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異世界編 1-5

 

フルカネルリだ。空間を歪めて広くしたり狭くしたりする機械を開発した。

ただこの機械を動かすにはかなり巨大な電力が必要になるため、ナイアの言う‘四次元ポケット’ができるまでには機械の小型化+効果の効率化をしなければならない。

発電機については周りの機械の物を流用すれば何とでもなる。

《頑張れ頑張れフルカネルリー♪》

わかったわかった。


ナイアには悪いが、空間を拡げるより、縮める方が早く開発が進んだ。

縮める方の使い方は、点と点の間の距離を限りなく0に近付け、その短くなった距離を進んでやれば疑似瞬間移動になる。

それと空間歪曲装置だが、小さくするのは出来ないが効率化には成功した。

……そこでポケットの中の空間を拡げ、その中に発電機と共に入れてみたらできた。

ただし、いくら空間を拡げても中身の重量は変わらないため、着るのが嫌になる程度には重い。

………反重力発生装置でも作るか。幸い、理論だけならばできていることだ…………


目が覚めると私の部屋のベッドに横になっていた。

……やれやれ、また倒れたか。

《運んだのはハヴィラックだヨー》

そうだろうな。あいつ以外に触られたら起きていただろう。

……ああ、ナイアとアザギは別だ。おそらく起きなかっただろう。

………それにしても、絶食の限界はまだ見極められん。その日その時でかなり変わる。

《いや、むしろ睡眠不足だヨー。ここ半年くらい寝てなかったでショー?》

………そういえばそうだったな。

……そうか、そちらか。

『……ぁ、そうそぅ……ハヴィラックから、伝言よぉ………?』

何だ?

『……研究は、連続三ヶ月まで……徹夜も、同じだけど……絶食は、一月まで、……ですってよぉ………』

な……せめて四ヶ月半にならないものか………。

『……ふふふ……瑠璃らしいわねぇ……♪』

《無理だと思うヨー》

……そうか。


記憶はしたがいつもは思い出す事もなく脳の奥に眠っている記憶のなかに、古い古い住民票が存在した。

時間はあるのでその中の私に関係のある人物の記録を見てみることにした。

《……やめといた方がいいと思うヨー?》

……私もそう思うさ。だが、それでも私は知りたい。

私が私であるために。

《……好きにするといいヨー》

それだけ言ってナイアは、珍しく気まずげに黙り込んだ。

……やれやれ、嫌な予感が止まらんな。


はじめは白兎について調べてみる事にする。

頭の中のデータベースで白兎の名前を検索する。

するとすぐに見つけた。


春原白兎 享年七歳。


……何だと?

他の名前を探すために、私は自らの思考の海に飛び込んでいった。


……調べてみると、どうやら私の周囲にいた者達は、総じて早死にするか、もしくは産まれてすらいなかった。

父は、祖父が子を作る前に殺されていたために産まれていなかった。

母は、全く知らない男を夫とし、結婚後三年で包丁で滅多刺しにされ、殺されていた。

白兎は生まれつき病弱で、七歳まで生きていたことが奇跡と言われていたし、その両親は白兎の死を切っ掛けに首を吊って自殺。

……そして、私達が通っていたあの学校は影も形もなかった。

………なるほどな。ナイアが止めた理由がよくわかった。

……気分が悪い。今日はもう寝るとしよう。






だからやめといた方がいいって言ったのにサー。知らない方が幸せなことだってあるのに、なんで人間って言うのは何でも知ろうとするのかナー?

……まあ、そのなかでもフルカネルリは違うけどサー。

普通ならここで‘知らなければよかった’って思うんだけど、フルカネルリはそれをただの‘可能性’として受け入れることができている。

こんなことがキミがいない世界で起きました、って言われて

「そうか」

の一言で終わらせられる人間はなかなかいない。特にそれが自分の中のいい人間だった場合には。

『……きっと、瑠璃は……どこかが、おかしいのねぇ……?』

《人間としてはそうかもネー》

……神様としては否定しないけドー。



  ナイア達のフルカネルリ観察日記。



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