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3-23

 

フルカネルリだ。七月にもなればクトゥグアの梅雨明けのテンションも落ち着き、まともに授業が進むようになる。

それまで滞っていた分を挽回するべく授業が一気に加速するのだが、勉強に慣れていない転校生や元々勉強が苦手な者等は頭の回転が追い付かずに苦労することも多々ある。

時々、慣れているはずの白兎や竹野の頭からも煙が出ていることもあるが、自分で冷えピタシート等を額に張り付けて勉学に勤しんでいる。

ここでやらなければ後で苦労するのは自分だと身をもって知っているからだろう。主に夏休みが削れたり、遊ぶ時間が根本からなくなってしまったり等だが………まあ、その場合は自業自得だろう。


《厳しいのか優しいのカー……》

『……どっちもって言っとけばぁ……間違いは無いわよねぇ………ふふふふ……♪』


その二つの落差はそれなりに激しいがな。




将来の夢というテーマの作文を書くというのは、全国の小学生にとっては当たり前の通過儀礼だと教わっている。つまり、私も書いた。

なぜそんなことを言っているのかと言えば、私の部屋からその作文が出てきたからだ。

昔の私は今の私とあまり変わっていないが、それでもわずかばかりの変化はあったようだ。


私の根幹を揺さぶるような事はなかったが、それでもこの頃に比べれば研究体もずいぶん増えたし年もとった。ほとんど変わらないと言うことは、少しは変わっていると言うことなのだと実感できる。


《年寄り臭いヨー?》


ナイアほど年を食ってはいないつもりなのだがな。精神年齢的には別として。


《ボクはいつまでも若々しいってことだネー》


……まあ、間違ってはいない。良く言い換えればその通りだ。

悪く言えば子供っぽいと言うことなのだが、私が言えることではないので黙っておくとしよう。


……さて、それでは知識を形にすることを楽しむとしようか。VRゲーム機と専用のMMORPGソフトでも作るか。

この時代の科学力ではまだまだまだまだまだ難しいが、知識だけならあるからな。

それをあえてこの世界の技術だけで再現するというのは苦労するが、やるだけの価値はある。


………そのお陰でハスターの経営するゲーム会社にコネができたし、貯金もかなりできている。将来のための安全マージンと言ったところか。


ちなみに、町の外のゲーム機体でも使えるRPGも作ってみたが、なかなか好評だ。スキルポイント・レベル制ゲーム世界で私がやったような魔王に挑む勇者の話だが、鬼畜すぎると評判だ。

頑張ればクリアできるくらいまで難易度を落としているのだが、本物を知らないものから見れば難しすぎるのだろうな。


例えば魔王は成長しないし、神と繋がって世界を裏から操っていたりもしないし、モブキャラが絶望的な戦力を持っていたりしないし、魔王が常に全力で殺しにかかってきたりしないし、偽勇者の悪事を押し付けられて斬首されたりしないし、人間の面倒事に巻き込まれて仲間を見殺しにしなくちゃならないなんてことは無いし、仲間に裏切られて後ろから殺される事も無いし、殺したら強くなって他のやつになるからって死なないように両手両足を千切られて監禁されて暗い地下室で老いさばらえて死んでいく間に魔王が世界征服を進めているなんて事だって無いし、魔王が100%即死攻撃を使ってこないし、石化されて動けないのに殺されるとかそんなことは無いし、ステータスが全部マックスの勇者が一度動く間に魔王は100回以上攻撃してくるとかも無いし、勇者の移動距離が5の時に魔王が200くらい動いて範囲ギリギリで魔法を連発してから勇者が行動する1ターン前に限界まで離れることも無いし、そもそも攻撃しても全部跳ね返されるか避けられてカウンター食らうなんてことも無いし、どこぞのラスボスより強い中ボスのように攻撃を食らっても1しかダメージ入らないくせに向こうからの攻撃はほぼ一撃必殺とかそんなこともないし…………できると思うんだがなぁ?


《普通と言うカー……並みの人間には結構どころじゃなく難しいと思うヨー? 確かに勝てるには勝てるけどサー……》

『……周回してぇ……レベル制限をとればぁ……少しは楽になるわよぉ………?』

《一回クリアできたんダー!?》


実際のところ、クリアだけなら割と簡単なのだがな。レベルが200になるまでは本当に使えないがそれ以上になると化物になるあれを使えば。

ピーキー過ぎて殆ど知られていないし、そこまでレベルを上げるのは馬鹿みたいに大変だからやる奴も少ないんだろうが……できたら最強に近いぞ? 近接戦闘もある程度なんとかなるし。


……さて、まずは技術の特許を取りに行こう。特許はあった方がいい。そうすれば金も入ってくるようになるしな。





  時代を飛び越えさせようとするフルカネルリ。



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