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帰還編 1-4

これにて帰還編も終了。次からはまた日常に戻ります。

 

フルカネルリだ。父と母に抱き締められているのだが、素晴らしく痛い。そして苦しい。

《あんなに長い間死んでるからサー。もっと早く帰ってくればよかったんだヨー》

しかし、最低でもあのくらいはやっておかねばこれからの研究に支障が出てしまう。

……なんとかならないか?

《……今度からは固定で三分後に帰ってこれるように調整するヨー》

ありがたい。

………ああ、締め上げられているお陰で意識が……。

『……あらあらぁ……?……大変ねぇ……』



気絶しそうになったところで離してもらった。あのまましばらく時間が経っていたら本当に死んでしまう所だったな。

《死なないですんでよかったネー》

ああ、そうだな。アザギと同じになるにはまだ早すぎる。

私は謎が有る限り、生き続けて行きたい。

……人間ゆえに限界はあるだろうがな。

《神様になってみなイー?》

それはまたいつかな。

『……亡霊に、なってみなぃ……?』

死んだらな。しばらくは無理だ。と言うか嫌だ。

『……そぅ……仕方ないわねぇ………』


それからは少々忙しかった。役所に生き返ったという報告をして、医者に書類を出してもらい、学校に連絡をして、白兎の家に電話をかけた。

何でも学校からの話では、白兎が学校に来なくなっているらしい。何故私に言うのかは知らないが、一応電話で挨拶だけでもしておくとしよう。

《……カオスな匂いがするヨー?》

『……面白そうな匂いがするわぁ……♪』


白兎の母に直接話を聞くと、どうやら白兎はここ二日ほど食事を一切とっていないらしい。

起きている時はただ虚ろな目で空を見上げ、私が作った兎の置物を抱き締めて眠ろうとするらしい。

……そこまでショックだったか?

《ショックだったんだろうネー》

そうか。

………まあ、こんな時には顔を見せてやるのがいいだろう。それでも駄目なら抱き締めて、頭を撫でてやろう。

……父と母は………まあ、何とかしよう。具体的にはあの世界から持ってきた超科学の産物で。

少なくとも二人は命が懸かっているわけではないし、なんとかなるだろう。

『……手伝っちゃうわよぉ……♪』

ありがたい。是非頼む。


結果だけ残そう。

始めは無反応だったが、徐々に反応を返し、目に光が戻り、焦点が合ったと思ったら抱きつかれた。

夢と混同しているようだったが、しっかりと会話し、そして一緒に眠って起きた時にようやくいつもの白兎に戻ってくれた。

嬉しそうに私と話をしながら学校へ向かう。

ここで大切な事は、私の家からはあの世界で私がプロトの世話をしているときに研究をしていた機械人形が出発していると言うことだ。

学校に着いてすぐに機械人形から今日必要なものを受け取り、機械人形は改造に改造を重ねた白衣のポケットに入れて隠した。

ナイアから校長達に連絡が行っていたらしく、大した騒ぎもなく受け入れられた。

……ナイア。何かしたな? あまりに周りの反応が薄すぎるぞ?

《あ、ばれター?》

これは流石にばれるだろう。少なくとも違和感は感じるさ。

……された方はともかくとして。


担任の高中教諭には校長から話が行っていたらしく、すぐに迎え入れてくれた。

その際、いつもの面倒臭げな顔を少しほころばせていたのが少々驚きだった。

教頭からはぶっきらぼうに、副校長からはにやにやという笑顔と共に「お帰り」との言葉を頂いた。流石はナイアと肩を並べる邪神の二方だ。私がどこで何をして来たかなどすべて見通しているようだ。

《クトちゃんはまだちょっと気付けないかナー?》

そうなのか?

《そのつもりで軽く隠しながら行ったのサー》

そうか。


こうして私の初めての異世界旅行は終わり、またいつも通りの日常が再開した。



  今日もナイア達と元気に過ごすフルカネルリの優しい日常。




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