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転生後の第一話です。今までで一番長いです。
ナイアとの話し合い(?)が終わり、私はナイアの遊びに付き合う代わりに色々なものを受け取った。
それは例えば知識だったり特殊な能力だったりした訳だが、何故か細かいところまでは教えられることは無かった。
…これは私に自分で調べろということだろう。
よろしい、これで退屈な時間は少なくなることだろう。
……ところで、私が能力は要らないと言った時にナイアが言った
「いつか絶対に必要になるかラー」
という言葉にそこはかとない不安を感じるのは私だけだろうか。
……平和にのんびりと研究ばかりの日々を過ごして行きたいものだ。
…………まあ、ナイアに付き合っている限り不可能だろうがな。
所でここは何処なんだ?
私は暗い所に居た。
光が全く届かないような所で何か液体に浸かっているような感覚だ。
《そりゃそうだヨー。実際キミは今キミの母親になる人間のお腹のなかにいるんだからネー》
……ああ、なるほど羊水の中か。だがこんな最初期から意識かあるとは聞いていないぞ?
《……驚いてほしかったんだけどナー》
そうか。悪いことをしたな。
《……別にいいヨー。ボクがそう思ってただけだからネー》
そう言いながらもナイアの声には少しの拗ねが入っていて、私はそれに気付いたときに笑ってしまった。
《…何で笑うのサー》
その言葉と共にぶすっとしたナイアの顔が脳裏に浮かぶ。そのせいで私の笑いは余計に止まらなくなってしまった。
…意外に、可愛らしい所もあるじゃないか。
そう呟くと、ナイアの方から理解できない言語が流れてきた。どうやら恥ずかしがっているようだ。
こうしてナイアと話している間に私の体はすっかり大きくなり、いつでも生まれることができる程度の大きさまで成長した。
《さて、そろそろ生まれる時間だヨー》
ああ、分かっているさ。
周囲の壁か私を外に押し出そうと動き始め、さらに私が今まで浸かっていた羊水が減る。
私はそれに逆らわず、自分から出て行く勢いで外に出た。
……あ。産声をあげるのを忘れていた。少し遅くなったが一応あげておくか?
《いや、もう必要ないと思うヨー》
む? そうか?
《そうだヨー。おめでとうネー、フルカネルリ》
ああ、ありがとう。
目を開くと、急に入ってきた光に頭が痛くなる。
だがそれでも私は私を産んだ母を今、この目で見たかったのだ。
私のなかでは数分が過ぎた頃、ようやく目が光に慣れてきた。
ひょい、と抱かれたような感覚に身を任せ、私を抱いている者を見た。
「…ふふっ。良く生まれてきてくれたわ、私の赤ちゃん……」
疲れたような笑みを私に向けているその女性が、恐らく私の母なのだろう。
「良くやったぞ、哀華」
そして母(であろう女性)に話しかけているのが父か。
《そうだヨー。ちなみに名前は裕樹だネー》
説明をありがとうナイア。
「それで、名前はどうするの?」
おお、私の名前か。できることならば元の名に似ているものがいいのだが。
母に聞かれた父は胸を張って答える。
「ああ。男の子なら優しい夜と書いて優夜、女の子なら宝石の瑠璃にしようと思っていたんだ」
そうかそうか、なら私の名は
「なら瑠璃ね。この子は女の子だから」
…………………は?