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フルカネルリだ。もうすぐ夏休みだが、白兎は宿題を自分でやる気はあるのだろうか?

《あると良いネー》

『……ふふふ……どうかしらねぇ……♪』

どうなのだろうな。


「……と、言うわけだ。たまには自分だけでやってみたらどうだ?」

「えぇっ!?」

なぜ驚く?

「いいからやってみろ。お前は今まで夏休みの宿題だけは毎回私に頼ってきていたが、他の長期休暇の宿題は自力でできていたのだからそれぐらい容易いだろう」

しかし、私がそう言っても白兎は動かない。

「……どうしても、やらなきゃダメ?」

「駄目だ」

可愛らしく聞いてくるが、私にそういった事は通用しない。昔に妻にもよくやられ、その度に振り払ってきたのだから。

《……だからフルカネルリは鈍いんだヨー》

五月蝿い、隕石の直撃を受けてミンチになって死ね。

《宝くじで一等当てるより低い確率の死に方が来ター!?》

まあ、直撃など早々無いことは確かだな。

だが直撃して死ね。

《まだ引っ張るノー!?》

私達がそうやって話している間も白兎は私を見ていたが、やがて観念したのか頑張ると答えた。

……ちなみに全力でやってできなかったなら手伝ってやることもやぶさかではない。

《フルカネルリってばツンデレなんだかラー♪》

五月蝿い、歯ブラシをくわえたまま転んで脳まで貫通させて死ね。

《ヤダよそんな死にかたハー!?》

知ったことか。どうせ死んでも何事もなかったかのように復活するんだろうが。






瑠璃に言われたから今年の宿題は一人で頑張ってみることにした。まずはできるやつから終わらせていこう。


国語の漢字書き取りが終わった。写すだけだから簡単だけど、やっぱり疲れちゃう。

……瑠璃はどこまで終わったかな?


電話をかけて聞いてみた。

『全て終わっているが?』

あの量がもう終わってるって何? 瑠璃って実は超人だったりするの?

……あ、でも完璧超人って言う意味だったら外れてないかもね。

勉強はできるし、運動も苦手じゃないみたいだし、瑠璃は気付いてないかもだけど人気もある。それに手先も器用だし歌も上手いしできないことが想像できないんだよね。

………………でもかわいい服とかそういうのを着たがらないっていうのがあったかな? そのぐらいだよね。

……よし、頑張ろ。


社会と国語、自由研究、あとついでに体育と音楽は終わった。これで残るは日記と算数だけ。頑張ったぞ私!偉いぞ私!そしてもうちょっとだけ頑張って瑠璃に誉めてもらうために、頑張るぞ!

えい、えい、おー!


いつも瑠璃に教えてもらっているのは伊達じゃないみたいで、かなりすらすらと問題が解ける。

……でもたまーにわかんないとこもあるんだよね………どうしよ……。

お母さんに聞いてみた。教えてくれたけど瑠璃の説明の方がずっとわかりやすい。瑠璃はやっぱり先生とか目指すといいかもしれないって思った。


……できたーっ!これで瑠璃に誉めてもらえるーっ!

……ちょっと想像………頭撫でてもらってー、髪を梳いてもらってー、抱き締めてもらってー、膝枕してもらってー…………じゅるり。

「白兎ちゃん。よだれよだれ」

「あ、うん。ありがとお母さん」

いけないいけない。

……でもぉ……えへへ……♪


次の日、瑠璃に終わった宿題を見せに行った。そして一杯撫でてもらった。

「よく頑張ったな」

「ん、頑張ってみた」

ぽふ、と頭を瑠璃の膝にのせてもらう。すると瑠璃は私の考えがわかっているかのように動いて、私の頭を撫でてくれた。

……はぁう……♪



  頑張ってみた白兎の話



《今回はちょっと短いから少しだけおまけがあるヨー。今回の話とはあんまり関係無いけど、見たい人は見てってネー》



白兎が宿題に忙殺されている時、フルカネルリはと言うと、

「……やはり夏は冷たい素麺だな」

こちらはこちらで夏を満喫していた。

朝は日が昇っていくなかで慣れてきた太極拳の套路を行って体を起こし、暇な時間があれば妖力や霊力を使った術式を組み上げ、それらを自作した銃で試し撃ちをしたり、今までに作り上げた術式の問題点を改善するなど、様々な事を行っていた。

《睡眠時間はどのくらいかナー?》

そうだな……三時間から四時間半といった所か。

《小学生の睡眠時間じゃないよそレー!?》

『……まぁ、瑠璃が平気なら……いいけどねぇ……?』

そうか。私は平気だ。

……さて。今日も朝の太極拳から始めるとしようか。



  そんなフルカネルリの夏休み



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