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フルカネルリだ。社会科見学に科学博物館に行くことになった。社会なのか理科なのかはっきりさせてほしいな。

《じゃあ社会にしとくヨー》

そうか、社会か。

……どうしたナイア? そのように無言でさめざめと泣いて。

《……ひっく……泣いてなんか……ひっく……》

泣いているぞ?

『……泣いてるわねぇ……』


宝の山だな!

「瑠璃の目がすごいキラキラしてるー!?」

白兎がそう言うが、私の知ったことではないな。

《……知っときなヨー》

『……まあまぁ……いいじゃないのぉ……♪』

古い製鉄法やその為に作られるようになった炭、そして新旧揃った銃や刀剣の数々!その上大雑把とはいえ作り方まで!

《聞いてないシー》

「る、瑠璃? みんな先に行っちゃうよ?」

「……それはまずいな」

仕方がない。さっさと解析して記録だけでも残すとするか。

……完了。

「悪いな白兎。遅くなった」

「いいから早く!」

白兎に手を引かれて私はクラスメイト達を追いかけた。


昼になり、全員が適当な場所で持ってきた弁当をつつく。それは私も例外ではなく、いつもより二割増しに豪華な弁当を白兎と一緒につついている。

「瑠璃のお弁当っていつも美味しそうだね」

「ああ。旨いぞ。……ほら、少しやるから口を開けろ」

私が白兎に自分の弁当の中身を食べさせたり、逆に白兎が私に弁当のおかずをくれたりと、中々に楽しい時間だった。

……強いて言うなら、そう言ったことをする度に、他のクラスの奴等が五月蝿くなったのが少々鬱陶しかったのがマイナスだったが、このくらいならば許容しよう。

『……優しいわねぇ……♪』

そうか?


食事のあとは自由行動。今のうちに出来る限りの物を見て覚えてしまおう。

「私も一緒に行って良い?」

「構わんが、静かにな」

私の言葉に白兎はニパッと笑顔を浮かべた。

……とりあえず撫でておこう。よしよし。

《……フルカネルリってサー、意外と子供好きだったりするノー?》

少なくとも嫌いではないな。相手にもよるが。

《そうなんダー?》

ああ、そうだ。


製鉄などの軍用ばかりでなく、生活に有ると便利な物などの展覧物も見ておく。

……見たものを後から解析するのは無理なので、仕方無くこの場で解析する。

この目は融通がきかないが、普通ならば見えないものも見ようとすれば見えるので重宝する。

『……そうじゃないと……わたしも、見えないものねぇ……あははは……♪』

《……何でキミはそんなに楽しそうなノー?》

何でだろうな?

『……何でかしらねぇ……?』

《二人がかりで誤魔化しに来ター!?》

誤魔化してなどいないさ? なあ?

『……そうよぉ……?』

《疑問形なのは何でサー!?》

さあな。






帰りのバスの中で、フルカネルリは白兎ちゃんを肩に寄りかからせたまま本を読んでいる。……よく酔わないネー。普通気持ち悪くなるヨー?

……なっても健康呪いですぐによくなるけドー。

……で、今はどんな本を読んでるのかナー?

えーとどれどれ……世界の黒魔術、って何でこんなの読んでるのサー!?

『……さぁ……? 適当に持ってきたら、それだったんじゃないかしらぁ……?』

……フルカネルリならありえるナー。どれだけ信憑性がなくてもなんでもかんでも読んじゃいそうだシー。これもそんな感じかナー?

『……そうかもねぇ……? ……あらぁ……瑠璃ったら……うふふふ……♪』

ボクが目を離していた間に、フルカネルリは白兎ちゃんの頭を自分の膝の上に乗せていた。うん、いつもやってるからたいして何も思わないネー。

『……周りも……またか、って思ってるわぁ……♪』

どれどれ……あ、ほんとダー。

……それにしても白兎ちゃんを見てるとヨグソトスのやつを思い出すナー。具体的にはフルカネルリに対しての押しの弱さとか、甘えて目の細め方とかネー。

……血縁とか………無いネー。見てみたけど全然ない。ごくごく普通の子だったヨー。

強いて言うならちょっとだけ外国の人間の血が入ってるぐらいかナー?

でもそれぐらい今の世の中じゃあ十分普通に入るシー。もし普通じゃなくってもフルカネルリならぜーんぜん気にしないだろうしネー。

フルカネルリの害にならないならボクは何でも良いヨー。むしろその方が面白くなるから歓迎サー!

ちょっとクラッカーを鳴らしてみる。ぱーん!と良い音がして紙吹雪が宙に舞った。

《五月蝿いぞナイア》

……ゴメン。



  久々になかなか外に出ない友神を思い出したナイアのある帰り道




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