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2-24

 

フルカネルリだ。今年は寒いな。

《アザギもいるから余計にネー》

『……ごめんなさいねぇ……?』

いや、責めているわけではない。ただ寒いと思っただけだ。

それに、私よりも白兎の方が不味いだろう。早くコントロールできるようになってくれ。

『……うふふ……じゃぁ、頑張っちゃうわぁ……♪』

ああ、頑張ってくれ。


十一月になるとなぜか白兎が元気になる。白兎は雪兎、ゆえに冬が好きなのかも知れないな。

《名前はともかく正解だヨー。白兎ちゃんは冬が大好きなんダー》

そうなのか。

……ならばなぜ白兎はアザギが近寄ると寒がるのだろうか?

『……それはねぇ……寒さのぉ、質が違うからじゃないかしらぁ……?』

………つまり、物理的な物が原因の寒さと精神的な物が原因の寒さの違いということか?

『……瑠璃は頭がいいわねぇ……♪』

そうか。まあ、ありがとう。

ところで違いというのはどんなものだ? 私としては魂がアザギの出す気配に押し潰されて、体に魂の薄いところができてそこが‘魂がこの場所に足りていない’というのを本能として感じ、それが寒さとして現れているのではないかという仮説を立てているのだが。

《……え、何のヒントも無しでそこまでいったノー!?》

『……瑠璃はぁ、本当に頭がいいわねぇ……あはははは……♪』

楽しそうだなアザギ。ナイアは頭を痛めているようだが。

《キミのせいでネー》

そうなのか? すまないな。

……それにしても、白兎は本当に元気だな。実に可愛らしい。

《フルカネルリ、一応言っておくとキミも白兎ちゃんも今は女の子だからネー?》

何を当然の事を。ただ‘可愛らしい’と言っただけだろう。恋仲になるとかそう言う意味ではない。

私はおそらくもう他人とそう言う関係にはならないだろう。

……まあ、子を産むということに興味が無いことは無いが、わざわざその為だけに体を売ろうとは思わないしな。

………白兎が男だったならば、いつか協力してもらうことを考えたのだが。

《…………え? 正気を失ってたりするのかナー?》

そんなものは前世で既に棄てた。でなければ研究にすべてを捧げ、あらゆる犠牲の上に積み上げた研究の結果の上で新たな研究と実験を私が死ぬその時まで繰り返す事などできる訳もないだろう?

《……つまり、フルカネルリはやっぱりイカれてるって事だネー》

そうだな。お前と同じだ。

『……わたしともねぇ……?』

ああ、そうだったな、アザギ。

《……まあ確かにボクは人間から見ればおかしいけどサー……》

落ち込むな。私だっておかしいのさ。それぞれおかしいところがあるのが、生きているということではないか?

《……そうかナー?》

そうじゃないか?

『……そうかもねぇ……』

私達は笑う。おかしい者同士、くつくつと笑う。

……私は外に出していないがな。ナイア達と話している事を外に出さないようにしていたら、いつの間にか演技がうまくなっていた。

……役に立つ時が来るかどうかは知らないが。

《来るんじゃないかナー?》

そうか。






フルカネルリは役に立つかわからないって言ってたけど、騙しは場合によっては凄く役に立つヨー。

逃げるとき、戦うとき、隠れるとき、交渉するとき、何時だって役に立つ。

……正直いってボクもほしい。

隠すのは外に出さなければいいだけだから簡単だけドー、嘘をつくときはつい外に出しちゃうからネー。

……そう言うことにしといてヨー。ボク、クトゥグアとアブホースの二人に喧嘩を売られるなんて面倒なことは嫌いなんダー。

………真っ黒な所は隠すだけじゃ間に合わないシー、中途半端だとすぐバレちゃうしネー。

仮にも相手は同格の神だし、いちいち喧嘩は疲れるんだヨー。

……楽しいけどネー。

でも今はフルカネルリの事を見てる方が好き。だから、内緒の秘密サー。



  隠し事の多いナイアの内緒の話



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