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3-12

 

フルカネルリだ。もうすぐハロウィン大会が始まるのだが……なぜハロウィン『大会』なのだ? 実際には大会ではなく仮装パーティのようなものの筈だが。


「大会ってことにした方がやる気を出す奴が多いからだヨー」

「……そういうことらしいわよぉ……?」


そう言いながら現れたのは、既に仮想をしているナイアとアザギ。アザギは恐らく幽霊(そのまま過ぎるな)で、ナイアは………コウモリの羽に鳥の足。そして小脇に抱えた馬の頭の形をしたマスク……。

……なんなのだ?


「シャンタク鳥だヨー。ボクの実家にいるんダー」


…………聞いたことの無い鳥だな。邪神のペットならばそれも当然かも知れないが………うむ、研究したい。


「いきなりそれカー……まあ、シャンタク鳥はそこそこ強いかラー、片手で本気を出さずに勝てるくらいになってから卵をあげるヨー。異空間に収納してあるからそのままあげるからネー? じゃないと色々不味いことになっちゃうシー」


そうか。つまり、今まで作ったキメラや検体が食い潰されてしまう可能性が有ると言うことか。なるほどな。


……ところで、お前たちが持っているその『まさに吸血鬼』と言ったダークスーツと乾いた血で染め上げたような赤黒いYシャツはなんだ?


「フルカネルリ用のコスプレ衣装かナー?」

「……きっとぉ……似合うわよぉ……?」


………ふむ。まあ、着てもいいか。


「よっしそれじゃあ早速着替えだヨー」

「待て待て。せめて更衣室まで待て。私には露出癖は無い」


露出に関する忌避感もあまり無いが、大声で言うことでも無いのでそれは黙っておく。

と言うか、まず露出への忌避感があるなら自分と同じ姿形をしたモノを作り、それを魔獣や魔物、人間達に犯させて子を作らせるようなことはしないだろう。

まともな神経を持っているなら、そもそもそんなことを考えることすらしないのだろうが。


「ハイハイいいから早く行くヨー」

「あ、瑠璃にナイアっち」

「あ、白兎ちゃんやっほー」

「私も一緒に着替えていい?」

「構わんぞ」


途中で白兎が合流し、さらに騒がしさを増しながら私達は歩き出した。




「わ~……」

「うんうンー、わざわざ特注した甲斐があったネー……似合ってるヨー?」


そう言われるが、あまりよくわからないと言うのが正直なところだ。

まあ、似合っていると言うのだから似合ってはいるのだろうが、どこでこんなものを用意してきたのやら。

……この服自体がかなり高い神性を保有しており、しかもナイアと同じ邪神のそれを感じる。

さらにはこの服そのものの強度も凄まじいもので、早々簡単に切れたり破れたりすることは無さそうだ。

……これを私の力のみで再現するのは骨がおれそうだ。……だが、だからこそやりがいがあるというもの。楽しみだ。


「ボクの知り合いの蜘蛛の邪神の糸を使ってるからネー。丈夫だヨー?」

「……なるほど。通りで神性を持っているわけだ」


神性だけと言うには禍々しすぎるから邪神の神性だと言うのはすぐにわかった。

まあ、だからといってどうと言うわけでもないが、難しければ難しいほど私はやる気が出てくる。研究者の本質とはやはりこうでなければならない。


……ところで、白兎のその衣装はなんだ?


玉兎ぎょくとだよ?」

「用意したのはクトちゃんだヨー」


そうなのか。なかなか似合っていると思うぞ? その白スーツ。


「瑠璃の真っ黒なスーツと真っ赤なシャツの組み合わせほどじゃないよ。瑠璃にすっごい似合ってる!」

「ちなみにその服は手直しは必要ないからネー。勝手に大きくなるシー、サイズもちょうどよくなるようになってるからネー」

「なにその便利さ!?」

「しかもフルカネルリの魔力とかを吸いとって傷付いた所とかも直っちゃうシー」

「それってほんとに服なの!?」

「便利だから良いだろう」


私の作った服にはそんな便利な機能はついていないからな。これを応用できれば、壊れた武器を魔力で修復したり、防具を修復したりすることができそうだ。

その他にもフラスコや実験道具を必要以上に作ることもしなくて済むようになるだろう。

いくつもの破片に別れたそれぞれをもとの形に直して数を増やすこともできそうだ。


……さて、それではそろそろ本格的にハロウィンに参加するとしようか。





  月に属する仮装の二人



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