↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/49

05-2 境内

12/27 05話4-5をまとめました

静かな神社の境内。


街灯がほとんどなく、人気のない階段をとっとっとっと上がっていくと林のようなところに出た。

特に何があるわけじゃないはずなのに奥へと進んでいくと…


懐中電灯やら網なんかを持った子供?の二人組が木の周りを行ったり来たりしている。

どうも昆虫採集しに来たような感じでそれに集中している。

ここに樹液があるとかでその周りを観察している。


もうこんな時期に昆虫採集できるんだ?

そう思ってもっと奥の方へ行こうと思ったら…


風向きが変わって近くに犬の匂いがしてきた。

こっちに向かってる?

なんだか怒っているのか。

そして子供たちの方へ向かって歩く音が音が聞こえた…ら


”お前等、俺の、縄張り、荒す、出て行け”


吠えながら2人に近づく犬。それに気づいて反射的に懐中電灯をその犬の法に投げ捨て、あわてて二人は近くの階段の方へ逃げて行った。

そのあと犬は2人を追いかけることなくその場で威嚇のために何回か吠えて大人しくなった。


無駄に人間を襲わない。

野良にとってそれが長生きの秘訣になる。だいたい人間のものを壊したり傷つけたりしたら野良狩が始まって問答無用で連れてかれるから…

でも縄張り荒らしされるから威嚇したんじゃないようだ。近所でなにかあるのかな?


そういえば…神社の敷地に野良なんていないはずなんだけど。

不思議におもって、時間をおいて匂いをたどって犬のあとをついていった


神社の社よりずーっと奥の神社の管理ができていない林に入ったところに小さな崖があって…

そこの下にもう1匹の犬が苦しそうに…何かを我慢しながらじっとしていた。

その足もとから小さな塊が2個、3個…出てくる。


ああ…赤ちゃん生んでんだ。

さっきの犬はこの雌に近づいてほしくなかった…ということは…


後ろを振り向くと…さっきの犬が俺をにらんでいる。

ウーウーと唸って俺を威嚇している。


”俺は…何もしない…信じてもらえるかなぁ”


困ったように吠えてみたけどその犬は俺をじっと睨む。さっきから吠えもしないし大きく動行ともしない

俺の出方をうかがっているのか?

よその土地まで来てもめるのも嫌なんだけどなぁ…


”お前、子供、盗む”

”俺は別にそんなつもりじゃ…?”

”お前、子供、操る、出来る”

”…人の話を聞いてくれよ!”

”俺、今、闇、吸収、お前、子供、やらん、子ノ力、大キイ、邪魔スルナ…”


出産間際の雌犬を守るので興奮状態のようだ。失敗したなぁ、どうやったらこの場を丸く収められるか。

でもなんかおかしい。なんだ?子供の力とか俺が操るとか。

興奮して混乱してるのか?

とか思っていたら、目の前の犬の様子がおかしいことに気がついた。

尻をあげ、青を地面にこすりつけるような恰好で、なんだかもがいているような…そんな感じになった。


”違う!、俺、赤子、守る…”

”おい!どうした?”

”俺、俺…ウッ!”


次第に足もとから黒い影のようなものが噴き出してその犬を包んでいく。


しまった!


気づいた時にはあっという間に真っ黒な犬の輪郭だけがかろうじてわかる黒い塊に変わっていた。


”子ハ渡サン”


黒い塊は風に流された煙のように濃度が薄くなって崖の方に流れて行った。




突然消えた犬のだった煙を追って崖を飛び降り、出産していた犬の方へ向かっていくと、黒い煙のようなものが雌犬達を取り巻いていた。


”ヤハリ、奪い、来た”


犬の意思が籠った煙は濃くなったり薄くなったりしながら少しずつ範囲を大きくしながら大きくなっていく。

地面の草が枯れ、地面がそこだけ荒れていく。

そんな中、内部の母犬と子供たちだけは何事もないように横たわって休んでいる。


守っているのは分かるけど、なんでこんなことになってるんだ?

誰かが何かを仕掛けたのか?


”俺は赤ん坊なんか奪いに来てない!”


誰かが犬を煙にして操っている。そう思って付近を見たがわからない。

境内の中は月明かりしか明かりがないので林の中は真っ暗、おまけに他の気配もない。


必死に何かないか、どうしようか考えていたら…

ふと、おかしいことに気がついた。


なんで攻撃してこないんだろう?


煙はたまに雄犬の気配を感じるけれど、基本的にぐるぐると雌犬の周りをまわっているだけ。侵入してくるなという意思表示は分かるけど…

何か変わった力を使うやつでこのあたりにいるのは目の前の雌犬と子供に煙になった雄犬…それとさっきの子供。


子供は逃げて行ったから論外として、この目の前にいる誰か…か?

雄犬は操られているだけ。雌犬は…寝ている。ということは…

ひょっとしてハッタリ?俺たちに怯えていて驚かしておけば逃げていくって思ってる幼稚なやつ?


