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2-17

 

フルカネルリだ。私達は二年生になり、新入生が来た。

「……きゅう」

そして校長はいつも通りに貧血で倒れている。

「クトぉぉおぉおぉぉっ!!」

「新入生の前で騒ぐなっ!」

もちろん副校長と教頭の掛け合いも健在だ。仲が良いと言うのはよいことだな。

《そうだネー》


特許というものを知っているだろうか。

簡単に言えばこれこれこういうものをこうやってだれだれが作ったヨー、だれだれが最初に作った物だから他のやつに作らせないでネー、といったようなものだ。

《なんで例で使われてるのがボクなのかナー?》

付き合いが長く、わかりやすいからだ。例えばアザギにしてみろ。なかなか終わらないぞ?

《……あー、確かにネー》

『……ひどいわねぇ……?』

そうか? よくわかると思ったんだが。

《よくわかってもひどいこともあるんだヨー》

知っているさ。これでも意識は長生きしていたからな。

《没年齢は78だっケー? あの頃にしては破格の年だったよネー》

そうだな。皆私を置いて死んでいった。

……息子もな。

幸いと言って良いのかどうかは知らないが、私の子は孫は残さなかったからそれ以上に傷つくこともなかった。

…………それどころか、それ以前より研究や実験に集中することができた。

《……それ人間としての倫理観のどっかがその時にぶっ壊れたんじゃないのかナー?》

……否定はできないな。

《え、否定しないノー!?》

出来るほどの情報が無いからな。もしかしたらその通りかもしれんし、もしかしたら違うかもしれない。

……まあ、私はどうなろうと私だ。

『……そうねぇ……それでこそ、わたしの大好きな瑠璃だわぁ………うふふふ…………♪』

そうか。

……話を戻そう。特許を取るときには必ず‘どのように作られているか’・‘どんなもので構成されているか’がわかっていなければ駄目であるようで、さらにそれらはわかるように公開されているらしい。

…………見るしかないだろう。

《見るしかないネー》

『……見るしかないわねぇ……♪』

だろう?


と、言うわけで見てみたのだが……ここは宝の山だな!

《フルカネルリの目がキラキラしてるヨー!?》

『…それだけ嬉しいってことじゃないのぉ……?』

いやぁ、素晴らしい!私の生きていた頃から考えると、まるで魔法のようだ!

《聞いてないシー》

……おお!こんなものまであるのか!

《……ねえ、アザギー?》

『……なあにぃ……?』

《…………泣いていいかナー?》

…………ふぅ。素晴らしい発明の数々だった!

……ん? 何をやっているのだ?

《キミに完全にスルーされてたから泣きそうなんだヨー!》

そうなのか。それはすまないことをしたな。

『……ナイアはねぇ……? 寂しいと泣いちゃうのよぉ……?』

そうらしいな。気を付けよう。

《五月蝿いヨー!》






今日は散々アザギにからかわれたヨー。……フルカネルリ? フルカネルリは無自覚だからノーカンだけドー?

……あー、もう。こうやってからかわれるのはボクじゃなくってクトゥグアやアブホースの役目だってのにサー。

……そう言えば、今何してるのかナー?

………覗いてみよっトー。

きゅるりと空間に小さく穴を開けて覗き込む。するとそこには……

「お兄ちゃんは女の子の扱いがなってません!」

懇懇とクトゥグアに向かって説教を続けているクトちゃんと、

「……だ、だけどよぉ……」

たじたじになっているクトゥグアの奴が居た。

……あレー? アブホースハー?

探してみると……どうやら職員室で涙目で仕事をしているみたいだネー。

「……なによ…………ばか……」

………………喧嘩でもしたのかナー? でもアブホースがこんなに落ち込むなんテー………クトゥグアの奴は何言ったんだロー?

クトちゃんの方に戻って話を聞いてみるトー…………………クトゥグアがアブホースの好きな奴がボクだって勘違いして、それを酷い言葉と一緒に、さらにアブホースの言葉を無視して言っちゃったみたいだネー。

……それは流石に酷いんじゃないかナー?

好きな相手に勘違いされた答えを押し付けられる……しかもそれが恋愛について。

……フォローのしようがないヨー。

………まあ、するけどネー。具体的にはクトゥグアの誤解を解いて、アブホースにもう少し素直にさせるぐらいかナー?

………………大変そうだナー……。



  人の恋路を手助けするべく動き出すナイア。ただし自分に向けられる愛情は完全にスルー。 (好意までは普通に受け取る困ったちゃん)




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