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フルカネルリだ。数ヵ月前にハスターの経営するゲーム会社に外である程度使われている技術で作ったVRゲーム機の筐体とソフトの話なのだが、契約上始めに世界観などを作って筐体とソフトを作った私と会社の分け前が3:2(普通はこんなにならない。明らかに私が儲けすぎだ……が、ありがたく貰っておいている)で、今月初めて町の外のテレビ番組にコマーシャルを頼んで予約を受け付けてみたところ、予約開始数十分で500万を越える予約が入ったそうだ。

ちなみに値段は機体が25万。これでもかなり安く作っているのだ。

その分性能は低いのだが、試しに乗ってもらった白兎達はそれでも十分満足できていたようだ。


そしてソフトのVRMMOのβテストも同時に受付を開始したが、応募者が殺到して既に倍率が十万倍を優に越えてしまっているそうだ。

……ちなみに、上限は500名。つまり応募者の総数は(重複含めず)五億人以上だ。凄まじいな。


《ある意味ゲーマーの夢のおもちゃだからネー。軍とかそういうところにも目をつけられちゃいそうだけドー》


その辺りは問題無い。私の作成した電子精霊をAIとして組み込んでいるからな。不法に動かそうとすれば報復を受けるだろう。

それに、機体自体もそれなりにオーバーテクノロジーと未知の素材(町の外……と言うか私の頭の外では)が使われているからな。複製しようにもできんよ。

違法なソフトは受け付けず、かなりの安全装置をつけている。ナイアのような理不尽な存在が関わってこない限りは万全だ。

まあ、電子精霊が暴走したら多少の危険はあるのだが……その確率は精々横断歩道を渡っていて信号無視をした車に跳ねられるのと同じ程度だ。


そんなわけで人気絶頂中のこのゲームだが、それのお陰で私の貯金が色々と不思議なことになってしまっている。主に桁の話だが。

その数、なんと13桁。これだけあれば……まあ、色々と使い道はありすぎる。


……精々浪費しすぎないように気を付けるとしよう。期を狙って最低限だけ……。


《どうせまだまだお金は入ってくるんだからサー……もう少しちゃんと使っちゃったラー?》


いつかはそう使ってみることにするさ。いつになるかはわからんが。




さて、そんなわけで今年も除夜の鐘が鳴る。クリスマス? ああ、あったぞ? プレゼントの交換会が開かれ、私も一応参加した。

ちなみに私の提出したプレゼントの中身は、男女どちらに当たっても問題無いようにと配慮したトランプ一組だ。自作ではないがそれなりに趣味のいい一揃えだったが……相手の反応はなんとも言葉に表しづらかった。

あまりトランプをやらないのか、それとももう持っているのか、あるいは興味がないのかはわからないが………まあ、見ていて面白いものではなかったな。


それと、私の貰ったものは何故か羽根ペンだった。インクも黒赤青の三種が揃っていたが、わざわざ使うことはあるのだろうか?

使うとしたら手紙の最後にサインを書く時や、何かの書類にサインを書く時くらいだろうが……まあ、貰っておいて損はあるまい。

羽根ペンの羽根の部分に術式を刻んで簡易的な魔術道具マジックアイテムにすることもできるし、表面積が広いと言うことは術式を多く刻み付けることもできるわけだ。


……こう考えてみると、書く度にインクをつける必要はあれど、羽根ペンというのは中々に優秀な素材なのかもしれないな。私は使う必要はないが。

……ナギとディオの二人への贈り物にでもしてやるか。貰い物で悪いが、なにもしないよりはよかろう。






その事実が表に出た瞬間。世の中のゲーマー達に激震が走る。

それはゲーマー達の誰もが一度は憧れ、そして諦めてきた『ゲームの中に入って遊ぶ』という、夢。それを実現させるゲーム機が発売されるという話だ。

始めにネットで言われ始めたそれを、殆どの者は信じようとはしなかった。精々ネタとして扱われ、そして笑い合う。その程度の物だった。


それが現実味を帯びたのは、とある巨大ゲーム会社のホームページにその事が書かれ、テレビでCMが流れはじめてから。

特許が取られ、実際にゲーム機とソフトの予約が始まってからと言うもの、その予約にゲーマーは急いだ。

20万という(使っている技術からすれば)投げ売りとも言えそうな価格。ソフトも昔ながらのゲームから数種類が売りに出され、それらもすぐに完売し、多くのゲーマーが涙を飲んだ。


そして、VRがあるのならば誰もが夢見る『VRMMO』が近日発売されると聞けば、誰もがそれをやりたがると言うことは間違いない。

そして世界初のVRMMOのクローズドβテストには、ほんの一握りのコアすぎるゲーマーが選ばれる。


そんな彼らは、誰もがゲームの到着を心待ちにしているのだった。





  後に社会現象にまで発展するVRゲームの話。



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