”こおら!誰だ!いたずらしてるやつは!”


思いっきり吠えてみた。誰かが反応してくれれば原因が分かるはず。

小さい犬の1匹が大きく反応した。


こいつか…青白い毛並みのまだ生まれて間もない子犬。そいつが俺が吠えたのに一番反応した。

そいつをしっかりと睨んでやると、他の奴の後ろに隠れるように転がって動いた。


そしてそいつに向かってまっすぐ歩いていくと、取り巻いていた煙は俺を避けるようにそこだけ何もなくなり雌犬のおなかのあたりからそいつの首元をくわえて横に大きく放り投げた。


”お前か!変な術を使うやつは!”


怒りながら吠えた俺に青白い子犬はおびえながら頷く。


”もうハッタリは聞かないんだ!術をといて説明しろ!”

”はい…”


そいつは術を解くと煙は塊になって、雄犬に戻って雌犬の横に座り込んで眠ってしまった。


”さて…これはどういうことだ?”

”ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!”


完全におびえて話にならない…。少し落ち着かせてから話を聞いた。


"ボクはアオって言います…”


生後間もなくという犬が言葉で俺に話してくる。これはもしかして獣人のクロと同じ獣人なのか?

俺を見ながら喋る小さい犬…俺と同じ柴犬(だと思う)の黄色い奴が俺の首輪を見て表情が変わった。


”さっき気づかなかったんデスが、あなた湖北のブラウンさんですよね…”

”ああ、そうだけど。何でわかった?”

”首輪の名札見て…クロをご存じですか?知ってらっしゃったら話が早いデス。あれと同類ですボク”


ああ…やっぱり。変な術使うし…ということはこいつも?


『お前?獣人になれるのか?』

”なれません…クロの話どおりあなたは人語を話せるのですね…ちなみに今、ボクは人語を理解できますが喋れません。だから犬語で吠えていただいた方が円滑に会話が成立すると思われます。”

”なんでだ?”

”ボクがここに来るためにはこの犬の体を借りないといけないのデス。相性が合って、たまたま僕と波長が合うのがこの生まれたての犬だったんデス”


言葉の後ろがカタカナに聞こえるのは語尾がやけにしっかり発音されるからなんだが…聞いてて少しいらっとくるな、こいつ。


”たぶんこちらに情報がなかったと思われますが子犬というのは僕たち体を借りる方としましては負担が大きくて行動に制限がかかってしまいまシテ…”

”よくわからんけど何でそこまでしてお前はここに来たんだ?”

”話途中ですが、問いに答えますと…この近辺に人間の子供が生まれたと情報が入りまシテ…”


なんかこいつ回りくどい話し方するなぁ…

もう少し何とかならんのかなぁ。とさらにいらっとしてきた。

いかん、がまんがまん。


”人間の子なんかこの辺に50も100もいるぜ?”

”その…詳しくはボクもわからないのデスガ、我々と波長のあった子が生まれたので調査してコイと言われてここに居るンデス。”


そう吠えながらアオは俺の匂いを嗅いでいる。

なんだよ…ああ、これか。やな予感ってのは。


”あなたの体の匂いから、該当する人間の…たぶん唾液だと思うのですか、匂いがシマス”


げぇええ!それって大地の子とじゃないのか。いきなりなんかマークされてるって…

それよりこいつ地味にすごいな。そんな匂いを覚えたりかぎ分けられたり、訓練しないとできないぞ普通。


”それが何で変な術みたいなのを使ってさっきの人間や俺を脅かしてたんだ?”

”これが恥ずかしながら…先程の話の続きになるのデスガ、生まれたての幼獣の思考がボクの考えていた以上に強かったのデス。”

”よくわからんけど、借りたらお前の思うどおりに体が動かせるんじゃないのか?”

”普通はそうデス。相手には少し眠っていただいて…長期になれば共存させていただくのデスが…”


アオは少し困った顔をしながら俺を見つめる。

なんだか少し雰囲気が変わったみたいにきょろきょろしはじめた。


”ちょうどこちらに来た時、ボク達はほかの犬に襲われてまして…本当はいけないのデスガ、ボクは幻術が使えるノデそれを使って幼獣の願いをかなえてしまったノデス。”


小さい体がプルプルと震えだしてしゃがみ込む。


”その瞬間、ボクは…ボクは…”


尻尾を股間にはさんで下を向いて頭を擦りつけて何かに怯えている。

急にこうなったので心配になってアオに近づいて様子を確認しに行った。

黄色い小さな体がさらに丸まって遠目から見たらテニスボールのようになっている。


”おまえ、アオじゃなくて黄色…山吹って感じだよなぁ…”


思わず口に出した言葉にアオの耳が反応する。

全身の震えが止まって顔をひょこっと俺の方に向けてくる。


”ボクは…アオ…じゃなくて山吹…なんですかネェ…”


え?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。