打って変わって俺をみても襲うことはなくなった。むしろ俺が近寄ったら萎縮して動かなくなった。
”お前、怖い、俺達、従う”
確かにお前等のリーダーを倒したけど、なんでこんなことになるんだ?
さっきまで興奮しておかしくなったのは反省しているけど、参ったなぁ。 従うって言われても…こんなつもりはなかったんだけど。
そう思っていると俺の考えがわかったようにクロが俺に話しかけてきた。
「すごい、みんなに強いって認められた。」
『なんだよこれ?。俺はリーダーズをやっつけただけだぜ』
「ちがう、そのあとの君の遠吠え。あれだけ威圧感を込めて勝利の遠吠えはなかなかない。みんな萎縮して君がリーダーって認めざる負えない。」
クロは倒れている灰色の犬の怪我の状態を確認しながら俺を褒め…てくれているのか?もういいって、その話は。
灰色の犬は脚や体の骨や内臓は無事のようだ。
クロがどうやって判断したのかわからないけどそうらしい。倒れたのは脳震盪かなとか言ってたけどこいつは医者なのか?
『ところでなんだよお前、さっきと口調が違うけどお前何もんなんだよ。』
「僕はクロ…の山の主としてきっちり覚醒するまで手助けするためにクロに融合しているクロっていう。しばらく出たり入ったりすっるけどよろしく。」
『なんだ?それ。クロの中にいるクロ…ややこしい奴。』
「そう言わないで、君はクロがこれからお世話になる存在だからよろしく頼む。」
獣人のクロは犬のときと全然違って、すこしやわらかい雰囲気で接してくる。
相変わらず犬の顔に猫の瞳が俺を見つめる。
違和感があったけど不思議だなとおもって見つめかえすと、すーっと目が犬のものに変わって…
人間の体形から徐々に手足が縮んでいく。バランスが取れなくなって四つん這いになって…
体が縮んで最初見たときの黒い犬の姿に戻っていった。
”俺、まとめる、失敗した、迷惑をかけた。”
喋り方が戻った。中身が入れ替わったのか?
こいつが山の主?手助けっていったい何すんだ?
”お前が命令する、奴ら従う、大人しくなる。”
とりあえずお前等のもめ事を解決しろってことか?
結局主って何なんだろう。こんなことも自分で解決できないんじゃダメなんじゃない?
そうは思いつつもそうしておかないと俺がここに来れないんだろうということで野良たちに大人しくなるようにお願いした。
命令って言われても言いにくいし…俺はずっとここにいられないから野良たちでまとまって俺に気にせず生活してもらわないと。
でもこいつらが町についてこられるのは困るのでついてくるなと命令した。
結局あれから獣人のクロに合うことなく、俺は山の主の犬のクロが守らなければならない場所の前で日向ぼっこをしている。
主っていっても山の生き物をまとめるとかそんなんじゃないらしい。
理由はわからないけどいまいる場所に結界がはってあってそれを守るらしいのだけど、何していいのかわかってないようだ。
まあごたごたもなくなって、俺がのんびりできるから特に文句はない。
でもだれか説明してくれないかなぁ、知らないと気持ちがもやっとする。
ブラウン2歳の話はこれで終了です。