09-8 気になること
「なんだったのデスカね、あいつ?」
『さあ、ただ遊びに来ただけじゃないのか?いい迷惑だよ。』
返された鉱石をLEDで照らして不思議そうな顔をして確認している。
今回は遠吠えもなく、大人しく帰って行ったので、被害は俺とやまぶきの2人だけの模様でほっとして力が抜けたのか大きくため息をついていた。
『ふぁ~ああ』
「すみマセン、余計なことに巻き込んでシマッテ。眠いですヨネ?後始末はしておきますカラ、もう寝てもらってもいいデスヨ。」
ああ眠い。
結局夜中に走りまくって意味のない時間だけが過ぎていった。
あの狼男は何なんだ?じいちゃんに怒られるって言ってたけど…
後ろに何か黒幕でもいて俺達を誘って遊ぶようにしてデータでも取ってたんじゃないか?
また来るとか…もう来なくてもいいんだけどなぁ。
対策って言っても、身体能力が段違いなのであの森を荒さずに取れる対策はほとんどない。
せんせいにこの前あいつ用にやまぶきが護身用のスタンガンを改造したものを俺達に使えるようにしたものを依頼していたんだけど、小型化するのが難しいらしく、まだ出来上がってないらしい。
ただ、触ることもできなかったので役に立ちそうにない。
まぁ、今考えても眉間が重いからなんにも思いつかないし、大人しく寝よう。
地面がちょっと硬いけど…根っことかなさそうだしここで寝てもいいよね?
この後のことはそれからでもいいかなぁ…
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---ねぇ?今度は僕も連れてってよ---
駄目だって、俺だってあいつの動きについてけないんだってのに。
---大丈夫だよ、ぶーちゃんと一緒にいたら何とかなると思うよ?---
だから駄目だって、何かあったらママに怒られるし、大地には山のこと関係ないだろ!
---だから、ママとパパには内緒で、ね---
駄目ったらダメ!
---遊びたがってたよ、僕も一緒に遊びたい!---
あのなぁ…俺でも足手まといなんだからな!
---じゃあ、ぶーちゃんの中の力を出してあげようか?---
!?
---背中から上に撫でてあげたら気持ち良くするでしょ?、その時にちょっと…---
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うへっ!
何だ今のは?変な夢か…
うーん、明るい…
まだ眠いけど…いい加減家に帰らないとママが心配するし…
って、暖かい毛布から体を抜け出して…
ん?毛布?!
って起きたらいつもの場所で寝てた。
何で!って思って、大慌てで周りを見回しても、俺と大地の部屋だ。横ではまだ大地がスースーと寝ている…ってか俺どうやって帰ったんだ?
って、もう7時じゃないか。
早く起こさないとみんなが呼びにくるって!
『おい大地!起きろよ!学校に遅れるぞ。』
身体中が泥で汚れているけどそんなこと気にしてたらホントに遅刻しちゃう。ベットの上に飛び乗って前足で体を揺らしてやるともぞもぞと動いたので起きたことを確認して布団の中にもぐりこんで中から背中を使って布団を吹っ飛ばして、無理やり大地を外に出してパジャマのズボンの袖を噛んで足を引っ張ってベットの縁からはみ出させてやると、ようやく眠そうな目を開けてゆっくりと起きあがってきた。
「んー??あれ?帰ってきてたの?」
『じゃなくて、早く顔を洗って着替えないとみんなが呼びにくるぜ!』
「あ、もうそんな時間なんだ。おはよう」
呑気に腕を上げて背伸びをしながら大きな欠伸をした。急いでるのに!
「もう、朝帰ってこないかもって言ってたからのんびりしてたら起きるの遅くなっちゃった。ごめんね。」
そう言って起きあがるついでに挨拶と一緒に俺の前足を持ち上げて、頭を撫でられる。
ここまではいつもと一緒なんだけど、ついでに俺の背中をなでてきて…
さっきの夢の中の言葉が頭に浮かんだ。
思わず大地の手から逃げるように急いで離れた。
「どうしたの?ぶーちゃん、いつも撫でたら喜んでるじゃない。起きるの遅かったから怒ってるの?」
『え、いや、そんなんじゃないんだけど…俺、泥だらけだろ?汚れるかなぁって思って。』
「んー?へんなの」
『それより急ぐ!遅刻はだめだって。』
「はーい、わかりました」
大地は素直に部屋を出て用意をしに下に降りていったけど、俺はドキドキしてる。
まさか正夢じゃないだろうな、って。
あの言葉の続きはいったい何だったんだろう?
気にしすぎかなぁ…




