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フルカネルリだ。簡略化した山根の神の話を白兎にしてみたところ、それなりの評価をもらった。七十八点だそうだ。

《あレー? 意外といい点じゃないカー》

そうだな。私もこれほど高い点になるとは思っていなかった。

『……わたしはぁ……結構、好きだけどねぇ……♪』

そうか。


ふと思い付いた。白衣のポケットの中でならば実験や研究をすることができるのではないか、と。

《できないことはないだろうけどやめといた方がいいと思うヨー》

確かに入口がわからなくなりそうだ。それに恐らく真っ暗だろうしな。

……それ専用の施設でも作るか? なにか壺でも使えば簡単にとはいかないが作れないことはないだろう。

《フルカネルリー、キミがなんか言ってる間にキミの手はもう試作品を作り始めてるヨー》

……おや、いつの間に。

『……あらぁ……本当ねぇ……♪』

……まあいい。どうせ何時か作る予定だったのだ。それが少々早まっただけだ。

勝手に動いていたわりにはどう作ったかも確りと覚えているし、害はないだろう。


出来上がり。試作品とはいえ全力で作ったのでそれなりにハイスペックだ。

中身にどれだけ入ったとしてもある一定以上の重量にはならないようにした。

そして本体は壊れないようにあの世界で最高級の硬度と最大級の強度を併せ持つ、そんな金属をさらに私の霊気と妖気とナイアに貰ったものだろう未だに名前のわからない様々な力を込めてひたすらに強くしたものを使っている。作った私でも壊すのは少々骨が折れる。

……まあ、ナイアや教頭、それに校長たち邪神ならばさして苦労もなく壊してみせるのだろうがな。

《今なら楽々できるヨー》

やはりか。

『……わたしはぁ……ちょーっと、苦労するかもねぇ……?』

……ふむ。ならばいつの日にかこの箱庭をさらに強化して、アザギには壊すのが難しいものを作ってみるとしよう。

『……ふふふ……待ってるわよぉ……?』

ああ、待っていろ。


確実に時間が空いている時に箱庭に入り浸るようになったのだが、やはりそんな時間は極々限られた時間しか入れないのでは研究はともかく実験が上手くいかない。

……こうなれば異世界の科学力で中の時間を早くするか、外の時間の流れを遅くするしかないな。後者は難しいので前者で行くとしよう。

《頑張るのは良いけどサー。それやったら年齢がずれちゃうヨー?》

む……それは困るな。これは暫くは使う予定なのだから、使えば使うほど年齢がずれていくのは危険だ。

外から見たら二十後半にも見える小学生等は御免被る。

……折角理論だけは作ったのだが、お蔵入りか。

……………いや待て、年齢がずれるのが問題ならば、年齢がずれないようにすれば良いのだ。

それは例えば、異世界などで使うならばなんの問題もないと言うことだ。

私の体が成長し、周囲とのズレが問題になるのならば、元々私の体が成長しない異世界ならば、それも私の知り合いなど誰一人居ない世界なら、全く問題はないな。

《そういうことだネー》

『……ふふふ……よく、できましたぁ……♪』

……まあ、使う使わないは別として、一応実装はしておくか。どうしても箱庭を使わなければならない時は時差を一倍にすれば良い訳だし、今は便利な倉庫扱いで構わないだろう。

《……超科学の産物を便利な倉庫扱いカー……》

なにか問題でもあるか?

『……ふふふ……別に無いわよぉ……?』

ならばよし。






今日、瑠璃に頼まれて本を読んだ。題名は‘小さな神様の話’。

ちょっと読んでみたけど、今までに読んだことのない種類のお話だった。

主人公は、小さな一匹のヤマネ。名前は無いけれど、周りからはミモリ様と呼ばれているみたいだった。

そんな小さなヤマネがいつの間にか長生きをして、神様になってしまうという話。

この主人公は、やっていることが一々可愛らしい。瑠璃に丸い耳と大きなふさふさの尻尾を生やした姿で頭の中で再生すると………こう、きゅんっとクるものがある。

特に冬眠のシーン。自分の尻尾に丸まって幸せそうに眠る瑠璃なんて……ほんとに見たらとりあえず撫でちゃいそう。

……あれ、おかしいな? 急に涎が……?

……じゅるり。

「白兎? どうかしたのか?」

「!!な、何でもないよ!ほんとだよ!」

「……そうか」

それでもキョトンとした顔のままの瑠璃を見ていると……なんだか罪悪感が凄い…………。


妄想したり萌えたりしながら話を読み進めていって、読み終わったのは十五分くらい経ってからだった。

「さて、読んでみた感想はどうだ?」

感想かぁ……瑠璃が持って来た本にしては、ちょっと味が薄かったような気がする。ちょっと子供向けかな? と思ったくらいだ。

それにしては字は小さいし、難しい表現もいっぱい使われていたから違うのだろうけど、なんとなくそう思った。

それを加味して換算すると、大体八十五点くらい。

でもここはあえて少し低めにつける。なぜかと言うと、こうした方が次に良い本を持ってきてくれることが多いからだ。

……まあ、瑠璃が持ってきてくれる本は外れが全然無いんだけど。

と言うわけで七十八点をつけたんだけど………まさかあれを瑠璃が書いてたなんて……思ってなかった。普通にどこかで売ってるものだと思ってた。

……だって、カバーついてるし絵も描いてあるし、ちゃんとした本になってるんだもん。気付かないよ。



  ちょっとばかり危ない方向に進んでいる白兎の採点。




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