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今回は相当短いです。
フルカネルリだ。そう言えばもう三月。私の初の異世界旅行まであと三ヶ月程だ。
《そうだヨー。どんな世界に行くかは教えてあげないけど、準備はしといた方が良いと思うヨー》
そうだな。
とりあえず銃と大型のナイフ、それに丈夫な服は用意した。
……まあ、服は既製品に妖力または霊力の糸を通して強化してやれば事足りるが。
そうそう壊れることは無いと思うが、一応予備に形だけのハンドガンを用意。形だけでも十分撃つことはできる。
……実際、何も無しでも撃てないことはない。少々疲れるが、不可能ではない。
《霊力切れにも慣れてきたもんネー》
そうだな。努力した甲斐があったと言うものだ。
ちなみにやり方は、毎日寝る前に霊力を全て吐き出して固めておくだけだ。今までに溜めた分は、小さな球体の宝石のようにして透明なガラス瓶の中に入っている。
……白兎はそれを見た時飴玉と勘違いしていたが。
《きれいに透き通った空色だもんネー。美味しそうだって思っても仕方がないヨー》
そうか? 私ならそんな怪しいものは恐ろしくて食べられないのだが。
『……ふふふ……瑠璃は……心配性ねぇ……♪』
そうだな。
《ちなみに食べるとブルーハワイみたいな味がするヨー》
どれ…………おお、確かに。
《躊躇なく食べちゃっター!?》
流石にトランクを作るには缶が足りなかったので自分でリュックサックを作った。
……うむ、良い出来だ。
《小学生のやることじゃ無いよネー》
普通はそうだな。
……まあ、私は普通には入らないだろうが。
……さて、準備はできた。後は出かける直前に缶詰と水を入れれば良い。
……一応、むこうの世界から帰ってきた時に混乱しないように、この世界についての日記でもつけておくか。
…………日付は……私が生まれてすぐから始めよう。
フルカネルリって基本的に考えることがなんでもかんでも深読みしすぎなんだよネー。
今回の世界ならフルカネルリが死んで帰ってくることなんてほぼ無いし、死にそうになったとしてもボクとアザギがしっかり守ってあげるのにネー。
……それでもフルカネルリは準備に手を抜くとか言うことは考えないんだろうけどサー。
それでこそフルカネルリだヨー!
……まあ、なんにしろボクがそんな危ない世界にいきなり放り込んだりはしないって事は理解してほしいかナー? そういう所に放り込むなら、事前にちゃんと《危ないヨー》って言っておくサー。
……少なくとも、ボクならネー。
フルカネルリが今までにあったことをみんな日記に書いているのを見ながら、ボクはそんなとりとめの無いことを考えていた。
もうすぐ異界旅行に出発するフルカネルリを見守るナイアの話。