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異世界編 5-6

 

フルカネルリだ。一階の自然洞窟、地下一階の人工洞窟と自然材料の自動人形。地下二階の草原と獣の間を作り終わり、次は『山岳』ステージの『鳥獣』にしようと思う。


そういう訳で私は鷹に鴉に燕に鷲にと、大小様々な鳥の魔物を産み出した。

しかし、グリフォンやヒポグリフは鳥獣なれど幻獣であるがゆえ、この階層にはボスとしてグリフォン一体しか用意していない。

風の加護を持ったグリフォンは自在に空を飛び回り、鋼鉄のような羽毛に覆われているため攻撃を通すのは至難の技。本格的に倒すなら、地属性の重力系魔法で体重を増やしてやれば割と簡単に弱体化できる。

しかし、弱体化しても爪や嘴は健在であるため、油断すれば大怪我をすることにはかわりない。羽撃けば轟風に絡めとられ、矢や火球は簡単に跳ね返されてしまうだろう。

攻撃魔法を当てるなら、雷系なら尖った嘴や爪に吸い寄せられるように当たるだろうから、ある程度以上の威力が出せるならそれを進めるぞ。

あと、吹雪を吹かせることができるならそれを使ってみてもいいし、重力をかけて飛べなくしたあとに余裕があれば地面をマグマに変えてみるのもいい。

もしかしたら最も倒すことが楽な中ボスかも知れないな。


鍵は、いかに相手の飛行を封じるか。それに尽きるな。

飛行できなくなれば移動速度も落ちるし、攻撃も当たりやすくなる。それができれば少なくとも逃げることくらいはできるだろう。


ボス部屋からは逃げられないのが普通なのかもしれないが、私の作ったこの場所では逃げられないと言うことはない。

ただ、逃げるなら逃げるでそれなりの実力が必要だと言うだけだ。実力があれば逃げることもできるし、早々いないだろうが魔物を捕らえてその魔物と子を成すこともできなくはない。

ただ、そんなことをするような奴はこんなところまで生きて来れることは殆ど無い。そんなことをしている暇があるならレベル上げをしなければ結局死ぬのはそいつ自身。ここまで来ることができるような化物達がそんな初歩的なことを理解していないはずがないだろう。


……ちなみに、鳥獣の中にはハーピーやセイレーン、ガルーダ等、魔獣に分類されるような存在もいる。

勿論私の改造を施してあるため、なかなかに強力な魔物ばかりだ。

まあ、いくら強いと言っても所詮は数多く出てくる雑魚。本当の強者には勝てんさ。

アザギには勝てんし、私にも、当然ながらナイア達にも勝てないだろう。

ナイアに勝てると言うことは私にも勝てると言うことで、私は元より私が作るものに私を殺せる力を与えるつもりは毛頭無い。故にそれは当然のことなのだがな。


……さて、山岳の鳥獣種はこうして始めに生態系をしっかりと作っておけば勝手に発展していくし、よっぽどの事がなければ滅ぶことはないだろう。

生物系ではこうしてやればそれでいいので、実に楽だ。非生物系の魔導人形系ではこうはいかない。

非生物系でも霊や死者系ならばある程度放っておけるが、一長一短だ。


神生じんせい何事もそういうものだヨー》

『……人生でもぉ……それは同じだものねぇ……?』


ああ、理解しているとも。私はそういう世界の常識と言う檻を発見し、そしてそれを突き破って前へと進むのが大好きだからな。


《……オー、いい笑顔だネー》

『……ふふふふ……♪ ……とっても魅力的よぉ……? ……あはははははははっ………♪』


そうか? 自覚はあまり無いのだが……お前達がそう言うのならばそうなのだろうな。


それでは次に行くとしよう。次の階層は、密林の『蟲』だ。成長と進化が早く、物によっては竜種に匹敵するものも存在する蟲……うむ、実に研究と改造する甲斐のありそうな相手ではないか。

その存在に一応の敬意を表し、全力で相手をさせてもらうとしよう。


私がお前達に力をやろう。今までお前達を食ってきたものから逃げ切り、反撃し、返り討ちにし、虐殺できるだけの力をやろう。

蟲の強みは数。そこに全体の質の上昇を与えれば、それは脅威になる。

一体一体は弱くとも、それが常に無数に襲い来る。

時折混じる強い蟲の攻撃は、敵の常時張られる防壁を貫いて、単調な攻撃に思考を止めた哀れな獲物を仕留めるだろう。


私はお前達にその力をやる。

だから、お前たちは私の作る密林に棲み、そして外敵を排する楯となれ。


……まあ、私にはそんなものは必要ないのだが、できることならばやってくれ。ある程度以上の強さを持つ物には理性や技術を与えてやる。

これでも私は自分の味方にはそれなりに優しいのだぞ?


蟲の世界には様々な蟲を用意している。

蜻蛉に蜉蝣に虻に蠅に蚤に蜂に蝶に蛾に蝉に鍬形虫に甲虫に蟷螂に蛭に蚯蚓に蛞蝓に蝸牛に蜘蛛に天道虫に飛蝗に蟋蟀に百足に蟻に蚊に螢に蠍、ゴキブリにカミキリにダニに油虫にアメンボにと、種々様々な蟲を用意した。

昆虫ではなく蟲だから、私の言っていることは間違いではない。全て『蟲』の範疇に入る。


当然のことだが、先程挙げた物以外の蟲も各種取り揃えている。その中でもお薦めなのが、色々と混ぜ合わせて作った合成蟲だ。


甲虫の甲殻と角。鍬形虫の大顎と羽。ゴキブリの瞬発力に蜻蛉の飛行性能。飛蝗の脚力と突進力。様々なものを併せ持った、恐らくこの階の中では最高級の蟲だ。ちなみに名は【合成蟲騎】。私のネーミングセンスではこの辺りが限界だった。


さて、それでは次だ。もう一度密林として、今度は植物の魔物を作ろう。面白いことになりそうだ。





  フルカネルリ研究パート、地下3・4階。



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