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10-11 作戦?

 作戦と言ってもシロップに難しいことを言ってもわからないのはわかってる。だから狼男をこっちにおびき寄せる囮になってもらう。こっちへ誘いこんだら、樹木の根っこを動かして、動きを止めれたら俺の勝ち?ってな具合だ。作戦って言葉でシロップのテンションも上がったし、単純な頭で何か一生懸命考えてたような気がする…。まあ向こうもそんなに本気でもなさそうだし、乗ってくると思うのだけれど。

 シロップは俺よりも速いスピードで狼に走っていく。それよりも速い狼は簡単に回避して捕まる気配はない。だけど思ったとおり、狼はこっちに誘導?というよりは、俺を見つけてこっちに走ってくる。なんだかはさみうちのようなかたちになったが、それでも捕まらない自信たっぷりに俺の正面に走って来たと思ったら狼は俺の体を簡単に飛び越えていく。ちょっとずれてはいるけど樹木の近所にの方へ行った。

 俺は上空に飛んだ狼を頭で追いながら力を樹木に注ぎ込もうとした…ら…


 「どいてよー、とまらない!」


 ちょうど後ろからシロップが一直線に走りこんで…体当たりされた。

 痛みを感じながら俺も一回転して宙に舞ったら運よく狼の目の前に飛ばされて…奴の頭に俺の後ろ脚が引っかかって地面に落下した。それと同時に樹木の根が勢いよく狼男に飛びかかった。力を注ぐのにこれぐらいの時間差があるのか…


 「なんやこれ!」


 落ちた衝撃で目の前が真っ黒になっていたが、ぎゅぎゅっと何かを縛る音が聞えたからきっと、うまく狼に引っかかったんだろう。後はあいつに触るだけだったが鈍い痛みと衝撃で頭がくるくるとまわってうまく動けない。


 (ダメだ…これじゃ逃げられる…こんなの一回見たらもう使えないし…もうちょっと強く引っ張って逃がさないようにしないと…)


 そう思って頑張って樹木を動かそうとしたら…俺の力が一気に抜けて…地面にへばりついてしまった。


 (やべ、きつく転んで力がうまく出ない…)


 そこから何とか後ろを向くと、木の根が右手首にしっかりと巻きついていた。


 「なんやこの根っこ、俺に巻きついて離れへんやんか!」

 木の根は意外に固く、狼男の動きを止めてくれた。あとは俺が…動けないなら…ってシロップはなにしているんだろう。もうタッチしたら終わりなのに。って思ったら俺を吹き飛ばしたところで口を押さえて立ってる。なんだか肩を揺らして…なにが面白いのかわからないが笑いはじめた。


 「うぁ、ブラウン、よく飛んだの、びっくりしたけど、面白いの!」

 『何笑ってるんだ!こっちは痛くて動けないのに!』

 「ブラウン、軽いから、よく飛ぶの、も一回やっていい?」

 『あほか!それよりそいつにタッチしろよ!鬼ごっこの途中でしょ!』

 「あ、そっか。」


 シロップは俺を馬鹿にしたような笑いを我慢しながらようやく狼男にタッチした。あいつもわけのわからないといったように口をとがらせる。そして一回大きくため息をついて抵抗するのをやめた。


 「あーあ、捕まってしもた。こんな能力隠してたらしゃーないな。俺の負けや。」

 

 もっとあがくのかと思っていたのに狼男は簡単に負けを認めた。これでやっと鬼ごっこが終わったから木の根を動かして奴を解放しようと思ったら、俺の尻尾から何か変なものが流れてくる。


 ”こんなことをやられて簡単に許すつもりか”


 檜の木の声が俺の体の中に響いて怒りの感情が入ってくる。木は怒っているようだった。

 それが俺の体の中で増幅されるように大きくなっていく。


 『別にあいつ、悪いことしてないぜ?』

 ”お主が良くてもワシはあの狼は許せん。お主を傷つけたのだから…”

 

 ---ソウカ…許センカ---

 

 木の怒りに反応するように知らない俺の声が聞えた。


 



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