ネクロポリス
恋人どころか友達も家族も居ない僕が作り出した一つのプログラム。一万語のツイートがあれば、その人の会話の癖や興味の方向、好き嫌いなどを仮想し、まるでその人自身がそこでつぶやいているように「再生」できるというもの。
早速、僕自身のツイートを読込ませてみる……すごい。僕みたいにつぶやく!
僕が死に、僕の言葉だけがネットに遺る未来では、つぶやいた言霊が僕の移し身。僕がこの世を去っても、電脳世界の片隅でこいつは僕を演じ続ける!
もう一つ機能をつけた。一万語以上つぶやいていて、そして一年以上つぶやいていないアカウントを検索する。「その人」が仮想出来れば、パスワードを当てられるものもある。そうやって乗っ取ったアカウントをも「再生」するのだ。
言霊の中に生きている僕らのかけらを、こいつは拾い上げてまわる。本当の主に立ち去られたアカウントの中に遺る言霊たちを集め、何人もの命を「再生」してゆくこいつは、さながら死者を甦らせるネクロマンサーみたいだな。
いずれ、そうやってネットの中に「造られた僕」と、他の「造られた誰か」が、恋をしたりするのだろうか。
僕は死後の未来のささやかな楽しみとして、「愛している」という言葉をそっとツイートした。
その「愛している」という言葉が、プログラムによりいきなり削除された。「僕」らしくないってこと……か? そうだな。見事だ。完璧なプログラムだ。僕は笑いながら、泣きながら、拍手をした。
君のフォローする人は、君のフォロワーは、本当に生きているかい?