2-47
フルカネルリだ。林間学校の最終日となった。母への土産と父への土産を選ぶとしようか。
《お酒なんてどうかナー?》
私の身体は未成年だから売ってもらえないだろうな。
《あ、そっカー》
『……ふふふ………忘れんぼさんねぇ……♪』
買えた。
《マジでカー!? クトちゃんもクトゥグアもアブホースも国家権力に真っ向から喧嘩売ってルー!?》
そうだな。
だが酒を買った場合、すぐに教頭に住所と名前を告げて預けることになっている。帰ったら返されて親に連絡が行くようになっているらしい。
《……ならいい……のかナー?》
『……良いも悪いもぉ……やっちゃってるものぉ……』
《……たしかにネー》
まあ、この他にも色々と買ったがな。
《なに買ったノー?》
扇子とカステラと茶碗だな。
『……統一性が無いわねぇ……?』
《ないネー》
そうだな。
帰りのバスの中。白兎は騒ぎ疲れたのか私に寄りかかって眠っている。
……やれやれ。まだまだ子供と言うことか。
《実際子供だしネー》
まあ、その通りだな。
……では、校長が同じように教頭に寄りかかって眠っていることについてはどう思う?
《クトちゃんは昔から身体が弱かったからネー。眠れるときに寝ちゃわないと身体が持たなかったせいですぐに寝ちゃうのサー》
ほう、そうだったのか。
《そうだヨー。今は少しよくなってるみたいだけドー、身体はまだ昔のことを覚えてるんだろうネー》
そうか。
………直す気が無いだけではないのか?
《ノーコメント。でもあえて一言言うなら、その通りだと思うヨー》
『……それぇ……ノーコメントじゃぁ、無いわよねぇ………?』
コメントもあるしな。
家に帰るまでが林間学校。と言う訳で白兎と手を繋いで歩いている。
《何が‘と言う訳’なのかわかんないんだけドー?》
そう言うものだ。それにナイアならばわかろうとすればわかるだろうに。
《それやっちゃうと神生がつまんなくなっちゃうんだヨー。未来予知なんかで悦に浸る奴は本当の全知全能の恐ろしさを理解してないのサー》
……ああ、それは何となく理解できる。
私も恐らく全てを知ってしまったら気力をなくすだろう。もしかしたらその予知以外の未来にするためにはどんなことをすればよいかの実験を始めるかもしれないが。
《慣れるまでは結構難しいヨー?》
慣れるほどにやって来たのか?
《………暇だったからネー》
……そうか。
家に戻ってすぐに父と母に抱き締められる。どうやら寂しかったらしいが……父よ。仕事は良いのか?
「瑠璃の方が大切さ」
……やれやれ。そういうことを普通に言うから父は母に天然タラシ等と呼ばれるのだ。
《言わないであげてヨー》
言おうが言うまいが変わらんだろうに。
『……その通りなのだけどねぇ……』
《……まあ、本人には言わないであげてヨー》
言わないさ。そのぐらいの分別は付く。
父と母に土産を渡す。中々に喜んでもらえた。特にカステラは限定品だったらしく、母が大喜びだった。
……今度カステラでも作ってみるか。
《試食とかはあるかナー?》
………まあ、良いだろう。切れ端や形の悪いところになるが、構わないか?
《大丈夫サー!》
『……わたしにも、ちょうだぃ……?』
いいぞ。量はないが、ナイアと仲良く食べてくれ。
『……ふふふふ………ありがとねぇ……♪』
どういたしまして。
瑠璃ちゃんが林間学校に行ってる間、家の私達はちょっと寂しかった。
つい最近、冷たくなっちゃったこともあってとても心配だし、瑠璃ちゃんは可愛いから開放的な環境で積極的になった男の子から告白されちゃったり……ああ、心配だ。その時にあの人を抑えることができるだろうか。むしろ私が積極的にその子にプレッシャーをかけてしまったりしないかしら?
……ああ、考えれば考えるほど心配になってくる。
……もし、瑠璃ちゃんが帰ってきたときに、
「好きな相手ができた」
なんて言われたら…………どうなっちゃうかしら?
……それにしても、心配だ。
ああ、心配だ。
以下無限ループにより省略
親馬鹿極まる古鐘哀華の考え方。
ああ、心配だ。瑠璃が帰ってきたときに
「好きな相手ができた」
なんて言われたら、僕はその相手になにもしないでいられるだろうか?
もしかしたらその相手が家に来たときに思いっきりプレッシャーをかk
以下略
そして似た者夫婦の証。