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今回でプロローグもどきは終了です。
次からは転生後の話になります。
そしてやっぱり短い……
「……やはりそうか」
沈黙を破ったのはフルカネルリの一言だった。
「あ、やっぱり分かってたんだネー。説明が楽でいいヨー」
少年はケラケラ途中から楽しそうに笑い、それから少しだけ真剣な顔をした。
「うん、まずキミは死んだ。先に言っておくけど別にボクが何かした訳じゃないからネー?」
「ああ、それは何となくだが分かっている」
事実彼は色々なことを何となく理解していた。
例えば、目の前の少年に見える存在がどのようなものであるかの推測や、その人間(?)性を大雑把に。
「あー、うん。とりあえず自己紹介といこうかナー」
目の前の少年に見える存在は相変わらずの笑顔のまま自己紹介を始めた。
「ボクの名前はナイアルラトホテプ。気軽にナイアって呼んでネー」
その少年――ナイアは、それだけ言ってもう一度手に持った紅茶に口をつけた。
フルカネルリは当然知らなかったが、それはどこかの世界でいつか語られる事になる神話のとある邪神の名前だった。
フルカネルリが答えられないでいると、ナイアがまた口を開いた。
「……まあ、実のところそれは別にいいんダー」
何気なく向けられた目にフルカネルリは僅かに身を固くする。
それに気づかないわけではないだろうが、ナイアはあえてそれを無視してフルカネルリに向かって言葉を続けた。
「勝手だけど、キミには記憶と知識を持ったまま転生してもらうヨー」
そしてその後にこう続けた。
「ああ、キミに拒否権は用意してないし無いし使わせないかラー♪」
こうしてフルカネルリの新たな苦労の日々が始まったのだった。