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2-27

 

フルカネルリだ。何故か最近アザギの関係で嫌な予感が止まらないのだ。

《……あー、もしかしてあれかナー?》

どれだ!?

《おひぃっ!? フルカネルリがキレた所なんて久し振りn

黙って質問に答えろ、ナイア。

《……ハイ》


ナイアに話を聞いたところ、アザギの持ってきたこの布は雪娘という妖怪の衣服の一部であるらしい。

しかもこれはその雪娘の母の形見であり、アザギはそれを無理矢理剥ぎ取る形で持ってきたらしい。

……やれやれ。何をやっているんだ。

………だが、アザギのお陰で霊力と霊気、そして妖力と妖気を少しだけ理解する事は出来たし、その他にも力があると言うことはわかった。

それに、それを理解してからというもの、少しだけそれを使うこともできるし、妖力や霊力を糸のようにしてあの布を複製することにも成功した。

《うっそぉ!? どうやったノー!?》

うむ、色々な術式が書き込まれていたのでな。分解して真似て解体して作り直して効果を確かめてを五~六十回ほど繰り返したら出来たぞ。

《フルカネルリってほんとに化け物ダー!?》

そうだな。

…………一応、その複製を使った着物を用意しておこう。

……アザギ。

『……はぁぃ……』

その雪娘の服はどのようなものだったか、繊細に思い出せるか?

『……勿論よぉ……でも、どうするのぉ……?』

解析でそのイメージを読み取って作る。

『……瑠璃はぁ……すごいわねぇ……』

いいから考えろ。

『……はぁぃ……』

…………把握した。これならば直ぐに作れるな。

……と言っても半月ほどはかかるが。

《大丈夫だヨー。どんどん成長して三日ぐらいで作れると思うヨー》

そうか。


作るのは予想外に簡単だった。

まず糸を出し、布を作る。驚いたことにかなりの量を作ることができた。これも成長速度増加と下限値固定の効果か。

さすがにこれで一日がつぶれた。

そして次の日に布から服を作る。霊気の糸で綺麗に作り上げ、それからふと気付いた。

……妖怪が相手なのだから、妖気で作らねば駄目だろう、と。

そして妖気で布を作り、これで二日目が終わった。

三日目になって気づく。霊力と妖力が前日に比べてあり得ないほどに上昇している。恐ろしいな、成長速度増加能力は。

妖気で作った布から服を作り上げ、最後の確認。

……うむ。これでよし。

……やることはやったし、今度は術式の研究でもしてみるか。






……‘殺す’と言ったが、住み家に戻ってタンスを開け、そこにある服に目を落とした時に気付いた。

……あれ、これって…………母様の服?

慌てて今着ている服を脱ぎ捨てて首筋にあるタグを見ると…………平仮名で‘ひさめ’の文字が。

……え? じゃあもしかして、私ってば勘違いであんなことを口走ったの? え?

自分のやったことを思い出してみる。


自分から殺気を向けて挑発し、自分よりよっぽど強い相手に生意気な口を利き、殺されても文句は言えない状態で生かされたのに勘違いで呪詛を向け、殺すと今の今までわめきたてていた。


だらだらと氷雨の背中を冷や汗がつたう。全裸のまま固まっているためにそれがよくわかる。

元々白かった顔が血の気が引いて青くなっている。

『……ど、どうする私……』

氷雨は誰に言うでもなく呟いた。



  あっという間に復讐の道から外れた雪娘の氷雨の話



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