2-18
不意打ち不意打ち。十ほどストック貯まったし不意打ち不意打ち。
あ、あとがきの事はマジです。
フルカネルリだ。遠足に行くことになっているんだが、どうも前回とは場所が違うらしい。
《一年ずつ二ヵ所を順番に見てくんだってサー。これで遠足は新鮮なところばっかりになるネー》
ああ。文句は無いな。
白兎も楽しんでいるようだし、万々歳だ。
《……古いネー》
五月蝿い、イエローケーキの食べ過ぎで死ね。
《放射性物質なんて食べたらお腹壊しちゃうヨー!?》
『……お腹壊すだけなのねぇ……ふふふ……♪』
前回行ったところは高原だった。そして今回行くところは山だった。
《絶対クトゥグアが水嫌いだから湖とか故意に外したんだと思うナー?》
色々なものを知ることができれば私はそれで構わないがな。
《そこは職権乱用だろ、ってツッコミを入れてほしかったナー》
職権乱用だろ。……これでいいか?
《うわーん!》
本気で泣き始めた。どうしたのだろうか?
《キミのせいだヨー!》
そうなのか? 良くわからないが……すまん。
しかし、湖はともかく海ならば家族旅行と言うことで行っただろう? だから私としては今回が山でも一向に構わない。
《……あー。そう言えば海は行ってたネー。水着はそんなに嫌だっター?》
嫌だとも。私の中で嫌な服装の五指に入る。
《ちなみにトップファイブはなんなノー?》
スカート、ドレス、水着、(女物限定で)着物、ゴスロリだ。
《見事に女物ばっかだネー。着物はそんな嫌なのかナー?》
重いからな。その上動きにくいし。
私としてはパンツスーツに白衣が一番落ち着くのだが。
《白衣はよれよれでなんか染みとかいっぱいな上にめんどくさがって研究室に寝泊まりしてる姿が目に浮かぶヨー》
そうか。
だが、前世では良くやって妻に怒られそれでもやっていた覚えがあるが。
《やってたもんネー。月に二十回以上は研究所だったかナー?》
ああ。そうだった。
……懐かしい話だ。まだこの体で十年も生きていないと言うのに。
《まあ、ずっと続けてきたことをいきなり止めて、しかも全然知らないところに子供になって生まれ直すっていう大事件があったからネー》
原因も拒否権を奪ったのもナイアだがな。
……だが、後悔はしていない。
ここは私が居たところよりずっと平和だし、私の興味を引くものが多い。そして何より知識が簡単に手に入る。
………宝の山のような所だよ。ここはな。
《あ、そうかナー?》
そうだ。むしろナイアには感謝すらしている。
死ぬ事に忌避感は無かったが、それはどうにもならないと理解していたからの話で、生きて知識を集められるのならその方が私は嬉しい。
だから、感謝するぞ、ナイア。
お前のお陰で、私はまだまだこの世界で生きて行くことが出来る。
……ありがとう。
《…………あ、あははハー。そこまでお礼を言われると照れちゃうナー》
そうか。ならば忘れてくれて構わん。私がそう思っていると言うことは変わらない。
《……忘れないヨー。これでも邪神だからネー》
そうか。
山の上で
「ヤッホー!」
って叫んでる白兎ちゃんと、それをいつも通りの表情の薄い顔で見つめているフルカネルリを見ながらちょうど沸いていたお茶を飲む。
……お茶っ葉入れ忘れた。これじゃただのお湯だヨー。
………飲むけどネー。
《飲むのかよ!》
どこからかクトゥグアのツッコミという名の声が聞こえた気がする。気のせいかナー? ……気のせいだナー。
《気のせい扱いすんなやっ!》
五月蝿いよクトゥグア。初恋の相手のことを忘れられないのに次の恋を見付けちゃった移り気な邪神の癖ニー。
しかも次の相手のアブホースにまだ自分の気持ちを
《それを言うなあぁぁあぁあぁぁっ!!》
はいはい、わかったヨー。
まあ、クトゥグアが浮気性でも甲斐性無しでも素直じゃなくてもいいけどサー………アブホースは泣かせちゃダメだヨー?
《……うるせぇ》
クトゥグアの言葉を意訳すると「わかってるけどついやっちまうんだ。仕方ねえだろ」かナー。
仕方ないわけないけどネー。
《ねえのかよ!》
ないヨー。本当に泣かせたら先生とクトちゃんとボクとノーデンスとハスターとアトラク・ナクアが全員でぼこぼこにした上でティンダロスの前に放り出すヨー。
《いくら俺でも死ぬぞそれ!》
死ねバー? 大丈夫、きっと生き返れるヨー。
ティンダロスのお腹の中で消化されなければだけドー。
《……勘弁してくれね?》
クトゥグアがアブホースを泣かせなければ良いだけの話だヨー。
………と言うか、もう初恋の相手は忘れちゃいなヨー。
《それは無理だ》
ボクが言ってみるけれど、やっぱりクトゥグアは拒否した。予想通りだネー。
たった一回会っただけで何でそこまで燃え上がれるのかは知らないけど、ちょっとだけ尊敬してやってもいいかもネー。
……………でも、こっちの方は応援しない。絶対にネー。
理由? それは…………………………………………秘密じゃダメかナー?
ダメって言われても秘密にするけどネー。
昔々の黒歴史の封印が解けかけている事に気づかないナイアの遠足二年目。
最後の所を意訳すると、
「十万アクセス記念にはナイアの黒歴史をバラします。今まで応援ありがとうございます、そしてこれからもお願いします」
です