A mischievous goblin
若干グロテスク。かもしれない
でもきっと、皆さん読めると思います。
作者もグロはあんまり好きじゃないので←
グロ好きな人に取っては面白くもなんともない
かも←
嘘をついていた。
嘘を、吐き続けた
微笑みも
笑い声も
繋いだ手も
涙も
感情さえも
偽りで
全部知ってた君は
いつも
悲しそうに
笑っていた
ね。
0話
××国◯◯市街 深夜2:17分。
煉瓦の敷かれた活気溢れる昼の街とは対照的に、現在の暗闇に包まれた通りは人気が全くない、ただの道だった。
...その闇の中を動く何かが、羽虫を纏った街灯に照らされて突如、姿を現す
それは、まるで闇に溶けてなくなってしまいそうな程真っ黒な、フードのついた外套に身を隠した人であった。
足取りは酷く重く、外套から覗く細長い足が頼りなげに歩を進めている
その全身が海にでも入って来たかのように水分を含んでいて、ここまで歩いて来たのであろう煉瓦の色を変えている
今日は雨なんて、降っていなかった筈なのだが。
凍えるような風が幾度となく吹く中、男か女かも定かでないその人物は、現れた時と同じく
唐突に立ち止まった
「...来た?」
その、小さな小さな呟きが合図となり、
『こんな夜中に何処行くんだいお嬢さん?散歩ならお供させてくださいな』
『気障ったらしいわね、こんな美味しくなさそうな娘が今日の夕食だなんて思いたくないんだけど』
『俺、好き、小さい娘…俺、喰う、頭、喰う……。』
三体...いや、三人組の白を基調とした衣服を身に纏う者達が音も無く現れた
漆黒の謎の人物は、彼らが現れる事を予知していたようで、大抵の人間がする驚いた反応をしなかった
それに気を悪くしたのか、紅一点であるつり目の女が囁くように、しかし誰もが聞こえる様にそっと呟いた
『あぁ、お腹が減った。...そうね、私は腸を千切り取って指で中身をかき回してから頂こうかしら。』
厭らしく微笑む女に続くように、男達が黒い人物に詰め寄る
『じゃぁ俺は、この細っこい腕と足を頂こうかねぇ...若い奴は骨が良いんだよ、わかんねぇのか?お前らは!!』
シルクハットをかぶった紳士的な話し方をしていた男が、
本性を表したかの様に口調を荒くして黒い人の細腕を力任せに握りしめる
コリュ...
聞こえてはならない音がした。
が、やられている当の本人は痛覚と言うモノが無いのか打たれ強いのか、はたまた鈍いのか...反応しなかった。
『俺、俺頭、俺、頭喰う、頭、味噌美味い、俺頭喰う』
そして、言葉を危なっかしくなりつつも発する、頭の悪そうな背の低い太った男が、ゆっくりとフードにかくれた顔に向かって手を伸ばした
心無しか、息が荒い。
じりじりと道の端に追詰めるようにして、三人は集る。
と、再び突然に、黒い人物はフードを取った。
驚いたような女の顔、忌々しげに眉を寄せる似非紳士、そして恐怖に顔を引き攣らせる大男。
黒い人物は、今まで口に含んでいたのだろう、ドピンクのガムをぷぅっと膨らませると
極限まで大きくさせてから、ニヤリと悪戯が成功したかの様に笑った
そしてガムを、その姿とは対照的な真っ白な指でつついた。
バアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!!
爆発音と共に、
その人物と、人の形をした異形の物はその場から消えてしまった。
***
朝。
光溢れる町並み。
零れる笑い声
何も知らない無垢な微笑み。
そんな街の中で一際大きい建物である教会の塔の上に、黒い影があった。
「ねっむー...」
軽口を叩いているのは、黒い外套に身を包んだ…、街に現れたあの人だった。
フードから開放された無造作に伸びた黒髪は朝日によって煌めき、
雪にも劣らない程白い肌が、光を浴びて一層輝く。
垂れ目とも猫目ともとれない大きな瞳は神々しさを感じられる金色であったが、
やがてナニカに侵される様に黒く変色していき、最終的には髪と同じ、深い闇の色になった
端正な顔立ちで、そこにいるだけでどこか華がある。
しかし、男性とも女性ともとれる中世的な顔や、読めない表情の所為で性別がはっきりしない。
昨夜、そして今さっき発せられた声も、男性にしては少し高く、女性にしては少し低い...という分析しにくい物だった
「...さぁって、そろそろ行きますか!」
そういって、外套を翻した彼の人。
その背には、昨夜は暗過ぎて見えなかった何かの紋章が、ささやかながら垣間見えた
遠い昔に使われていたような古代文字が円を作るように綴られ、中心部に十字架と六芒星が描かれている
神聖な、それでいてどこか呪いのようなモノだった。
描写って難しい。
若輩者ですが、どうぞよろしく御願いします。
2011.11.17 一部修正致しました。