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五万アクセス記念外伝

五万アクセス突破ありがとうございます。

ということで投稿します。

 

これは昔々の話。まだまだナイアが幼くて、あんまり物事を深く考えなかった頃の話。




夏になったら海に行く。そのつもりだったんだけど、よくよく考えてみたらクトゥグアとクトちゃんが海に入れるわけもない。仕方ないよね炎の神性だもノー。

「通販で耐水ジェル売ってたけど……効かないかなぁ?」

「……い、いや、無理だと思うヨー」

「……そっか」

うん、ヨグソトスには悪いけど塗る相手がクトゥグアとクトちゃんだからネー。すぐに蒸発して焦げちゃうと思うヨー。

「……じゃあ、これならどうかなぁ?」

そう言ってヨグソトスが出してきた物は、ヨグソトス本人が作ったらしい何かの薬瓶だった。

「耐水耐熱耐炎耐刃耐冷気耐電耐衝撃耐爆ジェルなんだけど……」

「……なんと言うか、ヨグソトスってすごいよネー」

ぽつりと呟くと、ヨグソトスは首を横に振った。

「……ううん。僕なんかより、ナイア君の方がずっと凄いよ」

「人の長所なんて人それぞれだって、前に言わなかったっケー?」

「……僕達、人じゃないけどね」

ヨグソトスとナイアは視線を絡めて、くすくすと笑いあった。

「……それじゃ、これ貸してくれないかナー? と言うか一緒に海に行こうヨー。きっと楽しいヨー?」

「へっ? 僕?」

ヨグソトスは驚いたように自分を指差し、声をあげた。

「……ボクはヨグソトスとも一緒に行きたいんだけど………ダメなら良いヨー」

「い、行くっ!行きたいよ僕!」


海に来た。それは良いんだけどクトゥグアとクトちゃんが水を怖がって仕方がない。

「大丈夫だヨー、しっかり掴まっててネー」

「てめえナイアクトから離「うるさいわよっ!」うおっ!? いきなり何てことしてくれやがる!?」

クトゥグアが騒いでいるけどアブホースに水をかけられてものすごい勢いで引いてった。

「あの耐水ジェル塗ったんでしょ? だったら平気よさあ入りなさい」

「っざけんな!何で俺が!」

聞いているとなかなか進まないようだったし、ちょっと発破かけてみた。

「……もしかしてサー…………怖い?」

この時点でびっくう!とクトゥグアの肩が跳ねた。わっかりやすいネー?

挑発の意味も込めてクトちゃんを抱き寄せて、

「クトちゃんだって入れるのに、お兄ちゃんのクトゥグアが入れないのかナー?」

「なっ!? ん、んなわけねえだろ!」

……釣れちゃったヨー。単純だナー。

…………まあ、クトゥグアがアブホースの前で弱味を見せたいと思うわけがないんだけどネー?

「ねえ、クトちゃん?」

「はい?」

ボクの腕の中でおとなしくしているクトちゃんに話しかける。

「妹が水に入ってるのに怖くて水に入れないお兄ちゃんって、どう思うかナー?」

「カッコ悪いです」

その答えにクトゥグアは絶句して、ボクを睨み付けた。なんか『後で殺す』って言われてる気がするけど、少なくとも今日は無理だと思うヨー。

何でかって? 簡単だヨー。

「アブホース。助けてあげてネー?」

「は?」

ボクがクトゥグアを海に放り込むからサー。

「お、ちょ、まっ!」

「待たないヨー。えいっ!」

クトゥグアを抱えたままボクの分身が海にドボーン!分身はすぐに消したから掴まるものは何もないネー。


そこ足つくけどサー。


それに気づかないクトゥグアは何故かどんどん沖に流れていく。何でだろうナー。

ちなみにアブホースが助けた時にはマジ泣きして抱き付いてきたらしいヨー。

アブホースもそんななかなか見ることができないクトゥグアを見て、なんか『きゅんっ』と来たみたい。

クトちゃん? とりあえず手を離して浮かぶことができるようにはなったヨー。進歩進歩。良いことだネー。


夜になって、なんとなく皆が眠ったころ。ひとつの影が動き始めた。

「……ヨグソトスー? どうかしたノー?」

ナイアがその影に話しかけると、その影はビクッと震えた後、ゆっくりと口を開いた。

「……僕、邪魔じゃなかったかなぁ?」

「なんでサー? ボクは楽しかったけドー?」

ずるり、とナイアが体を起こす。

「第一、ボクが来てほしいって言ったんだからサー。ヨグソトスはヨグソトスで楽しんでてくれた方が、ボクは嬉しいヨー?」

ナイアのいつも通りののんびりした顔に、ヨグソトスは不意に涙を溢れさせた。

「え、ちょ、なんで泣くのサー? ボク今結構良いこといったよネー? 泣かないでおくれヨー。反応に困るんだヨー」

そう言いながらわたわたとナイアはヨグソトスをあやし始めた。



  昔のナイアの夏休み~海編~



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