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3-13

 

フルカネルリだ。十一月にもなると、この町もだいぶん寒くなってくる。

……それはわかるのだが、なぜ白兎が私のコートの中に入り、二人羽織のような状態で登校しているのかを聞きたい。何故だ?


「だって寒いんだもん。こんな寒い日に瑠璃があったかそうなコートを着てきたら、入れてもらいたいって思うよ」

「……まあ、別に構わないがな」


ただ、この世界では私も多少頭が回り、そこそこ体術の心得がある程度の中学生でしかないのだから、寒いものは寒いのだ。だからこうしてコートを着てきたわけだしな。


……ちなみに、小学生時代は白衣を冬用(加熱術式完備)にすることで寒さをしのいでいた。暑い日は夏用にして、加熱術式を冷却術式に変えればいい。


「ふぁ~あったかぁ~~……」


……そんなコートだということも知らずに、白兎はぬくぬくと暖まっている。

正直歩きにくいが、このくらいならば許容範囲内だ。


私と白兎はそのまま学校へと歩いていくのだった。




家庭科の実習は三年までは無いと聞いていたのだが、どうやらそれは嘘だったらしい。

なぜなら、私達は今まさに実習の真っ最中だからだ。


今回作るものは生姜をたっぷり使ったおじや。家庭科の教師(人間の男で46歳。既婚で子供もいるらしい)の趣味だとか。

……そう言う事が許されてしまうのかこの学校のある意味恐ろしいところだ。

まあ、実際私立だからセーフらしいが、公立だったら確実にアウトだったろうな。


……私立でなければやってないか。


「そりゃそうだ。私達も教師だからな。生徒の事を考えるのは当然だ。生姜のお粥は寒い日とかに体を暖めるのに役立つぞ?」


……まあ、覚えておいて役に立つなら私は文句はないが………それでいいのかこの学校。


《いいんじゃないノー? よく知らないけどサー》

「良いんだよ。この国の法律はクトを含む俺達邪神なんだから」

「…………国?」


……この場所は日本では無いのか?


「この国は日本からお金の力で買い取った私達の国だよ?」

「初耳だ」


そうだったのか。驚きだ。金の力は凄まじいな。


《ツッコミをいれても良いんだヨー?》


いれただろう?


《エー? いツー?》


今さっきだ。お前も聞いていたはずだが……わからなかったのか?

まあ、別にわからなくてもいいがな。


……さて、それではさっさと生姜尽くしの料理を作ってしまおうか。時間はまだあるとはいえ、無限にあるわけではないのだから。

料理を作るのは久し振りだし、腕の錆を落とすことは大切だ。


「……わぁ……瑠璃のエプロン似合ってる……すっごい似合ってる………」

「まあ、久し振りとはいえ着慣れているからな」


ちなみに、白色で前面を全て被うタイプ。余計なフリフリヒラヒラは一切付いていない。

脚も隠せるロングタイプ。これでズボンなどのシミは気にしないで済む。


………だが、なぜか私に大量の視線が突き刺さっているのだが……何故だ?


《フルカネルリに似合いすぎてるせいだと思うヨー?》


冗談はよせ。私のよりも白兎の方が似合っているだろう。


………ああそうだ、余った生姜で他にも作るか。生姜ではないが薬膳料理だったらそこそこ知識はあるし、作れないことはないだろう。


なにせこの身にはこの世界とは僅かに異なる世界の未来の記憶があるのだから。料理や科学技術を再現するのは簡単だ。

……材料以外は、という制限は付くが。


……さて、できたな。次を作るとしようか。






……なんだか私達の班の机だけ、他の班とは豪華さが違います。白兎です。


エプロン姿できびきびと働く瑠璃に見とれていたら、いつの間にか実習が終わっていました。かなり本気でびっくりしました。

……あと、瑠璃の作った料理はみんなで美味しく食べました。すごく美味しかったです。


………それと、瑠璃にえっちぃ目を向けていた男子は後でちょっと怒ります。具体的にはセクハラしたと広める方向で。


確かに瑠璃は綺麗だけど、えっちぃ目で見るのは駄目だと思う。触らないからこそ綺麗な物って言うのもあると思うんだよね。





  驚きの事実を知ったフルカネルリ。




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