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私の前世の名はフルカネルリだ。恐らく寿命で死んでからナイアに出会って転生したらしい。
そして、今の私の名は古鐘瑠璃。古鐘が名字で瑠璃が名だ。
ここで一番大きな問題は、前世の私は男だったが今の私は女、それも生まれて間もない赤子だということだ。
何故性別が変わったのだろうか。やはり偶然……?
《ボクがやったんだけどナー?》
なんだナイアか。
《……ここ怒るところだヨー?》
そうなのか?私としては完全に謎だった女性の体について自分で知ることができるというのはメリットがかなり多いのだが。
《…あー、やっぱりフルカネルリってちょっとおかしいヨー》
自覚はしている。だが直す気は欠片もない。
これが私だ。
《……うん、とりあえずおむつを取り替えてもらいながら言っても気が抜けるだけだからネー?》
五月蝿い、巨大な蟻に跳ねられて死ね。
《それ相当嫌な死に方だよネー!?》
そうだな、私も嫌だ。
そう、私は今おむつを替えてもらっている最中だ。
正直に言って嫌だが私が動けないのだから仕方がないと割り切って現実から軽く目を背けながら替えてもらっている。
「はーいキレイにしようとなりまちたよー」
頼む、母よ。その赤ちゃん言葉を辞めてくれ。私が恥ずかしさと屈辱のあまり死んでしまいそうだ。
《自殺はできないようになってるから平気だと思うヨー?》
精神的な問題だ。それにこれはある程度理解しているとわからせないと終わらないので現実から逃げることもできない。
…まさに絶望的だな。
《……愚痴くらいなら聞いてあげるヨー》
ありがたい。
…だがそれよりもこの動けない時間をどうにかして短くできないものか……。
「瑠璃ちゃーん♪ 次はごはんでちゅよー」
だからその赤ちゃん言葉を辞めてくれと。
……まあ、飲むんだがな。
《死んじゃうもんネー》
そうだな。
私は早く大きくなるために良く食べ良く寝て良く運動することを心に決めるのだった。
………けぷっ。