1-3
1- は小学生になる前です
フルカネルリだ。最近ようやく自分で用を足す事が出来るようになった。とても嬉しい。
《おめでとうネー》
ああ、ありがとう。
さて、こうして動けるようになった私だが、とりあえず最初にここがどんな世界でどんな所なのかはっきりと知りたいところだな。
ナイアはそれについては教えてくれなかったし。
《だってその方がボクが楽しいんだヨー?》
そうか、なら仕方ない。
《……自分で言っといてあれだけどサー、ここは怒るところだと思うんだけどナー?》
なに、私も自分がやりたいことをやるときに周りを切り捨てることが多かったからな。勿論今回はある程度自重するつもりだが。
《へー、そうなんダー?》
ああ。
…ところでナイア、困ったことがあるんだが。
《なにかナー?》
それがな……
「瑠璃ちゃーん♪お母さんでちゅよ~」
「おかしゃん?」
「こふっ……はーい、おかあしゃんでしゅよ~♪」
…このように発音が難しくてだな……。
《いやいやいやいや、つっこみ所はそこじゃないよネー!?》
……言わないでくれ。分かっているから……。
《………うん、ごめん》
…いや、いいさ。
それに母だけだしな。
父の方は私の前ではかっこいいお父さんでありたいらしく、あまりでれでれとした姿を私に見せないようにしているようだ。
…その分他の所……例えば仕事場などではかなりの親馬鹿+愛妻家っぷりを見せているらしいがな。
……ふぁ………。
…それにしても……この体になってからというもの………眠くなるのが…早く……なった……。
《寝ちゃいなヨー。その体はまだまだちっちゃいんだからサー。体に悪いヨー?》
………あ、あ。
《……お休みだヨー、フルカネルリ》
……おや…す…………み……………………。
この直後、私の意識はぷっつりと消えた。
とあるビルの中、とある場所
「うちの娘がな、これがまた可愛いんだ」
「はぁ……」
一人の男が同僚の男に話しかけている。
「仕事で夜遅くに帰ってくるだろ? するとまあかなり疲れてるわけだ。だけど瑠璃の顔をみるだけでこう、明日も頑張ろうって気になってくるわけだ」
「そ、そうですか……」
その男は身ぶり手振りを交えて自分の娘の可愛らしさを語り続けているが、聞いている方はうんざりという顔をしている。
……まあ、誰でも何度も何度もループする娘自慢を聞けば同じような反応をするだろうが。
「それでな、うちの娘のどこが可愛いかをあげていくとだ、まずは………………………………(以下省略)
会社員、古鐘裕樹のとある日の昼休みの一幕
まあ、こんなものでご勘弁を