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10-13 入れ替わり

 ”お主はこれからしばらく大人しくしていてもらおうか”

 「くそ!硬いやんかこれ!びくともせんやんか」

 

 固定されて動けない狼男に樹木は蒼い光を流し込んだ。すると狼男の被毛が静電気を起こしたようにバチバチと音を立てながら逆立っていく。

 「なんやこれは!パチパチって…イタッ!」

 パチパチっと静電気が流れる度に白い体が体が大きくびくっと跳ねる。突然の出来事に抵抗できないのか眼と口を大きく開けて苦しさの余り唸りだした。

 ”狼よ、お主には罰が必要じゃ。たっぷりと味わうがよい。”

 さっきまで余裕たっぷりだった狼はワシの力には逆らえぬようで、ワシの黒い力を吸収しはじめた。その証拠に緑色の光が狼の被毛をワシの薄い葉の色に染まっていく。時より開く瞳からも薄く蒼みがかかってきておる。

 「わ…わ…悪かった…なあ…イテッ!」

 ”今頃反省しても遅い。お主はしばらくワシの管理下に置いてやる。”

 全身が綺麗に若葉色に染まり、ワシの力が体の隅までしみ込んでいく。それに伴ってにつれから抵抗する力が段々と弱くなっていく。

 「悪かったって、許してや…」

 ”許さぬと言っておる”

 「俺は…あいつの力が見たかっただけで…」

 ”これが犬の主の力だと言ったらどうする?”

 「冗談…」

 まだそう言うので、根の力を一瞬といてすぐにきつく縛りなおしてやる。

 「…じゃ…ないんや…」

 ようやく観念したのか完全に抵抗する力を感じなくなった。それを確認しながらワシは縛っていた方の根の力をもう一度緩めても逃げ出すそぶりは見せなくなっていた。

 ”どうじゃ、犬の主の力は。お主がからかう相手ではないことが理解できたか。”

 「俺は…反省…して…」

 声にも勢いがなくなり、狼の意識がもうろうとしてきておる。意外ともろいものじゃ、あれだけ勢いが良かったのじゃが…。

 ”反省はしておるのじゃな?”

 「はい…反省…して…」

 大分蒼い目に染まった瞳がワシの方を見ようとする。じゃがどこを見てよいのかわからぬようで、ワシの声の出所を探すように瞳と顔ををゆっくりまわしながら探しておる。困っておる狼に目線を合わさせるように、もう一対の根の先を奴の眉間に近づけ、軽く力を放出させるとると、それに視線を合わせる。根の先を軽く振ってやっると同じように目線が動くときれいな蒼い目に変わった。

 そしてワシの気を感じ取ったのか、ワシの根幹部分へと視線を移した。素直で若い魂は綺麗に蒼くそまったようだ。あとはこいつに新しい名前を付けてやれば…

 そう思ったとき狼の右眼の奥にまだ染まっていない部分があることに気がついた。ワシは染まりきらなかった部分を直接染めようと、狼を拘束した根を解放し目に直接触れようとしたとき…

 何か熱いものがワシの根の先に触れると、思わず後ろに下げてしまった。

 その色はせっかくワシが染め上げた瞳をまた違う色へと変えていく。そして先ほどまでの狼とは違う何か別の力が奴を支配していくように火毛を灰色に染めていく。そして灰色の瞳の中へと閉じ込めるように蒼い瞳が黒いものに閉じ込められるように染まっていく。

 気配も今までとは違うものに変わり、顔つきが硬く険しいものになった。

 

 ”おい、狼よ”


 ワシが呼びかけると目が険しくなり睨んできた。


 「お前か?ワシの孫を操ろうとしたのは。」


 雰囲気も声もガラッと変わった灰色の狼が目の前に立っていた。



 


 

 






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