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3-3

 

フルカネルリだ。現代社会にいきなり現れて溶け込む方法はディオの時にやったので十分わかっている。

とりあえずいつもの戦闘用の準備と、最低限の着替えと食料を用意する。ナイアが言うには、この世界には『世界征服を企む悪の秘密結社』と『平和を守る正義の味方』がおり、日夜戦いを繰り広げているそうだ。

世界の中でも大国と呼ばれる国にはほぼ必ず魔法学校が存在し、世界平和のためと言う名目で勉学に励んでいるらしい。

裏ではやはりどろどろとした面倒事が多々あるようだが、私としてはまた研究できればそれでいい。

悪の秘密結社のマッド博士になるか、それとも正義の味方の博士になろうか………。

まあ、実際は悪の秘密結社の方が自由にやらせてくれそうなので、そちらに行くことになるだろうな。どちらが正義でどちらが悪かは知らないが。


《フルカネルリが悪の秘密結社のマッドな博士カー………》


※ここから先はナイアの妄想です


『くくくく……ふふ……はははははは!はーっはっはっはっはっはっは!』←白衣を着て空中に浮かぶ画面と実験結果に高笑いするフルカネルリ。


『ちくしょう………やめろ……やめろよぉっ!おれにさわんじゃねぇぇぇっ!!』

『やかましいぞ実験動物モルモット。お前にしゃべる自由を与えた覚えは無い。お前は自分の体に起きたことを私に逐一報告するだけしていれば良いのだ。わかったな?』←捕らえた正義の味方の一人を拘束して解析中に話しかけられた時の反応。


『ついに追い詰めたぞ、フルリ=カーネル!』

『……おや、まさか実験動物モルモットが自らここに足を運ぶとは……まあ、ゆっくりしていけ。



   死ぬまでな』



※妄想終了


《……うん、すっごい似合うと思うヨー?》


……馬鹿にされたような気分になるのだが、何か考えなかったか?


《フルカネルリが悪の秘密結社のマッドな博士になったらどうなるかなって考えてただけサー》

『……お似合いだったわよぉ……? ……ふふふふ………♪』


……そこはかとなく馬鹿にされている気分だ。

まあ、私としては悪の秘密結社のマッド博士だろうが、正義の味方に武器を作る発明家だろうが一向に構わないがな。

私は自分の知りたいことについての研究さえできればそれでいい。死ぬことになる場合は私の代理をたててやらせれば、研究はできるが私自身は死なずに済む。

死ぬこと自体はともかく、知識の半分を失うのは痛いからな。


……さて、準備はできたが………段々と私の持ち物は進化して行くな。このままではいつか中級神の神造武器で攻撃されても服に傷一つ付かない……等という日が来ることになりそうだ。

死の恐怖を忘れないためにも、やはり私のクローンの死の体感はしておくべきだな。


《生き物ってのはサー……普通はそういう物からは逃げようとするはずなんだけどナー?》

『……普通……?』

《愚問だったネー。あっはっはっハー、笑い死にそうだヨー》


私がけして普通ではないことは認めるが、傷付かないわけではないのだぞ?

私の心は繊細な壊れ物なのだ。


《どの口が言ってるのサー?》


実際に壊れ物だぞ? 魔獣に犯されようが殺されようが産卵しようが壊れなかった壊れ物だが。


《壊れない壊れ物は壊れ物じゃないと思うのはボクだけなのかナー?》


形あるものはいつしか壊れる。壊れる可能性が僅かでもあるのならば、それは壊れ物だろう。


《それって世界に存在してる大体の物が当てはまるよネー!?》

『……人もぉ……物もぉ………私達も……ねぇ………』


そうだな。大体の物が当てはまるな。

直そうとすれば直るものも多いだろうが、直らない物があることも事実。できる限り、研究対象には注意を払い、優しく壊れないように、または壊れても大丈夫なようにしておかなければならないな。


《そこに繋がっちゃうんダー!?》

『……ふふふふ……瑠璃らしいわねぇ……?』


問い一、私らしくない私を想像せよ。


《………………(考え中)》

『………………(考え中)』


《……さぶいぼがたったヨー……》

『………これはぁ……まさに、悪夢ねぇ………』


いったい何を想像されたのやら。興味があるような無いような……。


《気にしないでほしいかナー》


そうか。ならば気にしないことにしておこう。




……………それで、今回はどうやって移動する?


《たまにはこうやって普通のもいいかナー、って思ってネー》


そうナイアが言うと、私の足元に光り輝く魔法陣が現れた。確かにこれは普通と言えば普通だな。


……たった数秒の別れだが、元気でやれ。


《クトちゃんやアブホースが色々気を回してくれてるから大丈夫サー》


そうか。ならば安心だな。

…………それでは、行こうか。





  異世界編その四、開始。




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